年収ダウンしたので転職しようか悩んでいます【転職相談室】
年収ダウンをきっかけに転職を考え始めたKさん。
年収アップできて営業経験を活かせられればどんな業種でもいいと言います。
年収を上げるための転職を始める際、注意すべきポイントを組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに聞きました。
目次
年収ダウンしてしまったので転職をしようか悩んでいます(Kさん/広告代理店・営業/30代/男性)

観光や旅行業をはじめサービス業を中心に担当してきましたが、業界全体の事業縮小に伴い、代理店業も打撃を受けています。
最近は、大規模案件が減っており、年収もダウンしました。ボーナスも2割減になり、今後の会社の将来性に不安があります。
年収を上げるために転職したいのですが、転職活動ではどんなことに気をつけるべきでしょうか。
年収だけにこだわりすぎるとミスマッチにつながることも…。長期的なキャリアの見通しを立てた上で判断しよう
アドバイザー
キャリアアップもこれから…というタイミングでの年収ダウンですから、不安になる気持ちはよく分かりますし、転職を考えるきっかけにもなると思います。
相談者
はい。新卒で入ってから、年々、着実に年収が上がっていたので、下がったことがショックです。
20代後半の年収が一番よかったときに戻したいです。
アドバイザー
年収が下がると、生活スタイルの見直しも必要なので大変ですよね。
ただ、年収だけにこだわりすぎると、仕事内容や社風とのマッチなど、働く上で重要なポイントを見失ってしまう懸念があります。
相談者
そうですか…。
年収ダウンにより、年収がかなり大事だと気づきました。
そのため、営業経験を活かした仕事があれば、業種問わずに挑戦したいと思っています。
アドバイザー
お気持ちはわかります。
しかし、年収を上げたいというのは、Kさんにとっては重要な転職理由だとしても、採用する企業からすれば、そうではありません。
企業側が知りたいのは、Kさんのどんなスキルや経験が、入社後にどう活きるのか、そして転職によって何を実現したいのか、という点です。
まずその整理から進めていきましょう。
年収ダウンが理由で転職を目指す人へのアドバイス
相談者
現職では、20代の頃から大手企業の大型プロジェクトにリーダーとして携わるなど実績を上げてきました。
営業経験は長いので、どんな業種でも活かせるだろうと思っていました。
アドバイザー
仰る通り、実績の豊富さは強みになります。
ただ、すばらしい実績や経験があっても、転職先企業に活かせるフィールドがなければ、企業側はKさんを採用するメリットを感じないでしょう。
転職活動において大切なのは、企業とKさんとの接点を見つけることです。
給料以外の転職理由を整理し、企業が納得する内容を考える
相談者
なるほど。
自分にはこれだけの経験があるというのは、独りよがりな考え方だったんですね。
アドバイザー
そもそも「年収を上げたい」というのも、企業からはKさんの都合と捉えられてしまうでしょう。
そこで、企業が納得するような、年収以外の転職理由を整理する必要があります。
まずは、年収以外の不満材料をすべて洗い出してみましょう。
相談者
年収以外ですと、仕事自体のスケールが小さくなってしまったな…と物足りなさを感じていました。
お客様の広告にかける予算規模が年々縮小し、常にコスト削減を考えなくてはいけないのも不満要素の一つです。
クリエイティブのメンバーと面白いアイデアを発想しても、予算都合で何も実現できないことが増え、無力感がありました。
アドバイザー
なるほど。
新しいことにどんどんチャレンジしたい成長欲求があるけれど、現職ではそれが叶わないとも言えますね。
例えば、「大型プロジェクトや新規事業に挑戦できる、成長環境にある組織で働きたい」というのも、一つの転職理由になります。
一方、成長欲求が強くて自信がある人や、大きな実績を上げてきたと自負している人たちだからこそ陥りやすい失敗談なども少なくありません。
事前準備や面接対策をして、企業が納得する内容を考える必要があります。
希望する年収と企業が求めるスキル・経験がマッチしているかを確認する
アドバイザー
「その仕事をやりたい」「成長して年収を上げたい」という希望だけではなく、対価に見合うようなスキルや経験があるかどうかを確認するのも重要なポイントです。
