社会人経験が浅くてもできる「スキルの洗い出し」方法は?【転職相談室】

社会人経験が浅く、成果を出したと言える仕事もないため、アピールできるようなスキルが見つけられなかったという相談者。
組織人事コンサルタントの粟野友樹さんが、社会人経験の長さに関係なくできるスキルの洗い出し方法と、手軽なやり方をアドバイスします。
目次
社会人経験が浅く「スキルの洗い出し」が上手くできません(Jさん/22歳/営業)

<相談内容>
都内で就職したのですが、家庭の事情で地元に戻りたいと考えています。
転職活動では、スキルの洗い出しが大切だと知りやってみたのですが、入社してまだ1年と経歴が浅く、転職活動でアピールできるようなスキルがありませんでした。どうすればスキルを見つけることができますか?それとも、経験が浅い場合にはスキルの洗い出しは不要ですか?
社会人経験が浅い場合にも、スキルの洗い出しは必要
▶アドバイザー
スキルの洗い出しは、経験の長さに関係なく必要です。ポテンシャルや仕事へのスタンスが評価されやすい第二新卒でも、スキルのアピールは必要だからです。
▶相談者
やはりそうなんですね。漠然と「スキルの洗い出し」と言いましたが、アピールするスキルというのは具体的にどういう風に見つけていけば良いのでしょうか?
▶アドバイザー
まずは「キャリアの棚卸し」をして、これまでの仕事を振り返ることから始めます。そして、取り組んできた仕事の成果の中から、自分なりの工夫やこだわりを探し、自分の強みとも言えることを抽出するやり方が一般的です。
▶相談者
社会人歴が短いため仕事で身につけた特別な技能がないのですが、その場合はどうしたら良いですか?
▶アドバイザー
スキルには2つの種類があります。Jさんがイメージしているような、「特別な技能」は、特定の職務を遂行する上で必要となる専門的な知識・技術である「テクニカルスキル」と言います。
これに対して、業種や職種に関わらず通用する、持ち出し可能な能力である「ポータブルスキル」です。
社会人経験が浅い場合には、テクニカルスキルよりも、ポータブルスキルに注目して考えてみる方が考えやすいかもしれませんね。

