タイムパフォーマンスの良い転職活動のやり方とは?
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時間に対する考え方が変化し、じっくり時間をかけるよりも短時間で効率よく成果を挙げたいという人が増えています。そのため転職活動においても、「タイムパフォーマンス(タイパ)の良い転職活動がしたい」と考える人がいるようです。
そこで、タイムパフォーマンスの良い転職活動をするにはどうすればいいのか、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏に伺いました。
タイムパフォーマンス(タイパ)とは?
タイムパフォーマンスとは「時間対効果」のこと。投資した時間に対して得られる成果のことを指します。
似たような言葉に、コストパフォーマンス(時間対効果)がありますが、こちらは支出した費用に対して得られたものを指します。比較的安価な費用で、予想外においしいものが食べられたり、質のいい商品を手に入れられたりしたときに「コスパが良い」などと言います。
タイムパフォーマンスも同様で、投資した時間が比較的短いのに、高い成果が得られた状態を「タイパが良い」と言います。
転職活動において、仕事が忙しくて転職活動に割ける時間が限られている、できるだけ短期集中で転職先を決めたいなどという場合、タイパを重視して転職活動したいと考える人が多いようです。
タイムパフォーマンスの良い転職活動の基本行動
タイパの良い転職活動を行うためには、いくつかのポイントがあります。効率的に転職活動したい場合は、以下のポイントを意識してみてください。
期間を決めて一気に動く
転職活動の期間を決めずに活動すると、ズルズル長引いてしまう傾向にあるので注意が必要です。
例えば「3カ月以内」「6カ月以内」など、転職活動期間を定めたうえで、具体的なゴールの時期を設定しましょう。そこから逆算して「この期間は情報収集」「この期間は応募書類作成に充てる」など大まかなスケジュールを立てれば、ブレることなく計画的に活動を進められるでしょう。
複数の企業にまとめて応募することも大切です。自分の希望に合った求人に1つずつ応募する人がいますが、たとえ一次選考、二次選考と順調に進んでも最終選考で不合格となれば、また一から転職活動のやり直し。どうしても時間がかかってしまいます。
複数の求人に同時並行で応募すれば、時間が短縮できるだけでなく、比較検討ができるのでより良い選択ができるようにもなります。
デジタルをフル活用する
大まかな転職活動スケジュールを立てたら、仕事におけるタスク管理と同様、スケジューラーに落とし込んで管理するといいでしょう。具体的な日程が可視化できるので「今日のうちに応募先をピックアップしておこう」などと行動に移しやすくなります。定期的にアラートを上げるようにすれば、抜け漏れもなくなります。
応募先を探す際も、企業の採用ページに一つひとつ応募するよりも、転職サイトや求人専門の検索エンジンを活用したほうが効率的です。検索機能を使って希望条件で絞り込めば、応募したいと思える企業を素早く見つけられるでしょう。
Web面接を取り入れている会社に照準を絞るのも方法のひとつです。面接会場への行き帰りの時間を考えず、効率的に面接の予定を入れられるので、内定獲得までにかかる時間がぐっと短縮できます。
なお、内定承諾前には一度は会社を訪問し、社内の雰囲気などを確認しておくことをお勧めします。
目的別に情報収集の方法を変える
業界動向や企業情報をつかむには、情報収集が重要になります。特に企業情報は応募書類作成や面接対策に必要不可欠なので、このフローを省略することはできません。
少しでも効率化するためにお勧めしたいのは、目的ごとに情報収集の方法を変えること。例えば、転職ノウハウや転職市場の動向を知りたい場合は、転職サイトや転職エージェントがお勧め。転職サイトに掲載されている求人を見れば、どのような業界・職種の求人ニーズが高く、どんな経験やスキルが求められているのかつかむことができます。
転職エージェントは担当業界・企業と密にコミュニケーションを取っているので、志望業界や企業に関する最新動向や事業戦略など採用情報以外にもさまざまな情報を持っています。公になっていない非公開求人も多数保有しているので、思わぬ求人と出会える可能性もあります。
個別企業に関する詳しい情報は、企業のホームページを読み込むのが最善策ですが、手っ取り早くリアルな情報を知りたいならば、採用担当者が書く企業ブログやSNSなどをチェックしても良いでしょう。自社のトピックスやイベントなどを発信しているケースが多く、会社の雰囲気もつかむことができます。
タイムパフォーマンスを下げる転職活動の注意点
実は、効率を重視したい人がうっかりやってしまいがちな「タイパを著しく落としてしまうNG行動」があります。以下の点に注意し、対策しておくことをお勧めします。
転職の目的を明確にせぬまま行動する
「今の仕事は向いていないから」「勤務先の体制が嫌だから」など、“辞める理由”は明確なのに、“転職の目的”が定まっていない人が見受けられます。
方向性がぶれていると、いいなと思う求人に場当たり的に応募し、志望理由をうまく伝えられず残念な結果になってしまったり、逆に求人のどこに注目すればいいかわからずなかなか決め切れなかったりするなど、時間ばかりかかってしまいます。
まずは転職活動を始める前に、この転職で何を実現したいのか、何を成し遂げたいのか、自分自身と向き合いじっくり考えてみましょう。多少時間はかかるかもしれませんが、目的が明確になれば意思決定もスムーズになり、効率もアップします。
面接準備をしない、振り返りをしない
面接は誰しも緊張してしまうもの。頭が真っ白になり、質問にうまく答えられなかった…というケースは少なくありません。「準備する時間がないから」「きっとなんとかなるだろう」とぶっつけ本番で臨むのは、あまりに無謀です。
面接をスムーズに進めるためには、求人を読み込み求める人材像を理解した上で、面接で伝えたいことを整理しておくことが重要。しっかり事前準備を行っておけば、緊張を和らげることもできます。できれば声に出して練習し、イメージトレーニングしておくといいでしょう。
また、面接でうまく答えられなかったことはそのまま放置せず、その日のうちに振り返りを。どう答えればよかったのか考え整理しておけば、同じ失敗を繰り返すことがなくなり、結果的にタイパを上げることができます。
転職先を決めぬまま会社を辞めてしまう
「仕事が忙しすぎて転職活動ができないから」などの理由で、転職活動前に退職を選ぶ人がいますが、あまりお勧めはできません。
確かに退職すれば、時間に余裕が生まれるので転職活動に集中でき、面接の日程調整もしやすくなるというメリットがあります。その結果、転職先がすぐに決まれば、タイパは高いと言えます。
ただ一方で、思ったように転職活動が進まなかった場合、「早く決めなければ」と焦りが生じ、十分に見極めぬまま転職先を決めてしまう恐れがあります。
また、転職活動が長引けば、それだけブランク期間も長引きます。企業からの印象が悪くなる可能性もあるので、正当な理由がない限りは勢いで辞めるのは避けたほうがいいでしょう。
転職活動では、ときに「じっくり考える」ことも重要
転職活動は、「転職先を決める」だけものもではありません。転職活動を通して、自分の思いや価値観と向き合ったり、強みや持ち味に気づいたりすることもできます。
したがって、転職活動でタイパばかりを重視すると、自身の本当の価値観や強みなどに気づけないまま、転職先を決めてしまう可能性があります。その結果、価値観と合わない企業に入社してギャップを感じたり、強みを活かしきれない環境で悶々としてしまったりする恐れもあります。
転職は人生の大きな決断であり、転機になり得るもの。そして転職活動は自分自身と向き合う貴重な機会です。効率化できる部分はタイパを重視し、じっくり考えるべきところは時間をかけて自分と向き合うというように、メリハリをつけて転職活動に臨むことが重要です。
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