新人が配属されず業務内容が単調。転職でスキルアップしたい【転職相談室】
業務の幅が広がらない今の環境に不満がある、入社6年目の経理職のOさん。スキルアップを目指して転職すべきか、現職に留まって努力を続けるべきかを悩んでいます。
「スキルアップ」の目指し方について、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんが答えます。
目次
新人が部署に配属されず、いつまでたっても下っ端で業務内容が単調です。年齢的にも不安でスキルアップのための転職を考えています(Oさん/28歳/男性)

新卒入社以来6年間、IT企業の経理を担当しています。小さな会社の管理部門なので、自分より若手がなかなか入ってきません。雑務も多く、同じような業務内容が続き「このまま30歳になってしまったら、社外で通用するスキルを得られないのではないか」と焦っています。もっと大きな仕事を任せてくれる会社を目指して、いますぐ転職活動をすべきか。自らスキルアップのために資格勉強をするなど、できることをやった上で転職すべきか。迷っています。(Oさん/IT業界・経理/28歳/男性)
まずは「スキルアップによって実現したいこと」を明確にしよう

ただ、今の環境でスキルアップを目指すか、スキルアップのために転職を考えるか。どちらの選択をするにしても、大事なのはOさんにとって「スキルアップ」とは何かを明確にすることです。
「もっと大きな仕事」とは具体的にどんな内容で、今後のキャリアで実現したいことは何かを言語化していきましょう。


・経理業務の精度や知識を深め、財務の仕事まで幅を広げたい
・経理の経験を生かし、よりビジネスに近い経営企画に挑戦したい
・IPO(上場)を目指す会社で、上場準備経験を積みたい
・財務会計コンサルタントとして、業務改善や資金調達、M&A支援等にキャリアチェンジしたい
など、キャリアの選択肢はさまざまです。
今後どんな経験を積めばOさんにとっての「スキルアップ」につながるのかを描いてから、現職に留まるか、転職活動を始めるか考えてみてもいいと思います。
スキルアップしてから転職する場合のポイント、注意点とは


「簿記の資格を取る」「公認会計士の勉強をする」など、業務時間外の努力をするのも一つ。
上司や先輩に、やりたい仕事や身につけたいスキルについて相談するのもいいでしょう。今自分が求められている役割や、今後どんなスキルを身につければ仕事の幅を広げられるのかなど、目標のすり合わせも大事です。
現職で1~2年、スキルアップに向けて行動することは、その先の転職活動でアピールできる内容も増えますし、キャリア形成を考える上でも、有益な経験となるでしょう。
「経理だけではなく財務領域に挑戦するため、簿記1級の資格を取得しました」
「自ら手を挙げ経営企画のプロジェクトに参画させてもらうなど、業務領域を広げてきました」
「経理部門へのAIやRPA、クラウドサービスの導入を推進し業務効率化を実現しました」
など、取り組んだアクションに加え、そのプロセスで得たことも話せるよう、言語化することも重要です。
一方の懸念として、1~2年後の転職市場を予測できない点があります。特に、経理・会計は、領収書や請求書を読み取って、機械学習で仕分けして、会計ソフトに入力していくような「AI-OCR×RPA×クラウドサービス(システム)」など、新しい技術とサービス導入が最も盛んな領域とも言えます。そのため、今、努力して習得したスキルが評価されなかったり、30代になってライバルたちのスキルや経験もレベルアップしていたり。競争が厳しくなる可能性もあるでしょう。


また、上司や先輩に「この資格をとれは、実務にどう役立つか」「どれくらい価値があるか」を聞いてみるのもいいでしょう。転職のためのエージェントやキャリアアドバイザーに相談できるのであれば、その資格を取得した方はどんな転職をしたのか、どんな付加価値がついたのか、事例を聞いてみるといいと思います。
スキルアップのための転職で気をつけるポイント


「若手が入ってこないからスキルアップできない」という理由では、「環境のせいにして行動してこなかった・自分で動く力が足りない人」ととらえられる可能性があります。
先ほどお伝えしたように、転職によって実現したいことをきちんと言語化し、伝えられるよう整理しておきましょう。そして、求めるキャリアや、スキルアップのために、これまで具体的に何をしてきたかを伝えるのも大事です。
例えば「入社2年目で業務範囲が広がったタイミングで、簿記2級の内容を勉強しました」などでもいいと思います。求められるスキルに対して、アクションを起こしたこと自体に価値があります。これまでの仕事を振り返り、自ら行動したことはないか、整理してみましょう。
また、転職活動では「採用企業側の視点」を考えることも大切です。
企業が求めるのは、自社に貢献してくれる人材です。転職先企業で自分の経験がどう生きるのか、どう貢献できるのかを伝えられるようにしましょう。
「やりたい仕事」という観点だけでは、応募先の選択肢が狭まってしまいます。今の自分がどう貢献できるかという軸と併せて、企業を幅広く見ていってほしいですね。


まずは転職活動を始めてみる、というのも一つの方法です。選考を受けることで、自分のキャリア志向を整理できたり、自己分析の甘さに気づいたり、さまざまな発見があります。自分の経験が、思わぬ評価をもらうこともあるかもしれない。現時点の自分の市場価値を知る上で、動きながら情報を得ていくやり方も検討してみてはいかがでしょうか。

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