若手を求める企業に「組織図」改革を提案 “シニアを後継者の参謀に”というポジションメイクが課題解決につながった “GOOD AGENT AWARD 2019” 特別賞
株式会社みどり会 岡田 誠氏
カリスマ経営者にも事業継承の悩みがあった。「組織図」を用いたコンサルティングによって、“若い後継者”を支える新体制構築がスタートした。
目次
本当に必要な人材は社長の参謀では?「助さん・格さん」でポジションメイク
「企業の本当のニーズを探し出す」を信条とする岡田氏。“依頼された求人票”が真のニーズとは限らない。統括部長採用につながった本件は、まさに同氏の真骨頂だ。
「求人のお話をいただく時に極力組織図を見せていただくようにしています。当該案件の狙いや社内の位置付けが明確になるだけでなく、組織上の課題が見えてきて次の提案にもつながります」
A社は56年前、会長(78歳)が創業した酒類卸業。現在は44歳の長男が社長を務めるオーナー企業だ。しかし、会長から見ると社長はまだまだ心許ない。腹心だった部下は高齢で退職し、社長の右腕となる幹部の育成も道半ば。今般『各部門の管理職クラスを採用して社長の脇を固めたい』という意向で岡田氏が呼ばれた。
「数年前、同じような事業継承の悩みを抱えた中小企業がありました。創業者のカリスマ性が強く、後継者と次世代の幹部が育っていないとお悩みでした。組織図を見せていただくと、オーナーがすべてを管理しているという体制。そこでオーナー家と各社員をつなぐ“助さん格さん(参謀)”の採用を提案しました。参謀の採用を機に組織は活性化し、会社としても大きく変革できたと評価をいただきました。」
その企業の組織図のサンプル(採用前→採用後→変革できた新体制)を会長にお見せすると、『なるほど』ということで方向性が定まり、組織改革がスタートすることになった。
経験豊富なシニアを“参謀”に。会社・求職者双方に“トリセツ”を用意
「当初は社長が若いこともあってミドル層の採用を検討されていました。『できるだけ若くてイキのいい人がいい』と。しかし私は、若手に固執するよりも、会長と社長の調整役ができる“参謀”で、かつ社長の脇を固めつつ社員を盛り立てることができる人材として“統括部長”というポジションを創設し、シニアも対象に含めて探しましょうと提案しました。『年齢は不問で了解した。いい方を探してほしい』とご依頼いただくことになりました。」
白羽の矢を立てたBさんは、メガバンクに33年勤め、何店もの支店経営に従事した後、一般企業でオーナーの“参謀”を経験した人物。実務経験はゼロに等しく、A社の営む卸業の経験・知識も全くないが、現場との一体感を大切にし、泥臭い仕事も厭わない姿勢の持ち主だった。本人も『参謀として私がお役に立てるなら本望』と最初から前向きだった。
「面接に向けて、私から双方に“トリセツ”を用意しました。相手の魅力や課題も正直にお伝えし、入社後にどういうふうに一緒にやっていくかもアドバイスしました」
現場は朝が早く、夜も集金などで遅い。休日は少なく、取引先となるのは海千山千の飲食業者。そうした業界の難しさをしっかり伝えることでBさんの理解を得た。
一方A社側も『銀行の支店長を歴任した人がわが社とマッチするだろうか』と心配していたが、岡田氏はBさんの現場を重視する姿勢を説明。「現場に出て一緒に汗をかくことから始めたい」と考えていることも伝え、不安を払拭することに繋げた。
シニア採用の成功事例を積み上げることが人手不足解消の試金石になる
Bさんの入社後の仕事ぶりは高く評価され、役員のポジションを打診されるまでに至っている。ご本人は「じっくりいきましょう」と保留したが、近々取締役副会長のポストが予定されているとのこと。「現場との関係も良好で、様々な課題に対して着実に手を打っておられるそうです。」
ポジションメイクで60歳の転職を後押しできたことは、今後シニア人材活用への試金石になる。若手の即戦力がほしいと“ないものねだり”を言い続ける求人企業は多いが、現実は容易に採用できるわけではない。だからこそ「経験、役割、人物像がマッチするならばシニアの採用も前向きに考えられる、という企業を増やすことで誰もが幸せになれるはず」と岡田氏は語る。
「シニア採用の成功事例を具体的に示せたこと、組織図を見せていただけるような関係を構築できたことがポジションメイクに繋がったと思います。我々が親身になって真のニーズを把握し、その解決策をアドバイスすることで信頼感が高まれば、紹介会社としてさらにアドバンテージを取りやすくなり、本当の意味でお役に立てると思います」
転職者・企業へのメッセージ
【転職者の方へ】
「採用してほしい」と思うだけでは相手に伝わりません。履歴書や職務経歴書が自分本位にならないよう、求人企業ごとにカスタマイズする工夫も必要です。ぜひご相談ください。
【企業様へ】
“若手の優秀な人材”にこだわった求人活動で苦戦される企業様が多いです。欲しい人材と求職者市場のギャップをどう埋めるか、時代に合わせた変革が必要だと思います。
【プロフィール】
株式会社みどり会 岡田 誠氏
1985年に銀行に入行し一貫して法人営業を担当。2014年関連会社みどり会に入社。人材紹介チームのプレイングマネジャーとして、銀行時代のコンサル経験を活かして中堅中小企業のオーナーや経営幹部から多岐にわたる相談を受けている。
特別賞受賞者
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