AIに仕事を奪われたくない…専門性が身につく仕事に転職したいです【転職相談室】
AIの進化で「将来自分の仕事がなくなるのではないか」と危機感を覚える経理事務の女性。「専門性が身につく仕事に就きたいが、どんな分野を選べばいいのか相談したい」というご相談が来ました。そこで、今の経験を活かしつつ専門性を身につける方法などについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏がアドバイスします。
目次
AIに代替されない専門性を身につけたいのですが、どうすればいいでしょう?(Wさん/25歳/女性/経理事務)

メーカーで経理事務として働いています。主な仕事は出入金管理、経費処理、月次決算などですが、いずれも将来AIに代替されそうだと感じています。AIに取って代わられることのないよう、今から専門性が身につく仕事に転職したいのですが、どんな仕事を選べばいいのかわかりません。
「T字型人材」を目指して自身の希少性を高めよう
アドバイザー
専門性を身につけたいということですが、Wさんはどういう仕事をイメージしておられるのですか?
相談者
3年間、経理事務を手掛けてきたので、本当は少しでもその経験を活かしつつ専門性も高そうな仕事に就きたいと思っています。でも、そうなると公認会計士や税理士の資格を取ることになりそうで、難易度が高いなとしり込みしています。もしくは、これまでの経験をリセットして、今後需要が高いと言われる専門職、例えばAIやデータサイエンティストなどIT系のスペシャリストを目指したほうがいいのか…いろいろ悩んでいます。
アドバイザー
もちろんそれらの職種にチャレンジするのもアリですが、公認会計士などの資格取得には、勉強に集中したとしても少なくともあと数年はかかるでしょう。AIやデータサイエンティストといった分野は確かに需要がありますが、Wさんにとっては全くの未経験分野ですし、ライバルは理系の大学院を出たバリバリの即戦力人材。その分野に興味があり一から勉強するという覚悟があれば別ですが、あまり現実的ではないかもしれません。
相談者
ではどうすればいいのでしょう…。私の仕事は、事務処理や伝票処理がメインなので、早晩AIに奪われてしまいそうです。
アドバイザー
来た仕事を受け身で処理しているだけでは、AIに取って代わられる可能性は高いでしょう。ただ、どのような仕事であってもその仕事の意味を考え、どうすれば効率化できるか、今より改善できるかを考え、自ら工夫をこらすことができれば、それが専門性になります。日々の仕事に臨む姿勢が何より大切であり、「スペシャリストになれば代替されない」ということでもありません。
相談者
確かに…。不安のあまり焦ってしまいました。
アドバイザー
今後のキャリアに悩むWさんにお勧めしたいのは、「T字型人材」の考え方です。
T字型人材とは、特定の分野を極め、知識と経験を積み上げながらも、そのほかのジャンルについても知見を持っている人材のこと。「T」の字の縦軸が専門分野で、横軸が知識の広さを示しています。
変化の激しい時代においては、専門性と視野の広さを併せ持つT字型人材が評価される傾向にあります。さまざまな知識を融合させて新しいアイディアを生み出し、変化にも臨機応変に対応できる力があるからです。
相談者
T字型人材になるには、何をすればいいのでしょう?
アドバイザー
「専門性を高める」と「業務経験を広げる」、この2つの観点で考えましょう。
まずは「専門性」。経理事務職であれば、より上流の業務に関わることで今より経理の専門性を高めることができます。例えば、予算管理や投資計画の立案など、財務企画業務に関与するとか、経理DX(デジタルトランスフォーメーション)など経理部門の業務改善を経験するなどが考えられます。簿記など関連する資格の勉強を始めてみるのも、専門性を磨く一つの方法です。
そして「業務経験を広げる」。今手掛けている経理事務とは異なる業務を経験してみましょう。まずは、経理部門の中でまだ経験していない業務…例えば月次決算しか手掛けていないのであれば、年次決算や連結決算にも関わりたいと上司に伝えたり、財務や会計など近しい業務や、総務、人事などのバックオフィス業務に異動したりして、業務経験の幅を広げるといいでしょう。
キャリアの市場価値は、「希少性」がポイントです。経理+αの経験を積めば、掛け算の要領で希少性が高まり、「経理だけでなくバックオフィスの幅広い業務に対応できる人材」と評価されるでしょう。事務系職種だけでなく、営業職を経験してみるのも一つの方法。例えば、経理がわかる法人営業は、財務面からクライアントの潜在的な課題を見つけることができ、より懐に入った提案ができるようになるはずです。
相談者
さまざまな専門性の磨き方や、希少価値の高め方があるのですね!経理の仕事自体は好きなので、経理の分野で業務範囲を広げつつ、より上流を目指したいと思います。
いざというとき武器になる「ポータブルスキル」を磨く方法も
アドバイザー
AIに代替されない存在になりたいのであれば、専門性という視点ではなく、「どの会社でも活かせるポータブルスキルを磨く」という考え方もあります。例えば課題解決力、提案力、論理的思考力、交渉力、洞察力や判断力、リーダーシップなどがそれに当たります。
これらのスキルは、現場経験を積む中で養われるもの。そして業務の専門性とは異なり、普段から意識して行動し、学び、身につける必要がある人間ならではのスキルであり、コンピュータが苦手とする分野でもあります。
例えば、今の業務の中で改善すべき点はないか考えたり、今ぶつかっている課題をどう解決すればいいのかアイディアを練ったり、業務改革案をまとめ上司に進言したりしてみてはいかがでしょうか?日々のルーティン業務をこなすだけでなく、「自身の業務や置かれた環境を俯瞰し、自身で考え工夫する」を繰り返すことで、ポータブルスキルは着実に磨かれるはず。いざというとき、どこに行っても通用するポータブルスキルはWさんにとって大きな武器になりますよ。
相談者
勉強になりました!不安だからといって闇雲に「スペシャリストにならなければ」と焦っていたのが恥ずかしいです…。
まずは地に足をつけて、現在の職場でさまざまな業務経験を積みながら、能動的に業務改善などに取り組んでみたいと思います。ありがとうございました。
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