仕事で頑張ったことがなく、自己PRや面接で困っています【転職相談室】

転職活動で聞かれる「これまでの仕事内容」や「自己PR」で、何を伝えればいいか分からないと悩む事務職のRさん。
「とくに頑張ってきたことがない」と話す相談者に、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんがお答えします。
目次
仕事で頑張ったことがないので、面接で「これまでに力を入れた仕事」「自己PR」を聞かれてもうまく答えられません(Rさん/事務職/27歳)

新卒で入った会社に、事務として3年ほど勤めていますが、これといって仕事で頑張ったことや力を入れたこと、実績・成果を上げたことがありません。
普段の仕事では、ミスを恐れるあまりに確認の手間を増やしがちで、「仕事が遅い」と指摘を受けることもあり、後輩よりも仕事の対応量が少ない日も少なくありません。
転職活動の面接では、「これまでに力を入れた仕事」「自己PR」などを聞かれることも多いのですが、その度に回答に困っています。仕事で頑張ったことや、成果を上げたことが思いつかない場合は、どうすればいいでしょうか。
仕事で頑張ったこと・力を入れたことの探し方
▶アドバイザー
事務として3年経験を積んできたんですね。頑張ってきたことがないと悩むのは、「分かりやすい成果や実績がなければいけない」と思うあまり、ご自身を過小評価している可能性もあります。
▶相談者
毎日の仕事を淡々とこなしてきただけなので、力を入れた仕事と言われても、特段言えることがないと思ってしまうんです。
▶アドバイザー
そういう時には、入社当初から現在の変化や成長を考えてみるのがオススメです。自己PRで話す内容は、華々しい成果や表彰実績、リーダー経験といったものではなくても大丈夫ですよ。
Rさんが一番時間を割いたこと、小さな変化や成長、少しの工夫などを一つひとつ整理して、書き出していきましょう。
▶相談者
そうなんですね。そう聞くと少しホッとしました。
▶アドバイザー
早速ですが、これまでの仕事を振り返ってみて、この3年でできるようになったことはありますか。
▶相談者
経理事務の仕事をしているので、内容の理解を深めたくて簿記3級を取りました。ごく基礎の勉強をしただけですが、経理に少し興味が出たので、これからは2級も取得したいなと考えています。
▶アドバイザー
いいですね。簿記3級は資格としてはベーシックなものかもしれませんが、誰から言われることなく、自ら勉強しようと動いたのは、Rさんに学ぶ姿勢や成長意欲があるから。そこは一つのアピールポイントだと思いますよ。
▶相談者
Excelの応用スキルも自分なりに磨いてきたのですが、ミスしないよう慎重になりすぎるあまり仕事が遅くて…。新しく入ってきた後輩がテキパキと業務をこなしているのを見ると「まだまだだな」と感じます。
▶アドバイザー
周りとの比較ではなく、ご自身の中で成長したことでいいんです。Excelのどんな応用スキルを得たのかを具体的に整理すると、その経験を求めてくれる企業があると思います。
▶相談者
そうなんですね!業務に必要だから身につけてきただけ、と考えていました。
▶アドバイザー
ご自身は特段工夫したつもりもなく、何気なくやっていることが、実はスキルにつながっている、ということもあります。
▶相談者
うーん…それはあまりイメージがつかないです。
▶アドバイザー
例えば、「社内外の会議の日程調整・準備」を担当しているとしましょう。誰でもできるシンプルな仕事だと思われがちですが、調整に工数がかかっている、連絡漏れがある、アジェンダの共有が遅い…など、細かな課題は実はたくさんあります。
それに対して、「日程調整ツールをもっと活用してもらうように、社内への周知を定期的に行った」などの行動があれば、“工夫して取り組んだこと”の一つになります。
▶相談者
なるほど。そんなに小さな、具体的なことでも「力を入れたこと」として話していいんですね。
▶アドバイザー
一人ではなく、チームで取り組んだことや身につけたこと、成長を感じたことでもいいでしょう。Rさんはどんなチームで仕事をしてきましたか。
▶相談者
メンバー4人で営業事務、経理事務などそれぞれの役割を分担してきました。私は経理事務として、社内から寄せられる問い合わせに対応することが多かったので、その質問や回答の中身、やりとりを整理してマニュアルとしてまとめ、チームに共有しました。