Kさんが希望する年収をもらっている人は、どんな役職でどんな仕事をしているかを求人情報や採用ホームページで確認し、企業側に求められるスキル、経験を理解しましょう。
相談者
そうすると、マネジメントポジションまで上がらなければ、希望年収にいかないケースもありそうですね。
アドバイザー
そうですね。
マネジメント経験やプロジェクトリーダー経験があれば、年収アップも不可能ではないので、アピールするといいでしょう。
転職後、一時的に年収が下がったり、現状とあまり変わらなかったりしても、将来のマネジメント候補として入ることができれば、いずれ年収アップを目指すことができます。
そうやって長期的な視点で、キャリアアップを目指すのも一つの考え方です。
相談者
やはり、給料アップは大きな目的なので、自分の経験したプロジェクト経験などは上手くアピールしたいです。
自分のスキルや経験はどう整理するといいでしょうか。
アドバイザー
まずは携わったプロジェクトを、5W1H(いつ:When、どこで:Where、誰が:Who、何を:What、なぜ:Why、どのように:How)で整理しましょう。
その際、応募先企業ではどのように仕事を進めているのか確認した上で、自分の経験との接点を深堀りするとよりいいでしょう。
例えば、応募先企業では、複数メンバーによる長期のプロジェクトが多く、営業職はお客様窓口として動くケースが多いとします。
それならば、立場の異なるメンバーとの調整業務やコミュニケーションを工夫したエピソードなどを話す方が、企業は「うちのプロジェクトでも活躍してくれそう」と判断する可能性が高いです。
相談者
確かに、「裁量権を与えられて、一人でどんどん進めました」とアピールすると、「当社の仕事の進め方には合わない」と思われるかもしれないですね。
企業によって、アピールの仕方を考えることが大事なんですね。
年収だけでなく社風・業務内容などもチェックする
アドバイザー
企業にマッチするか否か、という点では、やはり年収だけでなく、社風・業務内容などもチェックすることが大事です。
相談者
確かに、年収だけにこだわると、後でミスマッチにつながりそうですね。
社風や業務内容はどのようにチェックすればよいですか。
アドバイザー
社風については、ホームページなどに記載されている経営者や社員インタビュー、クレドなどをチェックすると、会社がどんなことを大事にしているのかが見えてきます。
業務内容については、選考段階から複数の社員の方に会ったり、仕事の進め方を聞いたりして確認することで、転職後のイメージをつかむことが大切です。
将来的に伸びしろのある業界を狙う
相談者
年収アップを目指すなら、業界自体が伸びていて、事業に将来性があることが重要だと思います。
自分の場合、大手企業よりも業績を出した分、成果給に反映されやすい、またはストックオプション制度などがあるベンチャー企業の方が向いているかもしれません。
その場合、企業選びはどう進めるといいでしょうか。
アドバイザー
例えば、ベンチャーキャピタルが投資している企業一覧を調べるのも、事業の将来性を考える上でヒントになるでしょう。
昨今は、IT関連分野のほかに、ヘルスケア、環境エネルギー分野が伸びているので、注目が集まっているようです。
相談者
確かに、将来の伸びを予測するベンチャーキャピタルの視点は参考になりそうですね。
アドバイザー
人気の業界には、若い世代が転職市場に流れています。
30代で年収が比較的高い場合、苦戦する可能性もあります。
一時的に給料が下がっても、事業成長に伴い上げていこうと挑む姿勢も重要です。
相談者
ありがとうございます。
転職を楽観的に考えていましたが、若手ライバルが多い中、そう簡単には進まなそうですね。
年収アップの根拠がまだまだ整理できていなかったので、まずは自分でこれまでの業務内容を振り返りながら情報収集を進めたいと思います。
希望条件の整理や企業探しに迷ったら
もしも「希望条件の整理に迷う」「企業の将来性・社風に関して自分では判断しづらい」と感じたら、転職エージェントのサポートやアドバイスを受けるのもおすすめです。
転職市場をよく知る専門家であれば、売り上げを伸ばしている業界・企業の動向についてアドバイスしてくれたり、Kさんの強みも一緒に整理してくれるでしょう。
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