引用:厚生労働省:ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)より
▶相談者
なるほど。専門的な知識・技術を探しだすのよりは、少し気が楽かもしれません。
そうは言っても、業種や職種に関わらず通用するような力が、この短い経験の中で身についているのかと言われると不安ではあるのですが…。
▶アドバイザー
「自分なりに強みを言語化することに価値がある」と考えてみると良いでしょう。特に、仕事のスタンスや、ポテンシャルも重要視される第二新卒では、言語化した強みやスキルの習熟度は低くても大丈夫です。
▶相談者
そうなんですね。転職活動では、「自分はこんなに凄いことができる」とアピールできなければいけないと気負っていました。
▶アドバイザー
「スキル」というと何かすごいことが出来なければいけないと感じるかもしれませんが、そんなことはありません。
また、20代前半であまりにも高いスキルがあるとアピールしすぎると、企業側から「この人は自信過剰で謙虚さが足りていない」と思われかねません。等身大の自分のままで大丈夫ですよ。
▶相談者
それを聞いて安心しました。
社会人経験の浅い第二新卒でも簡単にできるスキルの洗い出し方法
▶相談者
スキルの洗い出しは、自分なりに強みを言語化することだとおっしゃっていましたが、具体的にはどんな風に考えていけば良いのでしょうか?
▶アドバイザー
これまでの仕事を振り返って、業務を細分化していくと良いですよ。Jさんはご自身のことを、営業職として目に見える実績が乏しく、経験も少ないという風に考えているようですが、日々何かしらの業務は行なっていますよね。
▶相談者
はい。先輩社員の営業に同行しています。先輩がヒアリングをする場に同席をして議事録をとったり、その議事録を元に次回の提案資料の内容を先輩から支持を受けて準備をしたりしています。
▶アドバイザー
では、その業務を通して、「楽しいと思ったこと」「自分から進んでやってみた工夫」「誰かに喜ばれたこと」などはありますか?
▶相談者
資料を作成するのが好きです。提案資料はフォーマット化されていて、顧客ニーズに合わせて組み合わせるパターンを変えるのが基本なのですが、私は顧客が気にしていそうなポイントを予想して、オリジナルの補足資料を追加するようにしています。
顧客にも先輩にも好評だったいくつかの補足資料は、上司に掛け合って、公式資料として社内に展開してもらいました。それは、本当に嬉しかったですね。
▶アドバイザー
なるほど。このエピソードだけでも、Jさんの強みとして言えることが、いくつかありそうですよ。
▶相談者
えっ、そうですか?確かに嬉しかったエピソードではありますが、スキルや強みと言えるようなことではないと思っていました。
▶アドバイザー
例えば、顧客に喜んでもらえるような資料を作成するためには、顧客のニーズを把握して、それにマッチする情報を取捨選択する必要があります。それは、「コミュニケーション能力」「整理する力」「分析する力」と言えるでしょう。
また、上司に掛け合って公式資料として社内に展開してもらったことは「交渉力がある」とも言えることです。
▶相談者
こういった小さなことも「スキル」として打ち出してもいいんですね。
▶アドバイザー
もちろんです。自分では大したはないと思っていたようなことも、他者からすると「思いつかなかった、やっていなかった凄いこと」になることは往々にしてありますよ。
▶相談者
なるほど。
▶アドバイザー
今は、一例として資料作成を取り上げてみましたが、顧客や同僚との関係の作り方などにも、Jさんなりに配慮していたことがあるでしょう。
例えば、顧客のスケジュールを予測して、負担にならない訪問時間を提案することで次回のアポイントを取りやすくしている、メールチェックが苦手な相手には、まずメールで概要を送った後に、電話や口頭でも伝えるようにしているなど、どんな小さなことでも良いのです。
▶相談者
そういうことなら、探せば見つけられそうな気がしてきました。
▶アドバイザー
スキルというのは、主に自己PRで「〇〇力」があるという風に使うところです。「自分なこんなことに気を配って仕事をしていて、今後もこういう力を伸ばしたい」と伝えられるようになれば、志望動機にもつながりますよ。
▶相談者
ありがとうございます。やってみます!ちなみに、業務を細分化していく以外にも、スキルの考え方はあるんでしょうか?
より手軽にできるスキルの洗い出し方法
▶アドバイザー
そうですね。まずはきっかけとして、より手軽にできることとして、診断ツールを使ってみるのも良いでしょう。
▶相談者
転職活動に使えるような、スキルの診断ツールがあるんですか?
▶アドバイザー
例えば、自分にどんなポータブルスキルがあるのかを診断するためには、一般社団法人人材サービス産業協議会が提供している「ポータブルスキル セルフチェック」を使うのも1つの手です。
他にも、ミドルシニア層のホワイトカラー職種の方がキャリアチェンジ、キャリア形成を進めるために厚生労働省が提供している「ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)」もあります。
▶相談者
そんなものがあるんですね。
▶アドバイザー
転職に特化したものとしては、リクナビNEXTが提供している「グッドポイント診断」を使って、自分の強みを診断することもできます。
これは、約30分でできる本格的な診断サービスで、質問に答えていくだけで、18種類の中から、あなたの強みの5つを診断することができます。

▶相談者
スキルの洗い出しに時間をかけられない場合には、こう言った診断ツールをまずは使ってみるのも良さそうです。
▶アドバイザー
そうですね。まずは自分にどんな強みやスキルがありそうかを把握して、その後、それにまつわるエピソードがないかを探してみるという方法も1つのやり方だと思いますよ。
▶相談者
そうですね。具体的な方法をいくつも教えていただいたおかげで、スキルの洗い出しに再挑戦できそうです。本日はありがとうございました。
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