下積みのような業務内容の繰り返しで、成長が実感できません【転職相談室】

早くスキルアップしたいのに、長い間の下積みなど無駄なのでは…という焦りと、大した実績がないまま転職できるのかという不安に揺れる相談者。
下積み期間中も新たな学びを得る工夫などについて、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタント・粟野友樹氏がアドバイスします。
目次
入社以来、下積みのような業務を繰り返すばかりで実績が作れず、成長実感も持てません。転職すべきでしょうか?(Dさん/24歳/製造業)

【相談内容】
新卒で入社し、3年目になりました。業務内容は相変わらず下積みのような仕事が中心で、新しい仕事を任される機会は当分訪れそうにありません。このまま在籍していてもキャリアに行き詰まりそうなので、転職を考えていますが、下積み経験しかない今の私に理想的な転職ができるとも思えません。どうしたらいいでしょうか?
若い世代からうかがえる成長意欲の高さ
▶アドバイザー
現在はどのような仕事を担当しているのですか?
▶相談者
大手電機メーカーの人事部で、新卒採用を担当しています。
具体的には、毎年掲載している新卒採用のサービスに募集告知のサイトを発注する業務や学生向けのインターンシップ募集、会社説明会の運営などに携わっています。
▶アドバイザー
下積みのような仕事だと感じている理由は何ですか?
▶相談者
仕事がルーティン化していて毎年同じことの繰り返しなので、単調だと感じています。
今の部署では、30代半ばを過ぎないと、新しい企画の提案など取り合ってもらえそうにありませんし、次のステップに進みたくても、先輩が多く先がつかえているため、時間がかかりそうで…。
正直、焦っています。
▶アドバイザー
今のままでは、当分その状況が続きそうなんですね。
下積み期間は、業界や職種、企業規模などによってさまざまですが、Dさんの勤め先のように、大手企業のほうが時間をかけて人を育てていく傾向にあるようです。
また、下積みの捉え方は人それぞれですし、世代によってもかなり違います。
リクルートマネジメントソリューションズが発表した『新入社員意識調査2022』によると、働く上で大切にしたいことのトップは、「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」。仕事をする上で重視することのトップ2は、「貢献」と「成長」。
この調査結果からも、Dさんのような若い世代の人々からは、スキルアップや成長実感に対する意識の高さがうかがえます。
▶相談者
私も、新しいスキルや知識を得られないと感じていて、成長実感が持てずモヤモヤしています。
▶アドバイザー
近年は経済産業省が「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業費補助金」の公募を行うなど、リスキリングによる転職を奨励しています。
世間的にも、早く成長することを良しとする風潮、個人がスキルを身に付けて生き抜いていくのがいい、というイメージが定着しつつあるようです。
▶相談者
確かに、若い人たちが活躍している業界や企業に転職すれば、下積み期間が短く、すぐに仕事を任せてもらえて、成長できるという印象を持っています。
今成長実感が伴わなくても、無駄とは言い切れない
▶アドバイザー
Dさんのような考えは否定しませんし、成長実感の伴わない下積みは、確かに苦痛かもしれません。
ですが、下積みのような仕事でも何か得られるものがあれば、無駄ではないと言えます。
実は、「下積みができることはラッキーだ」という考え方もあるんです。
▶相談者
どういうことですか?
