転職したい会社に質問メールを送りたい。書き方のポイントは?【例文付き】
応募前や選考中、内定後など、それぞれのフェーズで企業側への相談や質問がある場合は、メールで問い合わせてもいいのでしょうか。
質問・問い合わせメールを送る際の注意点やポイントを、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに聞きました。
企業にメールで問い合わせするのはアリか
応募前であっても選考中であっても、企業に質問や問い合わせメールを送ることに問題はありません。しかし、メールを送る前に一度、ビジネスメールの基本マナーをおさらいして、企業に失礼のない内容を送るようにしましょう。
メールを送る際の基本マナー
ビジネスメールの基本は、「簡潔にわかりやすく書く」ことです。
例えば「件名」には、短い文字数で内容が伝わるよう、「募集職種についてのご相談/(名前)」、「面接希望日程のご連絡/(名前)」などのキーワードを入れます。
企業から送られてきたメールに返信する場合、件名は変えずに「Re:」がついた状態で、宛先のCC欄にメールアドレスが入っている場合は、CCも入れたまま全員に返信しましょう。
本文では、冒頭に宛名(◯◯株式会社 採用担当◯◯様など)、次に挨拶文を入れ、自分の名前を名乗ってから本題に入ります。
挨拶文については、応募前など初めて連絡する際は、冒頭に「突然のご連絡失礼いたします」「お世話になっております」と書くのが一般的です。
しかし、選考中など何度かやり取りしている場合は、「先日は、お時間を頂きありがとうございました」と、先にお礼を述べるなどして、状況に合わせて内容を使い分けましょう。
本文については、まずは冒頭ではっきりと要旨・結論を伝えてから、詳細を記載します。もしも、いくつか伝達事項がある場合は、箇条書きでポイントを伝えるのもおすすめです。
ちなみに、ビジネスメールの書き方については、下記で詳しく紹介しています。
質問を送る際の例文とポイント
では、応募前や選考中など、それぞれのフェーズ別に問い合わせメールを送る際のポイントを、例文とあわせて見ていきましょう。
【応募前】募集状況に関する質問
これは、採用ホームページを見てもわからない情報について、企業側に事前に問い合わせるケースです。
- 募集が締め切られているが、まだ応募できるのか
- 募集職種は他にないのか
- 希望の時期に入社したいが可能か
など、さまざまな問い合わせ内容があるでしょう。
応募前の連絡については、企業側にとっては“見知らぬ人”からの問い合わせのため、企業側の事情によっては、対応の優先順位が下がることもあります。企業側に重要な人物だと思ってもらったり、早めに返信してもらうためのポイントは、メールで問い合わせした背景と同時に、自分のスキル・経験などのアピールポイントを盛り込むのがポイント。
それにより、企業側には「採用につながる人物かもしれない」と判断してもらえる可能性が高まるかもしれません。
【例文】
件名:募集職種についてのお問い合わせ/〇〇(名前)
本文:
◯◯株式会社 採用ご担当者様
突然のご連絡失礼いたします。
貴社の採用ホームページを拝見し、ご連絡いたしました、私、精密機器メーカーで技術営業をしております〇〇と申します。
私は、半導体部品の技術営業を5年間経験しており、前年比売り上げの〇%アップに貢献するなどの業績もございます。今後は、扱う商材の幅をもっと広げたいと思い、貴社に興味を持っております。
採用ホームページでは、技術開発職を募集されていらっしゃいますが、技術営業職の採用のご予定はありますでしょうか。
もしもございましたら、ぜひ応募を検討したいと考えております。
お忙しいところ誠に恐縮ですが、ご教示いただけますと幸いです。
(署名)
上記のメールを送る際、仮に事前に知りたいことがたくさんあったとしても、一度に質問事項を複数列挙して送るのは、企業にとってはあまり心証がよくないようです。
なぜなら、セキュリティーやコンプライアンス意識の高い企業は、「求職者を装って何らかの利益のために、情報だけ引き出そうとしているのではないか」と、捉える可能性もあるからです。
個人情報をどこまで伝えるかは、人それぞれの考え方がありますが、業界や職種、経験年数などある程度のキャリアが相手企業にわかるように記載し、質問する意図もきちんと伝えるようにしましょう。
【応募前】採用条件に関する質問
仮に求職者が採用条件を満たしていない場合でも、関連するスキル・経験があれば企業側が選考を検討するケースもあります。
もしも、「このスキルはないけれど、こんな実績はある」とアピールできるのであれば、応募前にメールでアピールポイントをしっかり盛り込み、応募の可否について問い合わせてみましょう。
【例文】
件名:採用条件と応募可否についてのご相談/〇〇(名前)
本文:
◯◯株式会社 採用ご担当者様
突然のご連絡失礼いたします。
金融機関で法人営業をしております〇〇と申します。
この度、貴社採用ホームページで拝見した営業職の応募条件について質問があり、ご連絡いたしました。
採用ページでは、求めるスキル・経験に、法人営業経験5年以上並びマネジメント経験と書いてありました。
私は、法人営業経験は3年間と短いのですが、その前にコールセンター業務とマネジメント業務を計4年間ほど経験しています。そこで、サービスに寄せられるさまざまなご相談やご要望を、法人営業の提案や対応に活かして実績を上げてまいりました。
応募条件には合わないものの、もしもこのような経歴でも応募可能でしたら、ぜひ応募書類をお送りさせていただきたいと考えております。
お忙しいところ誠に恐縮ですが、応募の可否についてご検討いただけますと幸いです。
(署名)
【応募後】応募職種の変更に関する質問
求職者の中には、応募書類を提出した後に応募職種を変更したいという方もいらっしゃいます。
転職活動を始めて、改めてキャリアについて考えたとき、「やっぱり〇〇職に挑戦したい」「〇〇職のキャリアを深めたい」と路線変更するケースです。
もし、すでに応募した企業に応募職種の変更について相談する場合は、職種変更を決めた背景等もきちんと伝えることがポイントです。
【例文】
件名:応募職種変更についてのご相談/〇〇(名前)
本文:
