大手からベンチャー企業へ転職したいけれど、失敗しないか不安です【転職相談室】
ベンチャー企業で自分の力を試したい、スピード感を求められる環境で成長したい、という目標を持って転職を考える人は少なくありません。
大手企業からベンチャー企業への転職を考える際、失敗しないために注意すべきポイントは何か、組織人事コンサルティングの粟野友樹さんに聞きました。
目次
ベンチャー企業に転職して、自分の力を試してみたいけれど、失敗しないか不安です(Mさん/ECサイト運営/27歳/女性)

新卒で入社した大手IT企業で、ECサイト運営を任されています。労働条件に不満はなく、仕事でも評価をいただいていますが、業務が細分化されていて任される範囲も狭く、物足りなさを感じることも…。
そこで、自らサービスを手掛けたという実感が得られて、経営まわりのスキルも短期間で身につけられるベンチャー企業で、自分の力を試したいと考えています。
将来は、会社役員など重要なポジションに就いてバリバリ働きたい、という目的もあるので、今のうちから、ベンチャーの厳しさに揉まれておきたいです。ただ、今の恵まれた環境を考えると、「入社した会社と合わなかったら…」「小規模な会社だけに、失敗したら逃げ場がないのでは?」などといった不安も感じています。
まずは転職理由を整理し、大手企業とベンチャー企業との違いを理解しておこう

新たなフィールドへのチャレンジはぜひ応援したいところですが、現状の環境や転職に向けての不安を冷静に整理することも大切です。
転職を考える際、まず明確にしたいのが「転職理由」。なぜベンチャーを目指すのか、そこで何をしたいのかを言語化していきましょう。
転職ありきで考えず、現職に留まっていては目指すキャリアを築けないのか、という視点も重要です。
とくにMさんは「転職して失敗したらどうしよう」と不安に感じていますので、Mさんがやりたいとおっしゃっている「自らがサービスを作っている」という実感が得られる仕事や、「経営まわりのスキルを身につけられる経験」は、今の環境では絶対にできないことなのかを探りましょう。
他にも社内異動や新規事業立ち上げの見込みがあれば上司や先輩に相談したり、あらゆる可能性を検討した上で転職を決めることで、納得感のある転職活動を始めることができるでしょう。


ベンチャー規模にもよりますが、基本的に小規模のベンチャーは、業務分担や制度などが整っていないことの方が多く、環境変化への対応能力が求められます。
Mさんにとって、現職以上にやりがいある会社に転職するためには、会社の事業成長のためにも、仲間と一緒に新しいサービスを作り上げていくことに喜びを見出せるかどうかがカギとなるでしょう。
ただ、いざその環境に身を置くと、業務外の仕事も率先して行わなければならなかったり、その日に事業方針が変わっていたりと、予想以上の変化の目まぐるしさに驚く方も多くいらっしゃいます。
なにより、大手企業とベンチャー企業の大きな違いは、リソースの豊富さです。資金面でも人材面でも、大手企業はリソースが整っており、制度面も整備されています。
社員に還元する福利厚生なども充実しているため、大手から小規模の組織に転職すると、「前職では当たり前だった手当がない」「会社支給の備品や経費が使えない」など、さまざまな場面でギャップを感じるケースも少なくありません。
そのため、漠然と「ベンチャーでバリバリ働きたい」という憧れだけでは、入社後にミスマッチが生まれやすいのが現実。
事前にしっかりと情報収集を進めて、働く姿を具体的にイメージできることが大切です。
ベンチャー企業を選ぶ際のポイント、押さえておくべき情報とは


会社規模にもよりますが、社員が数十人など小規模のベンチャーであればあるほど、社長の影響力は大きいので、お互いの相性は非常に大事です。
創業の思いや事業を通じて実現したいことに共感できなければ、一緒に働くのは、Mさんにとっても企業にとってもストレスになりかねません。
選考を受ける前に、ホームページで社長や経営陣の経歴やバックグラウンド、企業のビジョンやミッション、行動規範(クレド)などを確認するほか、採用ページや社員インタビューページがあれば、それをチェックしてみて、会社が何を重視しているのかを探りましょう。
ネットなどのメディアに社長インタビューが掲載されているケースも多いので、そこで、創業時の思いや、これからの事業展開などを理解するのもいいと思います。
もしも、聞きたいことがあれば、選考プロセスの段階で面接官に質問してみて、気になる疑問点を解消しておきましょう。他にも社風を知るために、一緒に働くことになる同僚や上司との面談を設定してもらうのも一つの方法です。


社長との相性がいくら良くても、「事前に聞いていた話よりも労働時間が長い」「希望よりも給料が少なく、生活水準を維持できない」「福利厚生が少ない」など、理想と現実のギャップが極端にあった場合、入社後に生活の不安が大きくなります。
自分に合った企業を選ぶためには、「絶対に譲れない条件」だけを明確に絞り、ほかの“+αの条件”はなくてもいいと割り切ることも重要です。
とはいえ、処遇面については面接で納得感を持てるまで話し合い、ご自身の希望を確認しておいた方が安心でしょう。
入社後に「転職に失敗した」と思わないために、押さえるべき情報はありますか。


ベンチャー企業は、成長が著しいからこそスピード感を持って仕事ができる面白さがあります。
事業成長が鈍化している、あるいはほとんど業績が伸びていない会社は、将来性を考えても、転職しない方がいいといえるでしょう。
あとは、人材の流動性があまりにも激しい会社も要注意です。なぜなら、そういう会社のほとんどが、マネジメントができていないなど、組織体制に何らかの問題があるケースが多いからです。
大企業と比べてベンチャー企業は、組織変動が激しく、入社後に思っていた仕事と違う業務を任される可能性が高いです。それでも、選考の時点でどんな業務を任されるのかは、きちんと確認しておくといいでしょう。


社長と近い距離だったこともあり、仕事での評価がそのまま昇格につながり、今では立派に役員を務めているそうです。
そういう意味でも、企業の勢いと任される仕事によっては、大きくステップアップできるのも、ベンチャー企業で働く醍醐味ではないでしょうか。

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