繊細でちょっとしたことでも気疲れしやすい人に向いた仕事はありますか?【転職相談室】
繊細な性格で、クライアントや上司、同僚に言われる一言にも過敏に反応してしまうという営業職のIさん。
「営業は向いていないのでは…」とのお悩みに、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんが答えます。
転職したいのですが、繊細でちょっとしたことでも気疲れしやすい性格の人に向いた仕事はありますか?(Iさん/法人営業/26歳/女性)

しかし、日々、売上目標に追われることにストレスを感じ、仕事の進め方を個人に任せられるカルチャーも合いません。
お客様や上司、先輩から提案内容について指摘を受けるたびに、いつまでも引きずってしまいます。
こんな繊細な性格では、営業職は務まらないのではないかと転職を考えています。
以前は自分のペースでコツコツやれる仕事であまりストレスを感じませんでした。気疲れしやすい性格には、そういう仕事の方が向いているのでしょうか。
何にもっともストレスを感じているのかを整理しよう
アドバイザー
Iさんの問題点を整理すると、日系企業の営業事務から、外資系企業の法人営業に転職して、ご自身の性格との合わなさを感じているという状況だと思います。
この場合、単純に考えると「外資系」の「営業職」は合わないと考えてしまうと思いますが、外資・営業といっても、社風や事業内容、顧客特性などによって、働き方はさまざま。
職種名だけで「合う・合わない」を考えると、選択を間違えたり、選択肢を狭めてしまったりする可能性があります。
相談者
私も、営業が合わないのか、今の会社の働き方が合わないのか分からなくなっています。
アドバイザー
そうですよね。
そこでまずは、現職でもっとも合わなさを感じているのは何かを整理することが大切です。
可能性として考えられるのは2つ。
一つが、「仕事の進め方を個人に任せられるカルチャー」です。
今は「自分で考えて自分でノルマを達成してね」と自己責任で成果を求められる働き方だと思うのですが、この場合は、人事評価制度や社風が合っていないとも考えられます。
チームで協力しながら目標を達成するなど、一体感を持てる環境であれば、ノルマに追われる仕事でもそこまでストレスを感じないかもしれません。
もう一つが、「社内外の多くの関係者と関わらざるを得ない」ことです。
営業職は、お客様のニーズにお応えするために、お客様はもちろん、社内の色々な部署の人に調整をお願いすることも多いでしょう。
自分のペースで仕事ができないことが大きなストレスになっているのかもしれません。
相談者
よくよく振り返ると、前職の営業事務でも、社内のいろんな立場の人とやりとりしながら仕事をしていました。
そのため、多くの関係者と関わることにはあまりストレスを感じていないのかもしれません。
ただ、営業事務では、営業担当からの指示もやるべきことも明確だったので、自分で考えて迷うことはありませんでした。
チームで分担しながら進められるのも私にはやりやすかったです。
そう考えると、「目標達成までのやり方は自分で考えてね」というカルチャーに合わなさを感じているのかもしれません。
転職活動のポイント
アドバイザー
「何に合わなさを感じているのか」が見えてくると、転職活動での企業選びのポイントが見えてきます。
「チームで一体感を持てる環境」を重視して探す
アドバイザー
転職活動では、「職種名」で考えたり探したりするのではなく、「自分が大事にしたいキーワードや切り口」で考えることが大切です。
そこで、Iさんの場合は、チームワークが求められる仕事、一体感を持てる環境をテーマに考えてはいかがでしょうか。
相談者
チームワークが求められる仕事には、どういうものがあるのでしょう。
アドバイザー
同じ法人営業でも、組織力を重視してお客様を担当するケースもあります。
例えば、既存顧客を対象に中長期的に商品・サービスを提供する営業職(ルートセールス)では、プロジェクトを組み、ノルマもチーム全体で追うことが多くあります。
他にも、カスタマーサクセスなど、顧客をしっかりフォローし深耕する中で契約の継続や追加提案をするスタイルの仕事もあります。
Iさんに合ったカルチャーを探る上では、中長期の人材育成環境が整っているところや、離職率の低いところ、女性管理職比率の高いところなどを見るといいかもしれません。
「繊細さ」を強みに転換して探す
相談者
言われたことや失敗をいつまでも引きずってしまう性格とは、どう向き合うといいでしょう。
アドバイザー
繊細なことを弱みと感じているかもしれませんが、強みに転換して考えてみてはいかがでしょうか。
周りからいろいろ言われてへこんだり引きずったりするのは、どんな仕事でも完全に免れることはできません。
自分のペースで仕事をしやすい自営業や職人などでも、自身の成果に対して日々、悔んだり反省したりすることもあるでしょう。
そこで、ちょっとしたことで気疲れしてしまう繊細さを、「感受性が高い」「気遣いができる」など、相手の立場を想像して動ける力として強みと捉えてみてはいかがでしょう。
そうすれば、お客様のニーズにいち早く気づき、提案する営業職やカスタマーサクセス、営業企画・事務・管理部門の仕事など、さまざまな業務で力を発揮できるでしょう。
社風や職場環境、業務内容を事前に把握する
相談者
繊細さを強みに転換するにしても、それが発揮される職場環境かどうかはよく見ないといけませんね。
アドバイザー
まさにそうですね。
転職活動では、どんな社風でどんな仕事を任され、どんな評価制度なのかを事前に把握し、ヒアリングすることが大切です。
企業情報を調べる際は、ホームページの事業紹介や社員インタビューなどで、どんなワードが書かれているかも見てみるといいでしょう。
Iさんの場合、「思いやり」「想像力」「ホスピタリティ」「先読み」「顧客志向」など、相手を思いやる姿勢が表現されたワードやフレーズがある企業の方が、カルチャーマッチが高まると思います。
直属の上司や現場の人との面接を設定してもらい、相性を探る
アドバイザー
最低限の人間関係を知るためにも、上司や現場メンバーとの面談・面接を実施してもらい、どんな人と働くのかをイメージできると安心です。
目標達成できているチームにはどんな特徴があるのか、どういうタイプの人が活躍し、表彰されているのかなども聞けると、Iさんの繊細な部分をうまく活かせるかどうかが分かるかもしれません。
相談者
そうですね。他に、面接での注意ポイントはありますか。
アドバイザー
面接では、何でも意欲的に取り組む姿勢を見せようと、面接官に対して無理に話を合わせてしまいがちです。
でも、大事なのは入社後に自分に合った環境で心地よく働けること。
その場でうまく取り繕って合わせるのではなく、「私はこういう性格特性なので、こういう環境では力を発揮できると思います」など、自分ができることをきちんと伝えることが大切です。
もしも面接で、明らかに相性が悪いなと感じた場合は、無理に進める必要性はないでしょう。
また、強みや弱みは、第三者と一緒に考えると整理しやすいです。
もし、自分だけで考えていては不安という方は、キャリアアドバイザーに客観的な意見を求めるのもいいかもしれません。
相談者
ありがとうございます。
繊細なのは自分の弱点だと思っていたのですが、今回の相談を通じて「実は、それが強みにもつながる」という発見がありました。
自分がストレスを感じやすい職場環境も整理できたので、自身の強みを活かせそうな企業・仕事選びを進めていきたいと思います。
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