正社員で在宅勤務が可能な会社に転職したいです【転職相談室】
現職で在宅勤務が導入されないことに不満を募らせ、「在宅勤務可の会社に転職したい」と話すSさん。
転職活動の前にやるべきことや、企業の選び方、事前に確認すべき情報について、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんがアドバイスします。
目次
正社員で在宅勤務が可能な会社に転職しようか迷っています。(Sさん/人事/30代/女性)

残業が多く給与も高くないのですが、社内のメンバーが好きで続けています。
ただ、これから長く働き続けることを思うと、会社の働き方がなかなか変わらないのが大きな悩みです。
一時期は在宅勤務だったのですが、現場主義の社風が根強く、出社に戻ってしまいました。
子どもが小さく在宅勤務は好都合ですし、家でも十分効率的に仕事ができると考えています。
今は、在宅が可能な正社員の求人がいっぱいあるので転職しようか迷っています。
まずは上司に在宅勤務について相談しよう
アドバイザー
転職も一つの選択肢だとは思います。
ただ、Sさんの場合、一時期は在宅勤務をされていたのですよね。
それでしたら、転職の前に、今の会社で在宅勤務を本当に導入できないのか、上司に相談してはいかがでしょう。
相談者
以前の在宅勤務は、短期的な取り組みとしてやっていただけなんです。
業種的に、現場で動くことを大事にしてきた会社なので、出社できる状況ならみんな出社すべきという従来の方針に戻ってしまって…。「会社ってなかなか変わらないんだな」と諦めモードになっていました。
アドバイザー
もし、上司に相談して状況が動く可能性が少しでもあるのなら、行動してから、転職するかどうかを考えてはいかがでしょう。
Sさんは人事ですので、「フレキシブルな環境で働ける仕組みは、会社のためになる」という視点で話をすれば、耳を傾けてくれるかもしれません。
相談者
会社視点での提案ですか。
アドバイザー
そうです。「生活とのバランスのために、在宅勤務を選択すること」も、一社員としての大事な視点です。
ただ、せっかく人事のポジションにいらっしゃるので、
- 在宅勤務によって出退社や移動時間が削減でき、業務効率が向上する
- 子育てや介護中の社員でも柔軟に働けるので、パフォーマンスが高まる
- 働き方の自由度が増し、若手社員のモチベーションにつながる
- 働き方に選択肢が出る分、採用上の強みになる
など、会社にどんなメリットがもたらされるかを話してみてはいかがでしょう。
導入に向けては、社内システムの整備やセキュリティ面の強化、マネジメント制度の見直しなど、やるべきことも出てきます。
それについても、Sさんご自身で「在宅勤務を社内で広げるために、こんな制度整備に取り組みます」「在宅勤務の普及のために、こんな社内マニュアルを作ります」などと話せれば、会社側の納得感も増すでしょう。
相談者
なるほど。
自分が求める環境づくりに向けて、自分でできることに取り組むということですね。
制度が用意された環境に行きたい、という視点しかありませんでした。
アドバイザー
Sさんの本気度が伝わって、社内が動いてくれそうであれば、転職ではなく現職に留まるのも一つの選択肢になるでしょう。
ただ、それでも会社側の賛同が得られなかったり、実際の導入まであまりに時間がかかったりするのなら、転職を考えてもいいでしょう。
なぜなら、今在宅勤務がしたいのに、数年後の導入に向けて現状が改善されないのであれば、Sさんにとってはあまりメリットがないからです。
在宅勤務が可能な正社員を目指す人へのアドバイス
相談者
上司に相談の上で、やっぱり転職したいと思えたら、どんな情報を確認すべきでしょう。
人事の業務経験を活かせる「在宅勤務可×正社員」という条件以外、とくに具体的に考えていませんでした。
労働時間や残業時間を事前にチェック
アドバイザー
労働時間や残業時間を調べるなど、1日の働き方を具体的にイメージできるような情報があると安心です。
在宅勤務は移動時間がなく効率的に働ける一方、オンとオフを切り替えにくく、過重労働になるケースもあります。
労働時間の管理に会社としてどう取り組んでいるのか、マネジメント上の工夫などを、応募先企業に聞いてみてはいかがでしょうか。
相談者
選考段階で、直接聞いても問題ないでしょうか。
アドバイザー
転職先の決め手として、「在宅勤務ができるかどうか」が重要な軸(ポイント)であれば、確認したほうがいいです。
Sさんはとくに、人事経験を活かし、人事職への転職を検討しています。
人事の観点として、どんな取り組みをしているのかを聞くのは、ごく自然なことではないでしょうか。
相談者
確かにそうですね。
在宅勤務によってこれまでどんな課題があったのか、それにどう取り組んできたのかも気になるポイントです。
アドバイザー
はい。「現職ではこういう課題があり、人事として解決に向けてこう取り組みました。
御社ではどんな課題がありますか」など、ご自身の人事経験や実績を織り交ぜながら質問できれば、Sさんのアピールにもなります。
入社前にさまざまな人から幅広く情報を得る
アドバイザー
社風や働く人たちとマッチしているかを見るために、入社前にさまざまな部署の人と話をして情報を得られると安心です。
入社してからはオンラインコミュニケーションが中心になると思うので、先に話をしておくと、業務連携もスムーズになります。
相談者
人事の仕事は関わる部署が多岐にわたるので、なおさら、ネットワーク構築が大切ですね。
アドバイザー
おっしゃる通りです。
在宅勤務では、業務報告や情報共有の仕方が出社時とは違うコミュニケーションになります。
他部署間でどう連携しているのか、コミュニケーションを円滑に進めるために、会社として実施している取り組みなども幅広く聞けるといいでしょう。
業種によって異なる在宅勤務率を参考にする
相談者
在宅勤務ができる企業を探す上で、何かポイントはありますか。
アドバイザー
まずは、企業の在宅勤務率を業種ごとにチェックするのがよいでしょう。
株式会社リクルートが実施した「全国就業実態パネル調査2021」によると、在宅勤務が可能な企業は増えていますが、第2回緊急事態宣言下以降のフルリモートでの実施率は、全体の7.5%という調査結果もあります。
参考:株式会社リクルート:全国就業実態パネル調査2021「第2回緊急事態宣言下の在宅勤務実施企業割合」
つまり、在宅勤務率は、業種によって大きく異なるのが現状です。
国土交通省による「テレワーク人口実態調査 令和2年度実施」※1では、テレワーク実施率は「情報通信業」が最も高く66.1%、次いで「学術研究、専門・技術サービス業」が47.1%になっています。
一方、最も低いのは「宿泊業・飲食業」で6.9%、次が「医療・福祉」で8.3%でした。
テレワークの実施場所としては、在宅型が9割を占めるので、多くの人が在宅勤務をしていることがうかがえます。
※1テレワーク(=情報通信技術等を活用し、普段仕事を行う事業所・仕事場とは違う場所で仕事をすること)に関する国土交通省の調査結果
公開データを参考に、導入率の高い業種をチェックしてみてはいかがでしょう。
相談者
なるほど。いただいた観点を転職活動に活かしていきたいと思います。ありがとうございました。
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