コネで転職しても良いものでしょうか?【転職相談室】
中小企業で役員を務める親戚から転職の誘いを受けているという30代男性のKさん。
「コネで転職できそうだが、個人的にはややネガティブなイメージがあり迷っている。コネで転職して良いものか?」というお悩みに、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏がアドバイスします。
目次
コネで転職できそうなのですが、周りの目が気になり迷いがあります(Kさん/32歳/男性/営業職)

新卒で大手ITベンダーに就職し、自社製品の導入提案や販売業務を担当しています。より給与が高い会社への転職を考え始めたところ、メーカーで役員をしている親戚に「うちに来ないか」と誘われました。
今後はDX(デジタルトランスフォーメーション)に力を入れていきたいようで、「IT業界で得た知見を活かしてほしい」とのことです。
給与面はある程度融通を利かせてくれるそうですが、ただ、コネ入社となると、同僚からどんな目で見られるのか、不安もあります。親戚に誘われるがまま、転職してしまっていいものか迷っています。
コネでも良いと思うが、転職の目的やメリット・デメリットはよく考えた上でご判断を
相談者
親戚から誘ってもらったのはありがたいと思うんですが、コネ入社ってあまりいいイメージを持てないんですよね……。
アドバイザー
チャンスを手にできるのであれば、コネで転職してもいいと思います。最近は、こういった「縁故採用(血縁者からの紹介で採用する手法)」の他、「リファラル採用(社員による知人紹介で採用する手法)」も広がっています。
ただ、コネ転職にはメリット・デメリットがあります。まずそれを理解しておいたほうがいいでしょう。その上で、誘いに応じることが、本当に転職の目的にかなうのかどうかを考えてみましょう。
コネ転職する場合の注意点
相談者
コネで転職するメリットって、何でしょうか。
アドバイザー
まず、声をかけてくれた方は、あなたの性格や志向などをある程度わかっていますよね。その上で入社をすすめられたのなら、あなたに合った職場・仕事である可能性が高いのではないですか。
相談者
確かに、子どもの頃から可愛がってもらっているので、僕の長所も短所も理解してくれているかと思います。
アドバイザー
それに、ホームページなどから得られる情報だけでなく、会社の内情や社風、具体的な仕事内容など「本当のところ」が聞けるでしょう。そういった面では、入社後にギャップを感じるリスクが低いと思います。
また、書類選考や面接を省略できることもありますね。
相談者
確かに、転職活動を始めるにも、職務経歴書作成とか面接対策とか大変だな……と思っていたので、話に乗っちゃおうかな、というのはありますね。
アドバイザー
ただ、油断は禁物です。親戚の方が採用に関してどれだけの裁量権を持っているかによるのですが、配属先の部門の上長による選考はあると思います。面接回数は通常より少なくて済むかもしれませんが、準備を怠ると、コネといえども採用を見送られることもありますよ。
通常の転職活動と同様、これまでの経験・スキル、志望動機などを伝えられるように整理しておき、面接のマナーも気を付けておくとよいかと思います。
また、選考を受けて、採用の方向へ話が進んだとしても、Kさんが「自分に合わない」と感じる可能性もあります。その際、推薦してくれた親戚の方の顔を立てるため、辞退しづらいということもあり得ます。断り切れず、流されるまま入社した結果、後悔する人もいらっしゃいます。
相談者
なるほど……。幼い頃からお世話になっているので、断る場合は勇気が要るかもしれませんが、「やっぱり違う」と思ったら、自分のためにもちゃんと断りたいと思います。
アドバイザー
ぜひそうしてください。
ただ、納得して入社しても、後々、コネ入社がマイナスにはたらくこともあり得ます。社内で親戚の方の立場が変わってしまった場合など、縁者であるKさんの立場にも影響し、居心地が悪くなることもあるかもしれません。
相談者
例えば、親戚が役員でなくなった場合などでしょうか?
アドバイザー
そうですね。親戚の方は役員を務めているとのことですが、現在の立ち位置についても、念のため確認しておいたほうがいいかもしれません。
Kさんを誘った親戚の方はDXを推進していこうとされているのですよね。最近、多くの企業がDXに取り組んでいますが、社内で抵抗勢力が生まれるケースも少なくないようです。社内の状況によっては、KさんがDX担当として入社後、思いがけない苦労を強いられるリスクもあるかと思います。
親戚の方の話だけでなく、さまざまな社員の方に会わせてもらって話をしてみることをお勧めします。
相談者
わかりました。他の社員さんたちとも話をさせてもらえるか、聞いてみます。
アドバイザー
入社を決める前に、現場で一緒に働く人たちと話をしておくのは、コネ転職やリファラル転職に限らず、おすすめしていることです。今はオンラインで手軽に話せますし、お願いしてみれば受け入れられやすいと思います。
役員の方と現場で働く方とでは視点や認識が異なるはずですから、仕事の進め方や風土などを確かめてみて、ご自身に合っているかどうか判断してください。
相談者
注意すべきポイントがわかりましたので、親戚と具体的に話を進めてみます。
アドバイザー
最後にもう一つ、コネ転職のデメリットをお話しさせてください。
それは、「選択肢が狭まること」です。他の会社と比較検討しないまま、誘われた会社にそのまま入社したのでは、さまざまな可能性を閉ざしてしまいます。親戚の方とのお話も進めつつ、「他の会社も検討したい」と伝え、いろいろな求人を見てみてはいかがでしょうか。
Kさんのキャリアであれば、選択肢は豊富です。今回の転職目的は「年収アップ」とのことですが、大手ITベンダーでの経験を活かせば、外資系ITベンダーやコンサルティングファームなどでそれを実現できる可能性があるでしょう。また、32歳という年齢なら、異業種・異職種へのキャリアチェンジも可能性があります。
親戚の方からの誘いに乗ったとしても、年収アップの目的はクリアできるようですが、仕事内容に対してはどのように感じていますか?
相談者
正直なところ「すごくやりたい!」というわけではありません。「そういう道もアリかも」くらいの感じです。期待されているなら、チャレンジしてもいいかな、と思っています。
アドバイザー
受け身の姿勢でなく、自分が本当にやりたい仕事は何なのか、将来何を目指したいのかを、見つめ直してみることをおすすめします。
その軸を定めた上で、親戚の方からのお話がそれにマッチするかどうかを考えてみましょう。軸にマッチすると判断したら、「コネ」というアドバンテージをフルに利用してください。
まとめ
コネ入社には、ポジティブな面もネガティブな面もあります。デメリットや注意点を理解した上で対策し、メリットを十分に活用しましょう。
なお、コネ入社の場合、推薦してくれた人が優秀な人物、あるいは地位が高い人物であるほど、周囲からの「成果への期待」が高くなります。強いプレッシャーを感じることもあるでしょう。
スムーズに入社できても、入社後に気苦労があるケースも多いものです。入社後の立場や環境も想像した上で、コネを利用するかどうかを検討してください。
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