◯◯株式会社 採用ご担当者様
お世話になっております。
先日、応募書類をお送りさせていただきました、〇〇と申します。
すでに○○職に応募した後に誠に恐縮ですが、営業職から営業企画職への応募職種の変更についてご相談したく、ご連絡いたしました。
私は、営業と営業企画をそれぞれ3年間ほど経験しています。転職活動を進める中で、今後のキャリアについて改めて見直したとき、やはり企画職を中心に実績を上げていきたいと考え直しました。
もしも可能でしたら、今回は営業職ではなく、営業企画職としてご選考いただけると大変幸いです。
ご対応いただける際は、営業企画職での経験・実績、貴社でどう貢献できるかなど改めて整理し、書類をお送りさせていただければと考えています。
お忙しいところ恐縮ですが、ご検討の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(署名)
【面接後】処遇面に関する質問
給料や業務内容、勤務地などの処遇面については、基本的には、面接の中ですり合わせしていくことをおすすめします。
ただし、給料などの条件面は、面と向かって聞けないまま、選考が進んでいってしまうケースも珍しくはないでしょう。
もしも、面接ではクリアにならなかった内容がある場合は、担当者に改めてメールで質問・問い合わせするなどして不明点を解決し、すっきりとした気持ちで選考に進めるようにしましょう。
【例文】
件名:給与等処遇面について/〇〇(名前)
本文:
◯◯株式会社 採用ご担当者様
お世話になっております。
〇〇です。先日の面接ではありがとうございました。
この度は、面接ではお伺いできなかった給与面について、改めて確認させて頂きたくご連絡しました。
貴社の想定年収は400~600万円とありましたが、私のスキルや経験を鑑みて、具体的にいくらで考えるとよろしいでしょうか。
尚、現在の年収は500万円ですので、同等の金額でご検討頂けましたら大変幸いです。
上記の処遇面につきましては、本来は面接時に確認すべきところを大変申し訳ございません。現時点で開示いただける範囲で結構ですので、ご教示いただけますでしょうか。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
(署名)
なお、もしも転職希望先の会社と次回の面接が決まっている場合は、そこでクリアにしたい内容等を一度整理してみて、問合せ内容のメールと一緒に事前にお知らせしておくのもポイント。
例えば、「**について前回は詳しくお伺いできなかったので、二次面接の際に教えていただきたいです」と伝えておけば、企業側も事前に回答を準備することができるでしょう。
そのように、企業側と丁寧なコミュニケーションをとれるように気をつけることで、印象アップにもつながります。
【面接後】選考状況に関する質問
面接の際に、「選考の結果は、追ってご連絡します」と言われたけれど、いつまでたっても連絡がこない、などのケースも少なくないでしょう。
こうした事態は、人事担当者の業務上の都合や、現場の採用担当者がなかなか採用可否を決めてくれないなど、さまざまな事情により多々起こります。
もしも面接後、5営業日ほど経っても音沙汰がない場合は、こちらから選考状況について問合せする積極性も必要です。
その際は、「他社の選考も含め、貴社を前向きに検討したいから」「現職のプロジェクトが終わり、○○の時期までに転職を検討したいから」など、結論を急ぐ理由をしっかりと伝えることがポイントです。
【例文】
件名:選考状況についてのご相談/〇〇(名前)
本文:
◯◯株式会社 採用ご担当者様
お世話になっております。
〇〇です。先日の面接ではありがとうございました。
その後、選考結果の状況をお伺いしたく、ご連絡しました。
他社の選考が同時に進んでおり、〇日が内定受諾の回答期限となっています。
貴社から内定いただけるのであれば、ぜひ貴社に入社したいと考えておりますので、△日までにご連絡をいただけますと大変幸いです。
お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(署名)
【内定後】入社時期を変更したいときの質問
入社することは決めたけれど、現職の事情などで入社時期を変更したい場合、転職先の企業には相談ベースでメールを送りましょう。
企業側は、入社予定時期に合わせて配属予定である部署の仕事状況を調整したり、引継ぎを行うケースがあります。また、備品購入などの準備を進めている可能性もあり、内定者の入社時期がずれると困ることも少なくありません。
転職先に迷惑をかけているという気持ちを忘れないことを前提に、企業側と丁寧なコミュニケーションをとることがポイントです。
【例文】
件名:入社時期変更についてのご相談/〇〇(名前)
本文:
◯◯株式会社 採用ご担当者様
お世話になっております。
〇〇です。
この度は入社時期についてご相談があり、ご連絡しました。
現在、9月1日に貴社への入社を予定しており、退職交渉を進めております。
ただ、担当しているプロジェクトで、他メンバーが今月末で急遽退職することになったことで引継ぎ業務が滞り、退職時期が後ろ倒しになりそうです。
そこでご相談なのですが、貴社への入社を、10月1日に変更することは可能でしょうか。
もしも難しい場合は、9月第二週での入社など、できる限り当初の予定に近づけられるよう努力してまいります。
大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今後も、退職状況については頻繁にご連絡いたしますので、ご検討の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(署名)
まとめ
企業への質問や問い合わせメールに限らず、人と人とのコミュニケーションの基本は、「相手の立場を考える」ことです。
質問や問い合わせメールで、相手にこちらのお願いばかりを押し付けるのではなく、どんな情報を伝えたら相手は動きやすいか、前向きに検討いただけそうか、ということを常に考えて、丁寧な情報共有を心がけていきましょう。
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