仕事を辞めたいけど、お世話になった上司に申し訳なくて言えない…【転職相談室】
スキルアップのために転職活動を進め、内定ももらっているKさん。
しかし、お世話になった現職の上司への申し訳なさから、いまだに退職を切り出せていないそう…。
どう伝えたらいいのかという悩みに、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんがお答えします。
仕事を辞めたいのですが、お世話になった上司に申し訳なくて言い出せません(Kさん/総務・事務/20代/女性)
現在、ベンチャー企業で、総務・事務として3年間在籍しています。
ベンチャーゆえに組織変更が激しく、業務分担もほとんど整理されていない中、総務・経理からバナー広告作成、ワードプレス入稿などの事務業務まであらゆる仕事を担当してきました。
今後は腰を据えて経理のスキルをつけようと転職活動を始め、大手グループ会社から内定をいただくことができました。
ただ、転職するという事実を、いまだ上司に伝えられていません。上司には今の会社に引き抜いてもらった恩もあり、私が抜けると周りの先輩・同僚への業務負担が増えてしまい申し訳なくて言い出せないのです。
今の給料や制度面、忙しさを考えると長く続けるのは難しいので、退職の決意は揺るがないのですが、この状況からどうアクションを起こせばいいでしょうか。
自分の人生のためにも勇気を出して伝えよう
しかし、「退職の決意は揺るがない」のでしたら、できるだけ早く伝えることが、結果的に上司のためになります。
切り出したらどんな顔をされるだろうと思ってしまって、つい日々の業務に逃げて後回しにしてしまうんです。
ただ、言い出せないまま時間が過ぎ、もう後がないという日にちまで伸ばしてから伝えることになれば、上司や会社からは急に退職を言い出して、急に辞めたという印象を抱かれてしまう可能性があります。
さらに、退職までの時間が限られると、引継ぎ業務も丁寧にできないままとなってしまうので、Kさんが懸念する周りの先輩・同僚への業務負担が増えてしまう事態にもなりかねません。
そういった状況にしないためには、退職のスケジュールをあらかじめきちんと伝え、退職日から逆算した引継ぎをしていれば、周りへの負担も軽減できるでしょう。
このままでは、上司に余計な迷惑をかけてしまうと改めて感じています。
転職先の企業も入社予定日に沿って備品整理や業務の引継ぎ、新たなプロジェクト体制の立案などさまざまな準備を整えています。
内定承諾時に入社日も承諾しているでしょうから、きちんとスケジュールを逆算して動くことが大切です。
ますます、早く動かなくてはと焦ってきました。
自分の人生設計をしっかり考えた上の選択なのですから、勇気をもってその思いを伝えましょう。
退職交渉する際に気をつけたいポイント
退職交渉を具体的に進めるにあたり気をつけることはありますか。
先に伝えるのは直属の上司。退職を切り出すタイミングが大切
上司はマネジメントの職責を担っていますので、もしメンバーの退職をほかの人が先に知り、上司が後から知ったとなれば、マネジメント責任を問われる事態にもなりかねません。
引継ぎ期間がどれくらいかかるのか、有給消化は何日とれるのかを落とし込んでいくと、上司に伝えなければ間に合わない日程が明確になります。
Kさんの場合は、すでに内定をもらっている状態のため、早めに退職の意思を伝えた方がいいでしょう。
まずは、上司に面談の設定をお願いしてみて、退職について話す時間を決めましょう。
まずは「面談の時間をいただきたい」と伝えて、話し合いができる場を設定すると、お互いの考えやこれからのキャリアについてゆっくり腰を据えて話せるのではないでしょうか。
ポジティブな転職理由を伝えよう
例文:
「今の会社でバックオフィス業務全般を任され自信になりました。
さらに知識をつけようと簿記の勉強をする中、経理の仕事にしっかりと向き合ってスキルを身につけたいと考えるようになり、新しい環境でチャレンジしたいと考えています」
転職理由がネガティブだったり、転職自体を迷っているような内容を伝えると、引き留めにあう要因にもなりかねません。
Kさんが前向きに次のキャリアを考えていれば、きっと上司も応援してくれるのではないでしょうか。
退職日までの引継ぎスケジュールを明確にしよう
Kさんはバックオフィス業務全般を任されており、引継ぎにも時間がかかる可能性があります。今後、周りのメンバーがKさんの業務を分担して引継ぐことになるのなら、
- 各業務内容の詳細(業務プロセスやかかる時間など)
- 各業務の分担イメージ
を整理しておくと丁寧です。
誰が見ても分かるような業務フローマニュアルを作成したり、引継ぎスケジュールを意識して資料を整理しておくのも大事ですね。
そうなると、新しい人を採用する必要があり、対応方法も変わるかもしれません。
引き留めに合ったときは、持ち帰る姿勢をみせよう
数日後に、しっかりと検討したことを伝えた上で「やはり新しい場所でこんなキャリアを実現したい」と話せば、Kさんの覚悟も伝わるのではないでしょうか。
転職先の企業とは、頻繁にコミュニケーションを取ろう
入社予定日に向けて、「〇日に上司と面談し、引継ぎ業務に入る予定です」「現在、引き留めにあっていますが、〇〇と伝えて理解してもらえるよう、上司とコミュニケーションをとっています」など、随時状況を伝えておけば転職先の企業側も安心でしょう。
例えば、「上司との退職交渉が難航しているので、説得のための時間を設定しました」「○○日までには退職の準備ができるようにしました」など、何とか進めようと動いていることを理解してもらうとよいでしょう。
なるべく早急に上司に退職の意思を伝え、引継ぎ業務に取り掛かっていきたいと思います。ありがとうございました。
こちらの記事も読まれています
新着記事
- 2024年4月16日ゼロからキャリアを再構築するための5つのステップと注意点
- 2024年4月11日悪循環になりがちな4つの転職パターンと好循環を呼ぶ6つの方法
- 2024年4月5日3年ごとに転職を繰り返したくなるのは何故?市場価値はどうなる?【転職相談室】
- 2024年3月27日連休を上手く使って転職活動を一気に進める方法
- 2024年3月26日転職でミスマッチが起こる要因とは?未然に防ぐ方法
- 2024年3月14日転職先で経験や知識を活かして活躍するためには?
- 2024年3月13日自分のスキルは、どのように伝えれば良いのでしょうか?【転職相談室】
- 2024年3月8日クリエイターの転職で重要な役割を果たす「ポートフォリオ」の作り方