「譲れない条件」を面接でうまく伝えるにはどうすればいいか教えてください【転職相談室】
転職するにあたり、自分なりに譲れない条件はあるものの、面接できちんと伝えられる自信がないと悩む応募者は少なくありません。
どうすれば、面接官の心証を損ねずにうまく伝えることができるのか、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏がアドバイスします。
目次
転職をするにあたり、「譲れない条件」があります。ですが、それを面接で伝えるのが苦手です。どうすればうまく伝えられるでしょうか?(Yさん/25歳/IT系営業職)

企業はあなたの「譲れない条件」を聞きたがっている
相談者
譲れない条件を決めておくことは、やはり大事なんですか?
アドバイザー
転職活動の途中で変わってもかまわないので、仮決めをしておくといいですね。そうしないと、まず応募先を絞ることができませんし、選考が進んでいく中で最終的に決め切れなくなってしまう可能性もあります。
相談者
ですが、選考の段階で譲れない条件などを切り出して、選考に不利になったら…と心配です。
アドバイザー
その心配はわかります。例えば「残業のことを持ち出すと、働く意欲が低いと思われるのではないか」「細かい希望を言うと、面倒くさい人物だと思われそう」など、実は転職活動中によくある悩みなんです。
相談者
同じような悩みを持つ人は多いんですね。やはり、内定も出ないうちに言い出すのは、良くないマナーなのでしょうか?
アドバイザー
そんなことはありません。むしろ企業は、マッチングの観点から、応募者の譲れない条件を聞きたいと思っているんです。
相談者
そうなんですね。ちょっと安心しました。
言い出すタイミングはできるだけ早い段階で
アドバイザー
それに、ミスマッチを防ぐためにも、できるだけ早い段階で提示したほうがいいんです。
相談者
早い段階ということは、通常は面接で聞かれるものなんですか?
アドバイザー
はい。ただ、企業によって一時面接か二次面接かで聞かれるタイミングは異なりますし、最後まで聞かない企業もあります。
相談者
聞かれなさそうな場合は、どのタイミングで切り出せばいいのでしょう?
アドバイザー
面接の最後に、「何か聞きたいことはありますか?」という逆質問の場があると思うので、そこで切り出すといいでしょう。
ただし、伝え方には配慮が必要です。
相談者
具体的には、どんな点に配慮すればいいのでしょうか?私はまだ希望条件をしっかり絞りきれていないのですが、今のところ年収やワークライフバランスなどの面は譲れないと考えています。
【譲れない条件の伝え方①】年収
アドバイザー
譲れない条件として一番多く挙がるのが、Yさんも挙げた、給与や手当などの年収です。現職で400万円だった年収を500万円と提示する場合、500万円とする根拠や背景をきちんと伝えましょう。
例えば、「現職で昇進予定があり、それに伴って昇給する予定がある」など、相手が納得できるような説明を付け加えることがポイントです。
相談者
条件を提示し、その根拠をきちんと説明することが大切なんですね。
アドバイザー
それから、年収を伝える際には、企業側が検討しやすいように、「最低〇〇万円、希望は〇〇万円」と2つを提示するほうがいいでしょう。
譲れない条件を希望として伝えることは問題ありませんが、希望ばかりを強く押し出してしまうと、心証を損ねてしまう場合もあるからです。
相談者
わかりました。
【譲れない条件の伝え方②】ワークライフバランス
相談者
ワークライフバランスを重視して、勤務時間や残業・休日、勤務地などを譲れない条件に挙げる場合は、どんな配慮が必要ですか?
アドバイザー
自分の置かれている状況や考えを、コミュニケーションをとりながら伝えることが大切です。
例えば、「現職では残業が月20時間程度だったので、それと同等を希望している」「子どもの学校通学の都合で、勤務地は〇〇を希望する」「親の介護があるので、リモートワーク中心で働きたい」などです。
相談者
その条件を希望する事情を説明するわけですね。コミュニケーションをとりながら、というのはどういう意味ですか?
