IT人材不足と聞きますが、なかなか転職できません【転職相談室】

巷では「技術者(IT人材)不足」と聞くものの、いざ転職活動をしてみると思うように決まらない。
その原因はどこにあるのか、どうすれば望むような転職ができるのか、と悩む相談者に、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタント・粟野友樹氏がアドバイスします。
目次
世の中IT人材不足と聞きますが、なかなか転職できません。原因と対策を教えてください(Uさん/26歳/ITエンジニア)

【相談内容】
SES(System Engineering Service:システムエンジニアリングサービス)会社に在籍し、現在は客先常駐SEとして金融機関で既存システムの運用・保守を担当しています。できればもっと知名度のある企業の開発か、大手企業で上流工程に携わりたいと思い、転職活動中です。世の中は技術者不足と聞いていたのでスムーズに決まるかと思いきや、なかなかうまくいきません。その原因と対策を知りたいです。(Uさん/26歳/ITエンジニア)
まずは転職活動内容を見直してみる
▶アドバイザー
Uさんが転職しようと思った理由を聞かせてもらえますか?
▶相談者
ユーザーとして興味を持っているプロダクト・サービスに携わり、スキルアップしたいと思ったからです。あとは、年収アップです。
▶アドバイザー
転職活動中とのことですが、具体的にはどんな企業に応募しているのですか?
▶相談者
誰でも知っているWebアプリの会社やスマホアプリの会社が中心です。あとは上流工程に携われる業務システム会社など、10社ぐらいに応募しました。
▶アドバイザー
応募した手ごたえは?
▶相談者
ほとんとが書類選考で落ちています。面接に進んだ会社もありましたが、1次面接で終わってしまい、手応えなしの状況です。
▶アドバイザー
そうでしたか。エンジニアとして、これまでどのような経験を積んできたのでしょうか?
▶相談者
SES会社に在籍し、現在は客先常駐SEとして銀行でレガシーシステムの運用・保守を担当しています。その前は、製造業で同様の仕事をしていました。
▶アドバイザー
応募しているのは開発業務とのことですが、実務で開発に携わった経験はありますか?
▶相談者
開発といってもExcelVBAぐらいで、実務経験はほとんどありません。そこから脱したくて転職を考えているんです。
▶アドバイザー
なるほど、状況はわかりました。
IT人材不足とはいえ、需要が高まるのは先端IT人材
▶相談者
ニュースなどでIT人材不足だと聞いていたので、簡単に転職できると思っていたんですが、実際はどうなのでしょうか?
▶アドバイザー
IT人材が不足していることは確かです。少子高齢化が進んでいることや、IT分野の技術進展が急速に進んでいて求められるスキルや能力が変化していることから、IT人材の確保が求められている状況です。
▶相談者
ということは、やはりIT人材の需要は高いわけですね。
▶アドバイザー
はい。とはいえ、2019年に経済産業省の『IT人材需給に関する調査』(※)によると、今後急速に需要が増加すると見込まれているのは、“先端IT人材”なんです。
▶相談者
先端IT人材とはどういう人材ですか?
▶アドバイザー
AIやビッグデータ、IoTなど、第4次産業革命に対応できる先端IT技術を担うIT人材です。
▶相談者
かなりハイレベルな領域の人材ということですね。
▶アドバイザー
一方、今のところは従来から続くIT需要が大半を占めていますが、中長期的にはその市場規模は縮小すると予想されています。つまり、従来からのIT業務に対応する“従来型IT人材”の需要は減少していくと見込まれているんです。
▶相談者
つまり、私のような従来型のIT業務はニーズが減っていくということなんですね。
▶アドバイザー
そうかもしれません。
▶相談者
私の転職が難航している原因もそこにあるんでしょうか?だとしたら、どうすればいいのでしょう?
経験・スキルと応募先とのミスマッチを解消
▶アドバイザー
確かに、従来型IT人材が供給過剰になりつつあると考えれば、その影響も多少はあるかもしれません。ただ、Uさんの転職活動状況を確認したところ、今の課題は経験・スキルと応募先とのミスマッチにあるようですね。
▶相談者
どういうことですか?
▶アドバイザー
ほとんど開発経験がない中で大手企業の開発業務に応募しているため、経験・スキルのミスマッチが生じているんです。今回の場合は、もっと段階を追ってキャリアを積んでいくことを考えた方がいいでしょう。
▶相談者
どのような方法があるのでしょうか?
▶アドバイザー
まず考えられるのは、一次請け企業や開発未経験OKの企業、新卒採用もしていて育成体制が整っている企業などに転職して、開発のスキルを習得していく方法です。
▶相談者
確かに、いきなり大手企業の開発業務は、高望みし過ぎていたかもしれません。
▶アドバイザー
あるいは、今すぐの転職は見送って、現職でスキルアップしてから転職に臨むという方法もあります。
▶相談者
現職でできることとは、具体的にどんなことですか?
▶アドバイザー
例えば、社内研修で新しいスキルを身に付ける、開発プロジェクトに加わってスキルを磨くなどです。ほかにも、スクールでプログラミング言語を学ぶ、独学で習得する、副業で力をつけるといった方法もあるでしょう。
▶相談者
副業でスキルを養うという選択肢もあるんですね。
▶アドバイザー
最近は、エンジニア向けの副業案件のマッチングサイトもありますから。単価は安いかもしれませんが、勉強しながら経験を詰めるのなら悪くないと思います。
▶相談者
確かにそうですね、調べてみます。
▶アドバイザー
いずれにしても、新しいスキルを身につける努力(行動)をしていることは、転職時のアピール材料になります。また、顧客折衝や提案、プロジェクトのリーダー的役割などの経験もアピール材料になります。
実務でさまざまな経験を積んで、書類や面接で伝えられることを増やしていけば、近い将来、希望する転職がかなうと思います。
▶相談者
わかりました。IT人材はニーズが高いと思って安心して構えていましたが、お話を聞いて目が覚めました。希望通りの転職ができるよう、先端IT人材を目指して新しいスキルを身につけようと思います。参考になるアドバイスをありがとうございました。
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