▶アドバイザー
下積み期間が長いということは、経験スキルに応じて、体系的に順を追って仕事の機会を得られる環境にいるかもしれないんです。
ベンチャー企業などは、若手でも早い段階から活躍できるチャンスがあるという見方もできますが、一方で、会社として組織や教育体制を整備する余裕がなく、下積み期間を設けられないという見方もできます。
特に20代前半のころは下積み期間が長いと焦るかもしれませんが、下積みで社会人としての基礎、足腰の土台がしっかりと出来上がっていれば、20代後半に入ってからは成長度合いが一気に高まる可能性もあります。
▶相談者
そう聞くと、下積みの捉え方がちょっと変わってきます。
▶アドバイザー
ですから、下積み期間をもっと中長期的な目線で考えてみてはいかがでしょうか。
今は無駄だと思うかもしれませんが、将来役立つ可能性がある――下積みには、そういうメリットがあるんです。
▶相談者
そうですね。わかりました。
下積み期間中も新たな学びを得る工夫を
▶アドバイザー
ところで、Dさんが下積みだと感じている仕事でも、自らアクションを取ることで成長実感が得られるかもしれません。
その方法について探ってみましょう。
▶相談者
ぜひ、お願いします。
▶アドバイザー
例えば、新卒採用業務でも毎年決まったサービスを利用するのではなく、もっと的確に採用ターゲットにリーチできるようなサービスを探して変更するようなことはできませんか?
▶相談者
なるほど、そういった提案であれば通るかもしれません。
▶アドバイザー
ほかにも、同期のメンバーを巻き込んで動画を作成して説明会で紹介するなど、今の仕事の延長線上で何か工夫をすることで、新しい成長実感を得られる可能性はあります。
▶相談者
確かにそうですね。今まで状況に焦りつつも、自分から積極的に働きかけることはしていませんでした。ほかにも自分で工夫ができることがあるか、考えてみます。
転職活動の前に、キャリアプランの更新を
▶相談者
ところで、いろいろと試みても成長実感が得られず、転職したい場合はどうすればいいでしょうか?
▶アドバイザー
重要なのは、転職活動に入る前に、まず自分のキャリアプランの更新をすることです。
▶相談者
具体的には、どうすればいいのでしょう?
▶アドバイザー
これまでの経験・キャリアを棚卸しして、自分の得意なこと、大切にしたいことを明らかにしてください。
その上で、ワークライフバランスはどの程度重視したいのかなど、自分のライフプランも考えながら、転職後も人事として歩んでいきたいのか、ほかの仕事に就きたいのかなど、キャリアの方向性を見直しましょう。
▶相談者
わかりました。ところで、第二新卒のような私の状況は、やはり転職では不利なのでしょうか?
▶アドバイザー
第二新卒だからといって、それが理由で不利になることはありません。
むしろ、若いからこそポテンシャルに期待できる、ほかの業種や職種にキャリアチェンジしやすいという見方もできます。
Dさんの場合も、下積みと感じた間にも、大組織での仕事の進め方や社内交渉力、資料作成能力などのポータブルスキルを培ったはずです。それらを有効にアピールしてください。
▶相談者
そう聞いて安心しました。そのようにしてみます。
下積み期間が短い企業の探し方
▶相談者
下積み期間が全く無駄にならないと理解したものの、私の場合、下積み期間はやはり短いほうがやりがいに繋がりそうです。
そのような企業を探す方法があったら教えてください。
▶アドバイザー
下積み期間は、どの企業にもあると思っておきましょう。
その上で、期間が比較的短い企業を探すのなら、下記のような条件を参考に検索してみてください。
・若手人材が活躍しやすい環境という意味で平均年齢が若い企業 → 検索ワード例:平均年齢20代 ・早期に戦力化を求められるという意味で中途採用者が多い企業 → 検索ワード例:中途入社50%以上 ・年次等ではなく実力や成果を評価する環境という意味でインセンティブ制度のある企業 → 検索ワード例:インセンティブあり |
▶相談者
わかりました。そのほかに転職にあたっての注意点などがあったら教えてください。
▶アドバイザー
下積み期間がごく短いベンチャー企業などに転職した場合、いきなり仕事を丸投げされることも考えられます。
仕事を一気に任されて、今までとのギャップに驚く可能性がありますから、覚悟はしておきましょう。
▶相談者
わかりました。まずは、成長実感を得られるような仕事の工夫から始めてみます。
貴重なアドバイスをありがとうございました。
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