アドバイザー
自分の希望を伝えつつ、相手の考えや状況を確認するんです。例えば「現職はほぼリモートワークで、今後もその働き方を希望していますが、御社の現状はいかがでしょうか?」というふうに、自分の状況を伝えつつ相手の状況を確認していくコミュニケーションです。
相談者
もしリモートワークを実施していない会社だったとすれば、交渉の余地がなさそうです。譲れない条件として伝えても、あまり意味がないように思えますが…。
アドバイザー
今すぐには無理かもしれません。ですが、働き方改革の影響もありますし、社員が働きやすい環境を目指している企業であれば、リモートワークを希望する声があると知り、環境を整えるきっかけになることもあります。入社後に希望がかなうかどうかを確かめるためにも、コミュニケーションを図るといいでしょう。
相談者
確かにそうですね。私は育休がしっかり取得できることを条件にしているのですが、どう切り出せばいいでしょう?
アドバイザー
まずはその会社の取得率や復帰率を知っておきましょう。その上で、「将来的に家庭も大事にしながら、仕事と両立したい」という希望を伝えつつ、会社の今後の方向性を聞いて、さらに推進していく考えがあるのかどうかを確認してみるのがいいと思います。
相談者
推進する考えがある企業なら、私が取得するころには希望通りになっているかもしれない、ということですね。
【譲れない条件の伝え方③】仕事内容
アドバイザー
中には、「自分の専門性に特化したい」「新しいことにチャレンジしたい」など、譲れない条件に仕事内容を挙げる人もいます。
相談者
確かに、仕事内容はワークライフバランスにも関わってきますね。その場合は、どう伝えればいいのでしょうか?
アドバイザー
例えば、新しいことをやりたいのであれば、「新しいこととはどんな仕事なのか」「なぜそれをやりたいのか」を伝えること。そして、「入社後どれぐらいのタイミングでやりたいのか」についても伝えるのがいいでしょう。
相談者
やりたい仕事について、できるだけ具体的に提示するんですね。
アドバイザー
そうです。
相談者
ちなみに、「自分の専門であるこの仕事以外はやりたくない」という強い意思がある場合は、「絶対に」と言い切っていいものなのでしょうか?
アドバイザー
妥協して後悔するぐらいなら、「絶対に」と伝えてもかまわないでしょう。ただ、年収の例でもお話しした通り、幅を持たせて伝えるほうが内定のチャンスは広がると考えられます。
【譲れない条件の伝え方④】入社日
相談者
ちなみに、入社日の場合はどう伝えるのがいいですか?
アドバイザー
企業側は、採用が決まったら早く入社してほしいのが本音なので、「引き継ぎに〇週間程度必要なので、希望は〇月〇日。最短で〇月〇日」と、幅を持たせて伝えるのがいいでしょう。
相談者
わかりました。
譲れない条件を伝えて落ちたとしても、後悔する必要はない
相談者
譲れない条件を主張して内定がもらえなかったら、「言わなければよかった」と後悔しそうですが…。
アドバイザー
それは考え方次第です。「ミスマッチを未然に防げた」と思えばいいのです。ただ、譲れない条件にあまり固執しすぎずに、「最低限ここからのスタートならOK」と自分の中で幅を持たせておくほうが、チャンスは広がると思います。
相談者
一方で、遠慮して言い出さないのも駄目なんですね。
アドバイザー
そうですね。曖昧にしたまま選考が進んでしまうと、Yさんにとっても採用側にとっても納得のいかない結果となりかねません。それでは誰もハッピーにならないので、伝えたいことはしっかりと伝えましょう。
相談者
お話を聞いて、心のモヤモヤが晴れました。自分の譲れない条件にどのような幅を持たせるべきか、見直してから次の選考に臨みます。ありがとうございました。
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