40代でスタートアップ企業に転職することは可能でしょうか?【転職相談室】
創業間もないスタートアップ企業は、メンバーが少ないからこそ経営に近いポジションで事業を推進し、企業の成長とともに貴重な経験を得ることができる点が魅力です。
そこで今回は、「40代でスタートアップ企業への転職は可能?」というご相談に、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏がお答えします。
目次
40代でスタートアップ企業に転職することは可能でしょうか?(Mさん/営業職/41歳)
メガバンクで法人営業に従事し、支店の管理職に就いています。このまま今の会社にいても早期退職の可能性が高く、いっそのこと環境をガラッと変えてスタートアップ企業に転職し、創業メンバーの一員として企業成長のためにがむしゃらに働くことに挑戦したくなりました。ただ、子供が2人いて持ち家ということもあり、企業の安定性や収入の面で家族は不安そうです。
FinTech(フィンテック)関連のスタートアップ企業は増加しています。金融業界で培った知識を活かして転職することは可能なのでしょうか?
「年収が下がる可能性」「倒産するリスク」への覚悟を持とう
40代でスタートアップに転職することはもちろん不可能ではありません。ただし、世に新しい価値を提供しようとするスタートアップ企業は、ビジネスモデルが発展途上であるために、大きく成長する可能性も秘めていますが、事業化できなかった場合はすぐに資金不足に陥り、事業継続ができなくなるリスクも抱えています。
事業を成長するためには人材も含めて様々な投資が必要となるため、すでにビジネスモデルが確立されている企業に比べると、スタートアップへの転職では、前職と同じ給与水準を維持できるケースは多くはありません。
たとえ入社時点では給与が安くても、事業が順調に成長すれば将来的に高い報酬を得ることもありますが、事業が失敗していきなり失業することもあるのです。住宅ローンや教育費といった一定の支出計画をお持ちの方は特に、給与ダウンや倒産のリスクを慎重に考えることをお勧めします。
求人が少ないため、人脈やイベント、SNSなどを通じて接点を探ろう
それでもスタートアップへの転職を希望されている場合は、求人の探し方に工夫が必要です。少人数で事業を行っているため採用しようにも人手が足りず、新しい企業なので知名度もありません。また、社員一人ひとりがビジネスの前途を賭けた貴重な戦力なので、「信頼できる人を採用したい」という思いがあります。そのため、スタートアップの求人は転職サイトや転職エージェントで積極的に募集するケースは少なく、人脈を通じてリクルーティング活動を行う傾向があります。
顕在化している求人が少ないので、まず大学時代の同期、転職した同僚や上司、取引先など、スタートアップ界隈で働いている人に会って話をしてみましょう。社長や創業メンバーとつながりを持っている、または紹介を受けた方が採用の可能性は高くなるでしょう。また、スタートアップは平均年齢が若いことが多いため、40代が入社して馴染めるかどうかも重要なポイントになります。
もしこれまでの人脈を駆使してもなかなかスタートアップの関係者が見つからない場合は、スタートアップが開催しているミートアップイベントに参加したり、ビジネスSNSなどを使ってアプローチしたりすることで、思わぬ接点が生まれる可能性もあります。
「部門責任者」の経験を積んでから転職するという方法も
部門や役割が細分化されている大手企業と比べて、人材が十分でないスタートアップでは事業運営に関わる幅広い役割を担うことになります。
特に40代で転職する場合は、金融業界の専門知識や法人営業スキルだけでなく、管理部門の責任者としてバックオフィス全般を推進できる、または営業部門の責任者として売り上げを作り資金を調達する、といった役割も求められます。例えば、経理財務責任者として入社したとしても、「請求入金管理ツールの選定」や「事業拡張に伴うビル移転プロジェクトの責任者」も任される可能性があるのです。
そのため、現在のご経歴では、「スタートアップの多様性やスピードについていけるだろうか?」と不安に思われてしまうかもしれません。また、ご自身としても「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためにも、キャリアパスの一つの方法として、いきなりスタートアップに転職する以外にも、「事業会社や中小企業などで、管理部門や営業部門の責任者経験を積んでからスタートアップに転職する」という方法も視野に入れて、転職活動を行うことをお勧めします。
キャリアパスの一例
管理部門経験を積んで転職する場合
業界や企業規模は問わずに、まずは事業会社で経理財務、総務人事の部長クラスの経験を積み、「管理部門の責任者経験」「法人営業経験」を強みとしてスタートアップに転職する
営業部門経験を積んで転職する場合
メガバンクのような大企業ではなく、従業員数100~300名規模の中小ベンチャー企業で、営業部長、営業本部長、役員など、経営に近い経験を積み、「営業部門の責任者経験」「財務・資金調達などの事業運営経験」を強みにスタートアップに転職する
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