仕事を頑張りすぎて疲れてしまいました…【転職相談室】

期待に応えるため頑張り過ぎて疲れてしまった場合、どうやって現状を変えればいいのでしょうか。日々の仕事にしんどさを感じることでの転職という選択はアリなのでしょうか。
組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にアドバイスいただきました。
目次
会社に期待され、数字を追い続けるのに疲れてしまった…(Kさん/26歳/営業職)

■相談内容
営業職に就いて3年経ちました。成績はそこそこよく、会社からも期待されていると感じます。しかし高く設定された目標数字をずっと追い続けることに疲れてしまいました。もっと自分のペースで働ける会社への転職も考えているのですが、こんな理由で転職するのはアリでしょうか?(広告代理店・営業・26歳)
期待されているもの以上を追い過ぎていないか?
▶アドバイザー
3年間、高い目標数字に対してしっかり成果を出し、頑張ってこられたのですね。
▶相談者
若いときには経験値を上げるためにがむしゃらに頑張ろうと決めていました。上限ギリギリまで残業をすることは当たり前でしたし、仕事を家に持ち帰ることもありました。休みの日は、営業される立場を体験できる場所に出かけて参考にするなど、仕事に対してはちょっとストイック過ぎたかもしれません。
▶アドバイザー
営業職にとって成果を出すというのはキャリア形成上でも重要なことですから、会社から期待されている以上に頑張るのは、それはそれで素晴らしいことです。しかし、無理をして、プライベートを犠牲にしてまで頑張り続けていると、いつか必ずひずみが出ます。心身のバランスが取れなくなって、仕事に悪影響を及ぼすことだってあるでしょう。
Kさんは既に限界近くまで来ているのではありませんか?長く安定して働くことを考えれば、ここで少しペースダウンしてもいいと思います。
▶相談者
確かに、もうバースト寸前です。このしんどすぎる状況はどう打破したらいいのでしょうか?
▶アドバイザー
バースト寸前ということは、Kさんはワーカーホリック(仕事中毒)に陥っているのだと推察されます。仕事にやりがいを感じてさえいれば、多少忙しくても仕事が楽しくて仕方ない状態(ワーク・エンゲージメントが効いた状態)になり、疲れは感じにくいはずだからです。
まずは、仕事に対する思考や思いを整理するために、「仕事に対する自分の思い」と向き合ってしてみましょう。
会社が掲げた営業目標の数字に対しては高い達成率を誇っていると思いますが、定量的な数字以外の部分でどんな仕事に誇りを感じますか?
▶相談者
数字以外の部分とは?
▶アドバイザー
例えば、営業として成長するとか、顧客と深いつながりを持つことで何か感謝されるなど、一見して数字には出てこないような仕事です。
▶相談者
思えば、数字を上げることだけに精一杯で、他のことはあまり視野に入っていなかったように思います。
▶アドバイザー
「会社の目標・目的」に向かって、がむしゃらに頑張ってきたわけですね。ここに「自分個人の目標・目的」も設定すると、仕事に対する視野が広がり、現状を打破する突破口も見つかってくると思います。
あらためてお聞きしますが、数字以外の部分で、仕事に対して何か感じていることはありますか?
▶相談者
そうですね…。別のチームの先輩や同僚の営業ナレッジが社内で共有されたり表彰されたりするのですが、いずれも「顧客との深いつながりができた」とか、「顧客の事業理解を深めていい提案ができた」といった内容なのが気になっています。
自分が褒められるのは数値目標を達成したことばかりなので、自分にはそういう面が足りていないのだと感じています。
▶アドバイザー
なるほど。数字での成果を出してきたけれど、顧客と深くコミュニケーションを取るような仕事はあまりできていないということですね。では、Kさんは本来どんな営業をしていきたいのでしょうか? 今の仕事でのジレンマもあればお話しください。
▶相談者
そういえば、潜在課題に対してアプローチするような営業や、新規開拓だけでなくクライアントの業績に寄与するような戦略的な提案をする営業をしたいと思うことがあり、先輩や同僚を羨ましく思うことがありました。「がむしゃらに高い数字を追い続けるのではなく、もっとじっくり顧客と向き合いたい」という気持ちがあるのに、現実では数字ばかりに執着していました。
今の仕事でのジレンマは、現在担当している顧客がいずれも予算が少なく、数値目標を達成するには数をこなさなければならないことです。担当顧客数が多いので、顧客対応だけでも時間をとられます。
▶アドバイザー
顧客にじっくり向き合いたいという、Kさんの潜在的な思いが見えてきましたね。数字に対して責任感があるのはいいことだと思いますが、営業として今後成長していくことを考えれば、自身の思いに沿って方向転換を考えてもいいでしょう。
今の会社で、自分から働きかけをできることはありそうですか?
▶相談者
どんな働きかけですか?
自分のペースでの働き方が叶わないならば転職も一つの方法
▶アドバイザー
例えば、上司に自分が目指したい方向性を相談して可能であれば担当客層を変えてもらう、今の部署で目指す営業スタイルの実現が難しい場合は異動をお願いする…などが考えられます。
3年間しっかりと成果を出して評価されているKさんの希望ならば、会社として配置転換や異動も前向きに検討してくれるのではないでしょうか。それでも希望が叶わないようであれば、転職という選択も一つの方法です。
▶相談者
転職する場合、どのように転職先を探したらいいでしょうか?
▶アドバイザー
営業職で探す場合は、「何を」「誰に」「どのように」の3つで考えると、応募先が整理しやすくなります。ここでは、じっくり顧客と向き合う営業スタイルを希望する場合で考えてみましょう。
「何を(どんな商品、サービス)」では、コンサルティング、IT、Web、金融など無形の商材を扱う業種がいいでしょう。企業にもよりますが、有形商材ではどうしても価格や商品スペックなどに左右されがちになるからです。
「誰に(営業する相手先)」では、中堅・ベンチャーに比べると予算額が大きい、大手企業向けの営業が経験できる会社で探してみましょう。
そして「どのように(仕事内容)」は、Kさんの志向を考えると、新規開拓よりも既存顧客向けの営業で、ある程度の商品力やブランド力、顧客規模のあるところで探すのがいいのではないかと思います。
一方で、スタートアップベンチャーに「1人目の営業」として入社する考え方もあります。営業の主軸となって、自分が顧客を育てていく立場に就くのもありかもしれません。営業職にこだわらないのであれば、自社サービスの活用度や満足度を高めるためのコミュニケーションやサポートを行う「カスタマーサクセス」という職種も選択肢に入れていいでしょう。
目指す働き方を叶えられるかどうかが、転職先を探す際のポイントです。
▶相談者
わかりました! 転職活動で気をつけることはありますか?
転職活動では前向きな思いを伝えよう
▶アドバイザー
初めに仰っていた「頑張りすぎて疲れた」や「自分のペースで働きたい」といった言葉は、単に楽をしたいだけなのではないか、視野が狭すぎるのではないかといった誤解を与えてしまう可能性があります。
また、「頑張ってやり切った」といったニュアンスの言葉も、まだ3年しか働いていないのに成長する気がないのかと思われてしまいますから避けたほうがいいでしょう。
転職活動では、「疲れた」というネガティブな理由の裏にある前向きな思いを伝えることが大切です。営業を頑張ってやってきたということをベースに、「じっくり顧客と向き合う営業がしたい」との思いを伝えるといいでしょう。
▶相談者
ありがとうございました。転職を視野に入れながら、行動を始めてみたいと思います。
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