地方創生に関わりたいのですが、可能でしょうか?【転職相談室】

「地域の発展に貢献したい」「地域の魅力を伝えたい」などの理由から、地方創生に関わりたいと考える方は少なくありません。
今回は、「地方創生に関わりたいのですが、可能でしょうか?」というご相談に、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が回答します。
目次
地方創生に関わりたいのですが、可能でしょうか?(Cさん/28歳/営業)

【相談内容】
新卒で入社した人材コンサルティング企業で営業をしています。地方のクライアントが多いので、出張して話をする機会があるのですが、地域経済の衰退による経営環境の厳しさや、少子高齢化による採用難、後継者問題など、様々なことをご相談いただきます。
営業担当としてできる限りのアドバイスはしていますが、出張で数日間滞在しているだけなので、なかなか全力で取り組むことができていません。
ただ、地方の様々な課題には改善余地があるよう思えますし、地域の発展に貢献する仕事はやりがいも大きいのかなと感じ始めています。
そこで、思い切って転職して地方創生に関わりたいと考えているのですが、キャリアチェンジは可能でしょうか?
地方創生は国が力を入れて取り組むテーマ。民間企業も数多く参入している
▶アドバイザー
地方創生に興味をお持ちなのですね。地方創生は、少子高齢化に伴う地域社会の衰退、都心部への人口の一極集中などの大きな課題を解決するために、政府が力を入れて取り組んでいるテーマです。
そのため、地方自治体だけでなく地方創生に関わるサービスを展開している民間企業も増加しています。
地方創生に関わる方法は数多くありますが、大きく分けると4つの選択肢が考えられます。
まずは、「地方創生のサービスを提供している企業で働く」という選択肢。
地方創生のコンサルティング企業だけでなく、地方で不足する人材をマッチングする企業や、DX化を提案する企業など、地方創生に関わる企業はたくさんあります。
こうした企業の場合は、様々な自治体に営業活動を行うこともあるので、現在の経験を活かすことができるでしょう。
また、本社機能は都市部にあることも多いため、地方移住をしなくても地方創生に関わることができます。ご家族がいる方や、すぐに転居することができない方にも向いています。
様々な自治体を目にした結果、特定の自治体への興味関心が高まったら、地方移住を考えてもいいかもしれません。
▶相談者
現在は教育研修などの人材コンサルティングをしていますが、提案内容が地方創生に置き変わる感じですね。
地方出張にも慣れているので、生活スタイルを大きく変えずに転職することができそうです。
「地域おこし協力隊」など、地方に移住して地方創生に関わるという選択肢も
▶アドバイザー
2つ目は、「地方に移住して働く」という選択肢です。
特定の地域に興味を持っているのであれば、この選択肢が向いているでしょう。ただし、その地域に継続的な仕事があるかどうかがとても重要になってきます。
関わりたい地域は、すでに決まっているのでしょうか?
▶相談者
いえ、決まっているわけではありません。ただ、現在のお客様は東北地方が多いので、漠然と「東北地方がいいかな?」と思っていた程度です。
▶アドバイザー
もし興味のある地域が決まっている場合は、転職サイトや求人特化型の検索エンジンなどで「地域名+地方創生」で探してみるという方法があります。
全国が対象だと情報量が多くなり探すのが大変ですが、ある程度地域を絞り込んだ状態で探すと、地域の中でも求人が多いエリアが見えてくるはずです。
家賃や住環境なども調べてみて、実際に移住できるかどうかをイメージしてみるといいでしょう。
また、総務省が実施している「地域おこし協力隊」などの取り組みもあります。
地域ブランドや地場商品の開発、PR活動など、地域おこし協力隊の活動を通じて地域の発展に貢献することができます。
おためしやインターンなど、移住せずに短期間で体験できるプランもあるので、もし働く地域を限定していないのであれば、幅広く探して話を聞いてみるようにしましょう。
ただし、地域おこし協力隊の任期は1~3年と限りがあります。せっかく移住しても、仕事がなくなってしまっては住み続けることが難しくなるので、「長期的に職を得ることができそうか」という見極めが重要になります。
▶相談者
地域おこし協力隊は聞いたことがあります。おためしやインターンから始めても良さそうですね。
自ら地方の課題解決のために支援を受けて「起業」をするのも方法のひとつ。
▶アドバイザー
3つ目ですが、明確な課題意識や解決策のアイデアがある場合は、ご自身が地方創生に関わる事業を創業するという方法もあります。
地域の課題に取り組む「社会性」「事業性」「必要性」の観点をもった起業には、最大200万円の支援金が出る国の制度があります(※)。
また、社会的起業をする移住者に対して、最大100万円(単身者は最大60万円)の支援金もあるため、もし起業も視野に入っているのであれば、検討してもいいかもしれません。
起業の分野としては、子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援やまちづくり支援など、地域の課題に応じた幅広い事業が対象となっています。
▶相談者
確かに、自分が解決したい課題を事業にするのは、最もやりがいがありそうです。
地方のクライアントと話していて、改善余地はありそうだと感じていますが、実際に自分がビジネスを興すとなると、もう少し地域のニーズや提供価値を調査する必要がありますね。
起業までは考えていませんでしたが、一気に視野が広がりました。すぐではなくても、いずれ起業という選択肢も含めて考えてみたいと思います。
▶アドバイザー
はい。もちろんすぐに起業するのではなく、地方創生のサービスを提供している企業に勤めたり、地域おこし協力隊などに参加したりして、地域のネットワークを構築したりビジネスチャンスがあると感じたりしたら、起業も選択肢として考えてみて下さい。
▶相談者
分かりました。では、4つ目の選択肢を教えてください。
現職を辞めずに「副業・兼業」として地方創生に関わる
▶アドバイザー
最後は、「副業・兼業」として地方創生に関わるという選択肢です。
地方の場合は、専門スキルを持った人材が不足しているため、副業・兼業などの形で協力者を募集していることがあります。
リクルートが提供している「サンカク」というサービスでは、地方の中小企業の「ふるさと副業」の案件を紹介しています。地域に根差した企業のDXや商品のPRなど、現職を辞めることなく地方創生に関わることができるでしょう。
また、内閣府は「地方創生テレワーク」を提唱し、地方でテレワークをしながら地域創生に関わるという働き方を支援しています。
都会と同じ仕事をしながら地域活動に参加することで、地方創生に関わるという考え方です。
これらは地方創生を主業務にするわけではありませんが、一般的に、地方に移住して転職した場合、都市部の仕事と比べると待遇や条件を下回ってしまう可能性があります。
副業や兼業の場合は、現職の待遇を維持しながら地方創生に関わることができるので、いきなり転職や起業するよりもリスクは低いと言えるでしょう。
▶相談者
なるほど。副業として地方創生の案件に関わるか、テレワーク可能な企業に勤務して地方に住み、地域活動の一環として地方創生に関わる…という選択肢ですね。
お話を伺っていて、まずは地方創生のサービスを提供している企業で働いて、様々な地域の特徴や課題を理解し、強く関わりたいと感じた地域を選ぶのがいいかなと思いました。
いきなり移住はちょっと不安ですし、かといって副業・兼業ではなく全力で取り組んでみたいとも感じます。
コンサルティング営業の経験を活かすこともできそうなので、まずは地方創生コンサルティングを行っている企業に応募して、具体的な話を聞いてみたいと思います。ありがとうございました!
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