転職の内定獲得は運次第だと思うのですが、事前対策は必要でしょうか?【転職相談室】
周りは“運よく”転職できた人が多いと話す相談者のOさん。
運次第なら事前対策は必要ないのでは?と疑問を持っているようです。
事前対策や準備はなぜすべきものなのか、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんがお答えします。
転職の内定獲得は運次第だと思うのですが、事前対策は必要でしょうか?(Oさん/法人営業/26歳/男性)

新卒で入った大手の通信系インフラ企業で3年ほど法人営業を担当しています。
既存顧客営業で安定して働けていますが、担当企業が数社で、大きな商談が年に数回のみのため、もっと商談回数を重ねて提案営業の力を鍛えたい…と物足りなさを感じています。
転職活動を始めようかなと、周りの転職経験者に話を聞いたところ、「面接官と相性が良くて採用になった」「スカウトをもらった企業が条件にぴったりだったのですぐ決めた」というケースばかり。
特段準備をしていなかったのに、志望していた有名企業を1社だけ受けて内定をもらった先輩もいます。
転職は運とタイミング次第だなと思ってしまうのですが、事前対策は本当に必要なのでしょうか。
運も多少は影響するが、事前対策が大切である
アドバイザー
転職活動の結果は、運とタイミング次第-。
確かにそういった面はあるかもしれません。
例えばリーマン・ショックやコロナ禍など予期せぬ外的要因により、転職活動を始めたら経済状況が悪化した、という方もいるでしょう。ただ、「運の要素もある」ことと「事前準備や対策をしなくてもいい」というのは別の話です。
もし運よく内定、入社に至っても、事前対策をしなかったことで、転職活動後にギャップが生じる可能性があるからです。
相談者
志望企業に運よく入れたら、それでいい、というわけではないんですね。
アドバイザー
内定をもらった企業が本当に自分にとっての「志望企業」かどうかは、応募前に企業を選定する段階で、自分のキャリアを振り返り、企業情報を比較検討して考えていくものです。
事前準備や対策をしていないと、
- よく聞く企業名で知名度が高い
- 年収が高い
- 福利厚生が充実している
など条件面でしか企業を選べず、Oさん自身とマッチするかどうかという重要な視点が欠けてしまうことも…。
入社してから、仕事内容や働き方とのギャップが生じ、転職を繰り返すことになっては不幸ですよね。
相談者
そうですか。
転職した先輩は、「面接官との相性がよかったから、社風やカルチャーにも合っていると思った」と迷いなく決めたそうなのですが…。
アドバイザー
Oさんが周りの方に話を聞く姿勢はとてもいいことだと思います。
ただ、そこには落とし穴があって、先輩方の成功談のいいところだけを切り取って伝えている可能性があります。
もしかしたら、見えないところで自己分析や企業研究を重ね、悩んだり立ち止まったりした結果として「内定をもらえたのは運がよかった」と言っているかもしれません。
転職に向けた事前準備や対策で自分の理解を深めることは、キャリアを考えるいい機会になります。
その結果として、「転職をしない」という結論になってもいいのです。
様々な選択肢を検討したことで、これからの仕事にも納得感が生まれると思いますよ。
転職活動に必要な事前対策とは?
相談者
では具体的に、転職活動ではどんな事前対策をするべきなのでしょう。
転職理由や優先順位を明確にしておく
アドバイザー
まずは、転職理由を明確にすること。そして、転職先を選ぶ際の優先順位を考えることです。
Oさんのご相談からは、「営業としてもっと商談機会の多い環境で働きたい」という思いを感じました。
そこから転職理由を言語化していってはどうでしょう。
相談者
そうですね。
現職では、一年に数回ほど大きな商談に向けてお客様との長期的な関係構築を続けていくという営業スタイルです。
でも、自分はもっと細かく商談や提案の場数を踏んで、営業力を身に着けたい。
お客様の担当社数を多く任せてもらえるような環境がいいなと思っています。
アドバイザー
いいですね。今のお話からは、
- 商談周期が短期かつ、多くの案件を担当したい
- 一人に任される裁量権の大きな環境で働きたい
という考えが明確に見えてきます。
加えて、転職にあたり譲れない条件は何かを整理し、応募したい企業を絞っていくといいでしょう。
選んだ基準に一貫性がないと、選考に進んだ段階で「なぜ、うちの会社を志望するのか」を伝えられず、書類や面接でなかなか通らなくなってしまいます。
企業研究を行い、たくさんの求人情報に触れる
相談者
自分の転職理由や転職先企業に求めるものがクリアになっても、それがどの企業で叶えられるのかが分からないと意味がないですよね。
アドバイザー
そうです。
だからこそ、事前に企業研究をしっかり深めることが大事になります。
応募先企業では、営業相手(お客様)は誰になるのか、どんな商材を扱っているのか、営業担当はどれくらいの社数や目標数値を持って、どんなスパンで営業活動をするのか。
こうした情報が分からないと、Oさんが求める、「商談回数が多く、提案力の身につく環境」かどうかの判断ができません。
相談者
確かにそうですね。
アドバイザー
求人情報サイトや企業ホームページでたくさんの情報に触れてみて、事前に情報収集することも大事ですが、それだけではわからないこともあるでしょう。
その際は、面接選考の際に、営業の人達がどんな働き方をしているのか、どんな方が活躍しているのかなどを質問し、入社後のイメージを具体的にすることも大切です。
自身の強み・弱みをしっかりと分析する
アドバイザー
転職活動では、自分の希望条件を伝えているだけではうまくいきません。
企業側は、Oさんを採用すべき理由、入社後に活躍できる根拠を知りたいと思っています。
そこで、Oさんにはどんな強みや弱みがあり、どんな実績や経験があるのかを整理しておく必要があります。
相談者
なるほど。営業経験がある…というだけでは強みにならないのでしょうか。
アドバイザー
転職活動では、同じような実績、スキルを持った求職者も多く選考を受けます。
Oさんだからこそ、お客様と長期的に良い関係を築いていけるといった強み、つまり既存顧客営業で得た強みがあると思うので、それを応募先企業でどう活かせるのかを伝えることが大切です。
そうやって事前にしっかり自己分析することで、ご自身のキャリアに基づいた自己㏚ができるようになると思います。
相談者
なるほど。
アドバイスを聞いて、これまで自分は、転職活動は内定がゴールだと捉えていたんだな、と改めて思い直しました。
運よく転職活動で内定を獲得することが、必ずしもいいことではないと分かったので、まずは自分の経験をきちんと振り返り、なぜ転職をしたいのか、どんな働き方を求めているのかを整理していきたいです。
ありがとうございました。
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