経営方針に不満があります。転職した方がいいですか?【転職相談室】

応募した企業の面接で魅力を感じて入社を決めたものの、入社後に後悔するケースも残念ながらあるようです。
今回は「転職した企業の経営方針に不満を抱き、再度転職をするか迷っている」というご相談に対して、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏がお答えします。
目次
経営方針に不満があります。転職した方がいいですか?(Mさん/28歳/営業)

【相談内容】
転職した企業で半年が経ちました。最終面接で代表と話したときは、マーケットを読み取るセンスやアグレッシブな姿勢に将来性を感じて入社を決めたのですが、実際に入社してみると経営方針に一貫性がないことが分かりました。
代表に振り回されてプロジェクトが思うように進まず、一喜一憂している人を目にします。規模の大きくないベンチャー企業なので、こうした経営方針に不安を感じます。
転職した方がいいかもしれないと思いつつ、入社してまだ半年しか経っていないので、我慢した方がいいのかなとも思います。どうしたらいいでしょうか?
どのような企業でも経営方針の変更はあり得る。今は「冷静に判断する時期」と捉えよう
▶アドバイザー
入社した企業の代表の一貫性のなさに幻滅して、転職を検討しているのですね。企業経営、特にスタートアップやベンチャー企業では、「ピボット」というキーワードをよく聞かれます。企業経営におけるピボットとは「方針転換」を意味し、当初描いていたビジネスモデルに限界を感じたり、市場に受け入れられなかったりして、目指す方向を変更することを指します。
例えば、ソーシャルネットワーキングサービスを提供していた企業が、主力事業をスマホゲームに転換する、インターネット広告事業を行っていたIT企業が、SaaS事業に転換するなど、ピボットを行う企業は数多くあります。
また、ピボットは小規模の企業ばかりとは限りません。写真フイルムを扱っていた大手企業が、カメラのデジタル化に伴って医薬品や化粧品を提供するなど、大きく業態を変えて成長しています。変わり続けるマーケットに対応して、経営方針を変えることは悪いことばかりではありません。
▶相談者
そう言われてみると確かに…。特に現職はWeb系の企業なので、業界内でも事業転換したり新規事業に積極的に取り組んだりしている企業はたくさんあります。
▶アドバイザー
代表の方は、マーケットを読み取るセンスがあるからこそ、言うことがどんどん変わるように見えてしまうのかもしれません。中小規模のベンチャー企業の場合は、経営層の人柄やタイプが社風や経営方針に影響します。
どのような人にもいい面と悪い面があると考えた時に、現職は代表の悪い面の方が多く影響している状態だと感じますか?
▶相談者
どうなんでしょう…。最終面接で「この人、すごいな」と感じて入社を決めたので、尊敬している部分もあります。会社に慣れてきて、振り回されている人を目にしたり、色々なうわさを聞いたりして、ネガティブな印象を持つようになりました。
でも、自分に直接の被害が及んでいるわけではないので、まだ判断が早いとも言えそうです。
▶アドバイザー
入社して半年なので、直接被害が出ている、ストレスを感じているというわけでなければ、今はまだ「冷静に判断する時期」として、転職を検討するのは早いかもしれません。
転職活動をした場合、必ず「なぜ半年で転職するのですか?」と聞かれてしまいます。その際に、「経営方針に不満があったから」と伝えても、「入社半年で経営方針を判断するのは早いのではないか」「うちに入社してもすぐ辞めてしまうのではないか」などの評価をされる可能性があります。
それよりは、現職で実績を積み重ねて、社内でできることをやり切ってから他社に転職した方が、キャリアとしては得られるものが大きいと思います。
▶相談者
なるほど。現職で実績を作ってから転職するという方法ですね。実績もなく半年で転職して苦戦するのであれば、いったん現職に残った方が良さそうです。
転職理由だった「現職でやりたいこと」を実現し、経験・スキルを磨いておこう
▶アドバイザー
現職は、どのような理由で転職されたのでしょうか?
▶相談者
現職は、SNSや口コミに特化したWebのマーケティング企業です。前職はインターネット系の広告代理店だったのですが、取引先に保守的な企業が多くて、最先端のマーケティング手法にチャレンジしたくても、なかなか実行することができませんでした。
現職企業はとにかく流行をサービスに取り入れるのが上手で、マーケティングセンスがあるとずっと思っていました。
▶アドバイザー
入社前に抱いていたやりたいことは、実現できる環境なのでしょうか?
▶相談者
入社して半年経ち、仕事にも慣れてきたので色々やってみたいことがあります。ただ、経営方針がコロコロ変わるので、本当に受け入れてもらえるのかまだよく分かりません。
▶アドバイザー
どのような企業でも、やりたいことを提案して実現するには、多少の困難がつきものです。そして、壁を乗り越えようとするときに、課題解決力や推進力などの経験・スキルが身につきます。たとえやりたいことが成功しなかったとしても、今後のキャリアに活かせる経験になると思いますよ。
▶相談者
何事もやってみないと分かりませんよね。入社するまで現職への期待値が高すぎたので、入社して現実が見えてしまい、後悔ばかりしていました。入社してしまったのだから、思い切って行動して色々な経験をしてみるべきですね。
▶アドバイザー
先ほど、ピボットの例を挙げましたが、事業転換以外にも大手企業でも経営統合やM&Aが行われることは珍しくありません。経営統合やM&Aが行われた場合、既存サービスの終了や組織再編が行われることが一般的です。
また、事業売却などの可能性もあるので、どのような企業に所属していても、経営方針が変わることはあり得る話です。そのため、現時点で大きな不満やストレスがないのであれば、本当に転職したくなった時のために現職で経験・スキルを磨いておくのが良いでしょう。
もし、経営方針に左右されず、自分のやりたいことの余地を少しでも増やしたいのであれば、起業して経営側の立場になる、スタートアップ・ベンチャー企業の経営に参画する、フリーランスとして独立する、副業で第2・第3のキャリアの選択肢を作っておくというという考え方もあります。
現職でやりたいことの実現にチャレンジしながら、他の選択肢についても検討してみてください。
▶相談者
なるほど、将来的に会社員以外のキャリアの方向性もありますね。まずは現職で代表のセンスや判断軸などを学びながら、自分なりに経験を積み上げていきたいと思います。ありがとうございました!
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