ワークライフバランスが取りやすい企業へ転職するには?【転職相談室】
残業の長さや不規則な勤務による不満、人生の転換期(結婚や出産など)における不安から、転職を希望される方もいます。
今回はワークライフバランスを重視した転職活動でのポイントについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にお答えいただきました。
目次
ワークライフバランスが取りやすい企業へ転職するにはどうすれば良いですか?(Tさん/女性/30歳/営業職)
現在、イベントの企画運営会社で法人営業をしています。月間の残業時間は80時間を超え、大型イベントの準備期間には職場近くのホテルに宿泊して徹夜仕事になることも多々あります。働き方がハードな会社のため、離職者が多く、その分さらに日々の業務負担が増すこともあります。私自身30代になり、これからもずっとこの働き方を続けていくのは、正直厳しいと思っています。
ワークライフバランスが取りやすい企業へ転職するにはどうしたらいいでしょうか?ポイントや注意点がありましたら教えてください。
まずは理想のワークライフバランスを具体的に言語化しましょう
例えば、プライベートの時間をしっかり確保するために、残業はゼロにしたいという人もいれば、土日にしっかり休めるならば平日は残業していいと言う人もいます。
また、残業時間の問題ではなく、自分の裁量で就業場所や勤務時間をコントロールできるような仕事がしたい人、育児や介護などライフステージに合った制度を活用してバランスを取りたい人などもいます。
最近では、仕事とプライベートに境目のない柔軟な働き方をして双方を充実させたい「ワークライフ・インテグレーション」といったワークライフバランスに次ぐ考え方もみられるようになりました。
まずは、Tさんにとっての「ワークライフバランス」の定義について整理してみましょう。現在、とてもハードに働いていらっしゃるようですが、具体的にはどのような点を改善したいとお考えですか?
ワークライフバランスの取りやすい企業を探す際のポイント
社内制度や福利厚生に注目する
厚生労働省の認定企業に注目する
例えば、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を若者雇用促進法に基づいて認定する「ユースエール認定制度」、女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定制度」、その中で実施状況が特に優良な「プラチナえるぼし認定制度」、次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん認定制度」、その取組がより高い水準を満たしている「プラチナくるみん認定制度」など、厚生労働大臣による認定システムがいくつかあります。
例えば「ユースエール認定」されるには、「前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間の平均が20時間以下かつ、月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員が1人もいないこと」などの基準を満たす必要があります。
「くるみん認定」は子育てサポート企業に与えられる認定ですが、差別されることなく、女性が働きやすい環境をつくることを目的としているため、認定されている企業では万人に働きやすい環境が整っていると考えられます。
とはいえ、配属される部署によって業務内容や労働環境は異なりますので、最終的には面接で詳細を確認するようにしましょう。
参考記事:「厚生労働省 若者雇用促進総合サイト」「非営利一般社団法人 安全衛生優良企業マーク推進機構」
転職エージェントに企業選びをサポートしてもらう
また、過去にその企業へ入社した方から情報を入手してもらうことも可能です。
ワークライフバランスの取りやすい業界や職種はあるのか?
職種では、事務アシスタント系、経理・総務・人事などの管理部門系です。企業規模で比較すると、労務管理がしっかりしていてDX(デジタルトランスフォーメーション)や人材等に投資できる大手企業や上場企業の方が効率的に業務を進めやすい環境にあると思われます。
製造業は年功序列がキッチリしていそうで、私には合わないかもしれません。今の会社は平均年齢が若くカジュアルな雰囲気なので、社風が合うかどうかも視野に入れながら自分に合った業界・職種を検討していきたいと思います。
ワークライフバランス重視で転職する際の注意点
転職理由や志望動機で誤解を招かないよう伝える
Tさんは月20時間までは残業OKでしたよね。仕事へのやる気は十分あるのに、そういった認識のズレから、残業は一切受け付けない人とか積極的に働きたくない人だと誤解され、スキルがあっても評価を下げてしまうケースがあります。ワークライフバランスへの認識は人それぞれということを意識したうえで、説明不足にならないよう注意しましょう。
もちろん、求職者の希望として、ワークライフバランスを重視したいと伝えることや、残業ができないことなどに問題はありません。病気や家族の事情などどうしても残業に対応できないケースがあることを企業側も理解はできるからです。問題なのは、仕事のやる気が全くないような印象を与えてしまうこと。伝え方には、細心の注意をはらうことが大切です。
職種や状況に応じて公表データを活用する
また、未経験転職の場合は、業務になれるまでに時間がかかってしまい、残業時間が長引いてしまう可能性があるため、その点も認識しておきましょう。
まとめ
ひとことで「ワークライフバランス」と言っても、その定義はひとそれぞれです。まずは自分にとって望ましいワークライフバランスのための条件を整理し、それが実現できるキャリアプランを描いた上で企業選びを進めましょう。
面接では誤解を与えないよう、伝え方に注意を払うことも忘れずに。
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