書類選考でほぼ内定が決まることはある?すぐに内定をもらった場合の対処法は?【転職相談室】
転職活動を始めてすぐに、一次面接で内定をもらえた20代のNさん。
「うれしいけれど、こんなに早く決まるなんて、もしかして書類選考でほぼ内定が決まっていたのでは?」という疑問が拭えません。
これからどう意思決定し、どう対処すべきなのか…。組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに聞きました。
目次
一次面接で内定ということは、書類選考でほぼ内定が決まっていたのでしょうか? (Nさん/営業/20代/女性)

面接では、経験・スキルについて確認された程度で深く突っ込まれることもなく、書類の段階でほぼ内定が決まっていたという印象を受けました。
初めての転職活動ということもあり、まずは色々な企業に応募してみて、自分の市場価値を確認していこうと思っていただけに、こんなに早く内定をいただいたことに戸惑っています。こういうケースはよくあるのでしょうか。
通常は書類選考のみで内定が決まることはない

仮に経験・スキル面において企業側が求める条件を満たしていたとしても、社風やチームとの相性、人柄等は書面からはわかりません。
そのため、人事・採用担当者だけではなく、現場の上司となる方や部長・役員クラスの方など、複数の視点から評価することが大切です。
それに、もし入社後にミスマッチが起これば企業にとっても不幸なので、やはり書類だけでほぼ内定を決めるのは、企業側のリスクが大きいでしょう。


応募書類の内容からNさんの性格特性や強み、人柄を推察して「当社に合うだろう」と判断したのかもしれません。
一方、あくまでも仮説ですが、企業側の人材不足がひっ迫して「早急に人手がほしい」と、採用を急いだ可能性もあります。
書類選考で企業が重視する4つのポイント


一つ目は、会社が求める経験、スキルを持っているかどうかです。
企業には、例えば「特定の業界・職種での実績があり、マネジメント経験がある方」、「複数の役割を兼務できるマルチプレイヤーの適性がある方」などさまざまな人材要件があります。
そのため、まずは企業との接点がどこにあるか調べて整理しアピールすることが大事です。
二つ目は、自己PRから見える人柄や強みです。
人柄に関しては、面接で詳しくヒアリングするための材料という意味合いもあります。
例えば、同じ営業経験であってもチームワーク重視の営業スタイルなのか、裁量権を与えられて一人で道を切り開いてきたのかにより、強みは異なります。企業はそういう点からも、カルチャーフィットする人材かどうかを判断しているのでしょう。
三つ目は、スキル・経験に一貫性があるかどうかです。
これまで様々な職種を経験してきた方や定期的なジョブローテーションのある企業に勤めていた方は、1~2年ごとに培ったスキルがまちまちである可能性も否めません。
上記のようなゼネラリストを歓迎する企業もあれば、経験が一貫していないことを懸念する企業もあるでしょう。
そのため、面接では自分のキャリアの中で、どこに専門性があるのか、複数の職種経験の中で一貫したスキルは何かをきちんと伝えることが大事です。
四つ目は、転職理由に合理性があるかどうかです。これは特に転職回数が多い求職者に対して企業が確認しておきたいポイントなのかもしれません。
例えば20代~30代で、すでに4~5社の転職を経験している場合、一社の在籍年数が数ヶ月~1年未満の可能性も高いでしょう。
そうやって短期離職を繰り返していると、企業側は求職者に対して「また転職してしまうのではないか」「求職者側に何らかの問題があったのでは?」と考えがちです。
仮に転職回数が多いことで企業側にマイナスの印象を抱かれてしまうことが不安な方は、書類の段階でその点をオープンに書いておいた方がいいかもしれません。
それぞれの転職理由をわかりやすく記載し、面接で上手く説明できるよう整理しておきましょう。
早すぎる内定をもらったときの対処法
思った以上に早く内定をいただいたときは「こんなに早く決まるものなんだ」「転職活動って意外と簡単だな」と正直思ってしまいました。
今は、企業側に内定承諾を待ってもらっている状態なのですが、どう対応すればよいでしょうか?

企業が評価したポイントを改めて確認する

もしも面接官に聞きたい質問や疑問点などあれば、メールや電話で聞いてもいいですし、改めて面談の機会を設定してもらうのもよいでしょう。


もし、自分がアピールした強みや経験・スキル、考えているキャリアプランと企業が評価したポイントがまったく乖離している場合は、企業はNさんのことをよく理解していないということになります。
このように、ミスマッチが解消されないまま入社すると、Nさんの強みが発揮できない仕事を任されたり、想定していた業務内容と違うなどの事態も起こり得るので注意が必要です。
現場の方から話を聞く機会を設けてもらう

具体的な一日の仕事の流れだとか、働く環境を知るためには、二次面接などを設けてもらうなどして現場の方と話す機会をつくるとよいでしょう。
でも、現場の方に別途で時間を設けていただくのはなんだか申し訳ないと思ってしまいました。


一度、担当者に現場の方との面談の機会がほしい旨をお伝えしてみて、配属先となり得る営業部門の上司・同僚に具体的な1日の仕事の流れや営業の仕方、お客様とのやりとりについて聞いてみてはいかがでしょう。
入社後、現場で一緒に仕事をする上司・仲間とコミュニケーションを取ることで、営業の仕方や部署内の雰囲気などが見えてきます。
そこで長く心地よく働けそうかを見極めながら、しっかりと情報収集してほしいです。
条件面をきちんと共有する

入社後のミスマッチを防ぐためにも、事前に雇用形態や年収、福利厚生や各種手当等をきちんと共有し合い、内定承諾の回答期限や入社日も明確にしましょう。
また、Nさんは他の企業も併願で受けているので、その選考状況からいつまで内定を待ってもらえるのかも含め、Nさんの要望もきちんと伝えることも大切です。
要望を伝える際は、例えば「転職活動を始めたばかりで他の企業の選考も進んでいます。
あと1ヶ月ほど待っていただけますか」というように、活動状況について正直に説明するとよいでしょう。
もしも待ってもらえない場合は、Nさんの事情やキャリア形成等について配慮する姿勢があまり見られず、その企業にとってNさんを採用したい熱意がそこまで高くない可能性も否めません。
そのときはそう捉えて、次に進む姿勢が大切です。


とくにNさんは、転職活動を始めたばかりですし、Nさん自身に転職のタイムリミットがあるわけではありませんよね。
「まずは自分の市場価値を知ろう」というところからスタートしているので、色々な企業を比較した上で納得して決めることが大事です。
仮に転職活動を3ヶ月など一定期間以上続けてみて、すでに複数の会社を見てきた中で「理想の企業が見つかった」「この会社がいい」というのであれば、情報収集をしっかり行った上で内定承諾の意思決定をしてもいいかもしれません。
こんなに早く内定をいただいて喜んでいいのか、もっと慎重になって対処すべきかわからなくなっていました。まずは不明点を整理して、企業側に聞くところから始めたいと思います。

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