志望動機は「好きだから・楽しそうだから」ではダメでしょうか?【転職相談室】
せっかく働くなら、好きなこと、楽しいと思えることを仕事にしたい――。
でも、志望動機が「好きだから・楽しそうだから」では、企業側に真剣度が伝わらず、浅はかな理由だと思われてしまうのでは…。
そんなお悩みに、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんがお答えします。
目次
志望動機に「好きだから・楽しそうだから」と書いてはダメですか?(Kさん/接客業/20代/女性)
洋服が大好きで、学生時代からアパレルショップで接客のアルバイトをしてきました。大学卒業後に社員登用となり、現在は副店長として接客やスタッフのマネジメントを任されています。
もともと大好きなブランドなので、お客様に商品を提案して購入いただけたときはとても幸せな気持ちになります。
好きな仕事で売上が伸びて評価にもつながってきたので、天職だなと思っていました。
ただ、20代後半になり、終日の立ち仕事が体力的にきつく感じることが増えてきました。好きなアパレルに携わりながら長く働き続けられるようなほかの仕事がないかと考えています。
会社を選ぶ基準が、「その会社の商品・ブランドが好きかどうか」「楽しそうかどうか」になってしまうのですが、志望理由が「好き」や「楽しそう」ではダメなのでしょうか。
「好き・楽しそう」だけでは、転職を安易に考えていると捉えられる可能性も
ただ、志望動機がそれだけだと、企業側に「仕事のいい面しか見ていないのではないか」、「合わないと思ったらすぐに辞めてしまうのではないか」と懸念される可能性があります。
例えば「好き・楽しそう」という言葉を、「やりがいを感じる」と言い換えるだけで、仕事内容にフォーカスして考えている印象になります。
「好き・楽しそう」という思いだけを一方的に伝えても、企業がKさんを採用するメリットを感じられません。
そして転職したい企業との接点を見出し、「当社でも貢献してくれるだろう」と思ってもらえるような納得度の志望動機にする必要があります。
面接官が納得する志望動機の書き方・伝え方
どうすれば面接官が納得する志望動機になりますか?
これまでの成果を整理して強みをアピール
副店長を任され、マネジメント経験での学びもあるのではないでしょうか。
「仕事が好き」と思うときは、具体的に何をしたときなのか、あるいはどんな成果を残したときなのかを書き出してみましょう。
これまでの仕事のシーンで、「好き」「楽しい」と思った出来事を整理することで、Kさんの強みが見えてくるはずです。
お客様とのやりとりでうれしかったのは、お客様の思いを丁寧にヒアリングし、「こんな服はどうですか」と提案したら「まさにこういうものがほしかった」と喜ばれたことや、一度接客したお客様が「またアドバイスがほしい」と定期的に来店するようになったなどです。
では、接客のシーン以外でも考えてみるとどうでしょう。
例えば、「お客様の買い物の導線を観察し、販売強化商品の陳列方法を工夫したら、売上が前月比の1.5倍まで伸びた」、「売上が伸びず悩んでいたスタッフに、お声がけのタイミングや内容をアドバイスしたら、着実に成長していった」などの実績を伝えることで、企業側には、店舗運営やスタッフのマネジメント能力があると判断されるのではないでしょうか。
「前職で得た経験を次の仕事でどう活かし、貢献できるか」という視点で伝えると説得力のある志望動機になります。
転職理由を明確にし、自分の経験・スキルと結びつける
「長く働くためにビジネススキルを身につけたい」という転職理由であれば、未経験から営業事務に挑戦するのも一つでしょう。
社内のさまざまな部署の方とコミュニケーションを取りながら、ニーズを理解し先回りして業務を進めることで、周りからとても感謝され、評価されます。
どの会社・職種に転職するにしろ、まずは転職理由を明確にして、理由の裏付けとなる部分もしっかりと伝えることが大事です。
ですが、未経験者歓迎の企業では十分に可能性がありますし、オフィス業務のスキルを身につけることでこれからのキャリアの選択肢も広がります。
【志望動機例:営業事務の場合】
接客業では、お客様との対話の中で希望やニーズを理解し、提案につなげる経験を重ねてきました。一度ご来店したお客様が購入した商品やその際の会話内容はメモに残すなどして、次に来店した際に役立てました。お客様への理解を深めて売上につなげてきた経験から、貴社の営業事務職においてもお客様の要望に即したことを察して、営業のサポートにつなげられると思っています。
仕事のネガティブな面も理解していることをアピール
例えば、カスタマーサポートを志望する場合は、お客様からのクレームも多いため、そういったトラブルにどう対応して改善してきたのかを伝えると面接官からの評価は高まるでしょう。
これはあくまで例なので、例文をヒントにご自身の言葉で文章を考えてみてください
【志望動機例:カスタマーサポートの場合】
接客業では、商品のサイズ変更で来店されたお客様を長くお待たせし、お叱りを受けたことがありました。どれくらいお待ちいただくのか事前にお伝えしなかったことがクレームにつながったため、以後、オペレーション改善を進めました。
貴社のカスタマーサポート業務においても、クレーム対応の如何が企業イメージにつながると思います。お客様には正確な情報を迅速に伝えられるよう、接客業で培った対応スキルを活かしたいと思っています。
経営理念・カルチャーへの共感や実現したいことを伝える
ほかにも、面接官の納得度を高めるためのコツはありますか。
企業側が知りたいのは、Kさんが会社にフィットする人材であるかどうか、そして入社後にパフォーマンスを発揮してくれるか、という点です。
志望動機を伝える際は、経営理念のどんな点にひかれたのか、その理由も伝えると面接官の納得度はより高まるでしょう。
単に「スキルアップしたい」など自分視点だけではなく、「接客の〇〇の経験を活かして、御社のサービス改善につなげたい」など、企業にどう貢献したいのかという視点を持った言葉で伝えることが大切です。
企業にとって、私を採用するメリットは何かを考えてみたいと思います。ありがとうございました。
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