今の仕事に違和感がある時の対処法は?思い切って辞めるべき?【転職相談室】

働き始めて3年経ち、仕事に対してモヤモヤを抱き始めた相談者。このままでいいのだろうかという漠然とした違和感に、どのように向き合えばいいのでしょうか。
組織人事コンサルタントの粟野友樹さんがお答えします。
目次
漠然と感じる、五月病のような仕事への違和感をどうすればいいのでしょうか(Rさん/営業/25歳)

【相談内容】
新卒で入った会社に、営業として3年間ほど勤めました。
入社当初は仕事を覚えるのに必死でしたが、ひと通り仕事を自分でもこなせるようになってきてから、「どうしてこの会社で働き続けているんだろう?」「この仕事をこのままやっていていいのかな?」と違和感を抱くようになりました。
仕事内容に意義が感じられなかったり、周りの働き方に馴染めなかったりと、うまく言語化のできないモヤモヤがあります。「このまま続けていていいのかな」と、しっくりこないまま時間が過ぎていくようです。
こんな状態なので、仕事にもいまいち集中しきれず、どう対処したらいいのか分かりません。仕事に感じる違和感は、五月病のような一時的なものなのか、現職を辞めて新しい会社に転職するべきタイミングなのか…。向き合い方を教えてほしいです。
今の仕事に違和感を抱く原因を考えよう
▶アドバイザー
モヤモヤや違和感は、入社して3年経ったタイミングだからこそ抱き始めているのかもしれません。まずは、どんな原因がありそうか整理していきましょう。
まず考えられるのが、余裕が出てきたから、というものです。入社1年目は、覚えることばかりで目の前の仕事をこなすのに必死です。社内に飛び交う専門用語を覚え、お客様との商談や提案に向けた準備に追われ、目標数字を追っていたら毎日が過ぎていく…。そんな1年を経て、2年目、3年目になると、仕事をより客観的に捉えられるようになります。
▶相談者
慣れてきたから、違和感が出てきたということでしょうか。
▶アドバイザー
例えば、これまでは営業数字を達成することに一生懸命で、自社製品を売ることに疑問を持っていなかったけれど、俯瞰できるようになってはじめて、「この製品を売ることが、本当にお客様の課題解決になっているのだろうか」と考えるようになる。そんな変化もあるかもしれません。
▶相談者
うーん。確かに、「このお客様には自社製品よりもっと合うものがあるのでは」とか、「無理に販売するのはどうなんだろう」などと、疑問に感じることが増えている気がします。
▶アドバイザー
ほかにも、自分なりに成功体験を積み、営業方法を確立してくると、会社や上司から言われたやり方に「もっと効率的な方法があるのでは」と疑問を持つこともありますよね。ただ、主張できるほどの実績や自信がなければ、何も言えずにモヤモヤとしてしまうケースもあるでしょう。
▶相談者
ああ…。最近も、まさにそういう出来事がありました。
▶アドバイザー
3年間の経験があるのですから、そう感じることがあって当然だと思います。また、「営業としてはある程度できてきた」と、これまでのような成長実感が得られなくなってモヤモヤしている可能性もあります。
次の段階として、後輩の育成やプロジェクトリーダー、営業企画などに挑戦するなど、何らかのキャリアステップを考える時期なのかもしれません。
仕事に違和感を抱いたときが「転職」のタイミングなのか?
▶相談者
ちょうど1か月前に、3つ上のリーダー職だった先輩が転職していったんです。モヤモヤしながらも現職でのキャリアしか考えていなかった自分には、その選択肢があることに驚きました。
以来、転職を現実的に考えるようになっていました。でも、今の仕事がしっくりこないから転職をしようというのは、少し時期尚早なのでしょうか。
▶アドバイザー
そうなんですね。その先輩はどんな理由で転職したのでしょう。
▶相談者
「ビジネスパーソンとして、今よりもっと成長できる場を見つけたので挑戦したい」と話していました。私に対して、「そろそろ外にもアンテナ張っておいた方がいい。社外には、すごい営業力を持った人はたくさんいるよ」とアドバイスされ、やっぱり今の会社では成長できないのか!と思ってしまって…。
▶アドバイザー
私としても、先輩のアドバイスはその通りだと思います。ただ、違和感があるからすぐに転職、というのはあまりおすすめできません。
少し理論的な話をすると、ナンシー・シュロスバーグというアメリカの心理学者によるキャリア理論では、Rさんが違和感を抱えたような“転機”(トランジション)には3つの段階があるといわれています。
▶相談者
3つの段階ですか。どんなものなのでしょうか。
▶アドバイザー
一つ目は「転機の始まり」で、新しい役割、人間関係、日常生活、考え方に出合う段階です。
次に、「転機の最中」がやってきます。コツを覚えたり適応したりするための過渡期で、ときに不均衡や混乱が起こり、中途半端なモヤモヤした状態を指します。
そのあとに、「転機の終わり」がきます。次のプロセスに向かうために、これまでの環境との出会いや別れがあります。仕事で言えば転職も含まれますし、社内で新しい仕事を担当したり、チームが変わったり、異動・転勤などもあるでしょう。
▶相談者
なるほど。
▶アドバイザー
つまり、Rさんが違和感を抱えているのは、「転機の最中」の段階にいるからだと考えられます。「転機の最中」では、誰しも繰り返し違和感を抱くもの。そのたびに転職をしていくと、数年ごとに転職を繰り返すことになってしまいます。
▶相談者
そうですか…。70歳まで働くとしたら10回以上は転職しなければならないですね。
▶アドバイザー
そうなんです。もちろん、違和感によって、仕事への集中力が落ちて深刻な状況であれば話は別です。
例えば、朝起きれずに欠勤や遅刻が続いてしまったり、何らかの心身的な不調があったりするのなら、専門家にすぐに相談すべきでしょう。そうした状況ではないのでしたら、現職を続けながらできることもあると思います。
仕事に違和感を抱いたときの対処法
▶相談者
以前は、土日も仕事に役立つ勉強をして意欲的だったのに、そうした行動力もなくなってしましました。やる気がわいてこないのですが、現職を続けながらどう向き合えばいいのでしょう。
▶アドバイザー
むしろ、土日も勉強してきたなんてすごいこと!まとまった休みをとって心身をリフレッシュするのも大事だと思います。
成長を感じにくくなっているのでしたら、上司や人事に相談して社内の部署異動の志望や、業務範囲を広げて新しいプロジェクトへのアサインを願い出てみては。リーダーの役割についてみるなど、これまでにないチャレンジができるよう、周りに働きかけをしていくといいと思います。
▶相談者
そうですね。これまで、自分から仕事の幅を広げようと動いたことはありませんでした。
▶アドバイザー
転職も、これからの選択肢の一つにはなるでしょう。ただ、どんな環境変化があっても、違和感を抱くことは誰にでも、何度でも起こります。転職をしたからモヤモヤと離れられる、と考えずに、何を改善すれば違和感が少なくなるかを整理していくのも大切です。
▶相談者
今回の相談を通して、言語化できていなかったモヤモヤの正体に、ちゃんと向き合おうと思えるようになりました。ありがとうございます!
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