転職したいけれど、忙しすぎて先のことを考える余裕がありません【転職相談室】

忙しい職場で、仕事を続けながら転職活動を両立するのは生易しいことではありません。そのため、「転職したいけど忙しく、なかなか始めることができない」と、転職活動への第一歩を踏み出せない方も多いようです。
そこで今回は、「転職したいけれど、忙しすぎて先のことを考える余裕がありません」というご相談に、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏がお答えします。
目次
転職したいけれど、忙しすぎて先のことを考える余裕がありません(Jさん/営業/30歳)

■相談内容
新卒入社したIT企業で営業リーダーをしています。リーダーも営業目標を持っており、担当顧客への営業活動と並行して若手メンバーの教育と数字管理もしなければなりません。そのため、毎日残業続きであっという間に時間が過ぎていきます。
ただ、忙しく働いている割に、自社の業績は伸び悩んでいます。移動時間などで目にするSNSでは、成長企業に転職した同期が楽しそうな投稿をしており、「ずっとこの会社に在籍していていいのだろうか」「転職した方がいいのではないか」「将来のキャリアを考えた方がいいのではないか」という気持ちになります。でも、仕事が忙しすぎて先のことを考える余裕がありません。どうしたらいいでしょうか。
転職で迷っている場合は、まず転職の優先順位を整理しよう
▶アドバイザー
「転職した方がいいのではないか」とのことですが、Jさんは、どのような理由で転職を考えたのでしょうか?
▶相談者
毎日残業続きなので、家族からは「その業務時間で今の給与は割が合わない」とか「残業が少ない企業に転職して家事を手伝ってほしい」などと言われています。
以前からワークライフバランスの整った企業に転職を考えていましたが、一方で不安もあります。今の職場はもう8年も勤務していて居心地がよく、人間関係に不満はほとんどありません。残業を減らしたいと思いつつも、新しい職場で活躍できるか不安で転職に踏み切れずに現在に至ります。
▶アドバイザー
ご状況はよく分かりました。確かに転職すると働く環境や人間関係などが大きく変わるので、不安をお持ちの方も少なくありません。まずは、Jさんが実現したいこと、優先したいことについて、整理してみましょう。転職で特に実現したいのはどのようなことでしょうか?
▶相談者
ワークライフバランスの実現ですね…。忙しすぎて、先のことを考える余裕がないんです。給与は現在と同じでいいから、早く帰れる職場がいいです。
▶アドバイザー
残業が多く大変そうですね。勤務先の従業員の方は、みな残業が多いのでしょうか?
▶相談者
全員というわけではありません。自分は営業リーダーで、日中に営業に行っていた後輩を夕方から指導するので、どうしても残業時間が多くなります。心配性で、細かく提案資料や営業進捗などを確認していることも、残業時間が増える原因の一つかもしれません。
転職活動の時間を捻出するため、残業時間の短縮から始めてみる
▶アドバイザー
転職活動をするにしても、毎日残業ばかりでは、求人に応募したとしても面接の調整が難しいなど、なかなか前に進まないかもしれません。もし、転職を急いでいないのであれば、まず目標を設けて、残業時間を減らすことから始めるのはいかがでしょうか?
例えば、他の営業リーダーにどのように時間を使っているか聞いてみたり、スケジューラーやカレンダーを使用して、具体的に何にどのくらい時間を費やしているのか計算してみたりして、働き方を変えてみるのです。
生産性の向上は、どの企業も期待していることです。もしパフォーマンスを維持しながら残業時間を減らすことができれば、それは現職でも評価されるでしょうし、転職活動でのアピール材料にもなるでしょう。
▶相談者
なるほど、まず残業を減らして時間的な余裕を作り、そこから転職活動を始めるわけですね。「転職した方がいいかも」と思いつつ手を付けられず焦っていましたが、まず転職活動の時間を捻出することから始めた方がいいかもしれません。
▶アドバイザー
はい。オンライン面接が増えているとはいえ、転職活動には応募書類の作成や求人への応募、面接の準備など、一定の時間は必要です。業務に影響を与えずに転職活動をするために、まず残業時間の見直しから始めてみましょう。
転職する明確な「目的」がないのであれば、まだ転職のタイミングではない
▶相談者
残業時間を減らした後についての動き方についてもご相談させてください。転職活動は、どのように始めたらいいでしょうか。
▶アドバイザー
まず、転職の目的を整理することから始めましょう。ワークライフバランス以外に、転職で実現したいことはありますか?
▶相談者
現職の残業問題が解決してしまうと、これと言って明確な目的が浮かびません…。もちろん、所属企業の業績が伸び悩んでいて不安なので、できれば成長企業の方がいいし、給与も多い方がいい。でも、「それは絶対に今転職して叶えたいことなのか?」と問われると、それほど強い要望があるわけでもありません。
▶アドバイザー
ひょっとしたら、まだ転職するタイミングではないのかもしれませんね。
▶相談者
そうかもしれません。成長企業に転職した同期がうらやましくなったり、家族から残業の多さを指摘されたり、30歳になって何となく焦りが出てきたりしたところに、自社の業績の伸び悩みが重なって、「これはもう転職しかない!」と頭が一杯になっていました。
転職活動をすることによって、新たな気づきを得ることができる
▶アドバイザー
現在の職場の人間関係は良好とのことですし、現在の職場に強い不満がないのであれば、現職でキャリアを考えていくという方法もあります。ただ、先ほど「転職するタイミングではないのかもしれない」とお伝えしましたが、一度は転職を考えたのであれば、後悔のないようにいずれは転職活動をしてみた方がいいかもしれません。
転職活動を通じて、譲れない条件を整理したり、応募する求人を探したりするうちに、今は顕在化していない「転職に求めていること」が明らかになるということもあります。また、応募や面接に進むことで、経験・スキルへの転職市場での評価が掴めるので、今後のキャリア形成に活かすこともできるでしょう。
転職活動は、実際に体験してみないと分からないことが多く、「最初は全く興味のなかった業界・企業だったが、話を聞いてみたら強く惹かれて入社を決めた」というケースも珍しくはありません。結果的に転職しなかったとしても、実際に転職活動をすることで、頭の中で考えているよりも様々なことが見えてくるでしょう。
▶相談者
そうですね。新卒で入社して、転職活動をしたこともなかったので、私の知らないこともたくさんありそうです。
▶アドバイザー
転職活動を始める場合は、あらかじめ「3カ月間」「年内」など、転職活動期間を決めて集中して取り組むと長期化しにくくなります。
まず、キャリアの棚卸しをして応募書類を作成し、興味を持った求人に応募します。複数社に応募すると、「3社応募すると2社書類選考を通過する」「5社中、1社しか通過しない」など、書類選考の通過率が分かってくるので、応募数の目安にしてみて下さい。一人で転職活動を進めるのが不安な場合は、転職エージェントを活用してもいいでしょう。
また、転職サイトや転職エージェント、ビジネスSNSなどにレジュメを登録しておいて、企業や転職エージェントからのオファーを待つという方法もあります。できるだけ求人との接点を広げた方が、マッチする求人に出会う可能性が高まるでしょう。
▶相談者
分かりました。まずは残業を減らす取り組みをして、創出した時間で転職活動を始めたいと思います。アドバイスありがとうございました!
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