▶アドバイザー
素敵な取り組みですね。情報を整理・分析する力や、チームに働きかける力などを自己PRでも話せるのでは。
▶相談者
そうですか!チームメンバーは「これがあれば、新しいメンバーにも情報共有がしやすい」と言ってくれて、うれしかったのを思い出しました。
挫折経験も、伝え方次第では「頑張ったこと」としてアピールになる
▶アドバイザー
失敗したりうまくいかなかったりした経験も、課題をどうとらえ、どんな工夫によって乗り越えたのかを整理してみましょう。
▶相談者
私は「仕事の遅さ」をよく指摘されていたので、そこが課題でした。
▶アドバイザー
では、例えば次のように“自分なりに工夫したポイント”を話すのも一つの方法です。
ミスを恐れるあまりに確認の手間を増やしがちで、「仕事が遅い」と指摘を受けたことがありました。仕事は頑張っているのに後輩よりも明らかに対応量は少なく、3年目にして挫折を感じました。
落ち込んでいても始まらないので、それからは「作業スピード」を意識するように。Excelの使い方を勉強し、実際に時間を計って、作業時間を短縮するために自分なりに工夫を続けました。1日の終わりに「チェック時間」を設け、確認はまとめて行います。作業スピードが上がって終了タスクが増えると、大きな達成感を得ることができました。今も、日々の工夫を心掛けています。
▶相談者
なるほど。とてもわかりやすいです。こうして例を提示されると、私の中で工夫したポイントもいくつか思い出せそうな気がします。さっそく書き出してみますね。
企業は「これまでに力を入れた仕事」「自己PR」「実績」を通して、何を知ろうとしているのか
▶相談者
そもそもの疑問なのですが、転職の面接ではどうして自己PRを必ず質問するのでしょうか?正直なところ、この質問を通して採用担当者が何を知りたいと考えているのか分からないので、何をどう答えれば魅力を感じてもらえるのか判断できずに迷ってしまうんです。
▶アドバイザー
企業が面接で知りたいのは主に2つですね。「活躍する可能性」と「定着性」です。自己PRでは、「活躍する可能性」を中心に見ようとする企業が多いでしょう。
▶相談者
「活躍する可能性」というと、どれだけ優秀かどうかを見ているということですか?
▶アドバイザー
似ていますが、少し違いますね。「活躍する可能性」では、企業が求める経験スキルを持っているかを見ます。あくまで“可能性”なので、現時点では持っていなくても、成長して身につける意欲がありそうかなども見ています。
また、自己PRに交えられた仕事の取り組み方や価値観が、企業文化・社風とマッチするかで、入社後の定着性も見ているでしょう。
▶相談者
では、転職活動では、求人情報の人材要件に合った「経験スキル」や、それにつながる内容をアピールするといいんですね。
▶アドバイザー
そうです。事務職では、PCスキルや資格といった専門スキルだけではなく、「スケジュール調整力」「プロジェクトの管理力」「データなどの集計・加工」などが求められることもあるでしょう。社内のプロジェクトを取りまとめた経験、後輩や部下の指導経験などを必要とする企業もあります。
▶相談者
なるほど。スキルの他にはどういったことをアピールするとチャンスが広がりますか?
▶アドバイザー
人柄や性格特徴なども転職活動では大切です。「新しい物事に意欲的に取り組める人」「物事に柔軟に対応できる人」「組織全体を俯瞰して見られる人」など、企業によって求める要件は異なってきます。
まずは、求人情報や採用ホームページなどを読み込み、何が求められているのかを理解することが大切です。その上で、そこに合致する「頑張ったこと」をアピールしていきましょう。
華々しい経験がなくても大丈夫です。まずは自分の仕事を1つ1つ振り返るところから始めてみてはいかがでしょうか。
▶相談者
そうですね。自分には何も言えることがないと落ち込んでいました。私なりにやってきたことがあるのかも!と前向きな気持ちになれたので、改めてこれまでの取り組みを振り返ってみたいと思います。今日はありがとうございました!
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