転職を決断する瞬間はどんな時なのでしょうか?【転職相談室】
今の会社で将来のキャリアビジョンを描けないが、転職への決断もできないというご相談に、キャリア形成のプロフェッショナルとして、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏がお答えします。
目次
仕事にやりがいを感じないが、転職を決断する決め手がわからない(Yさん/アパレル・販売職/27歳・女性)

入社5年目で、アパレルの店舗販売員として、後輩の指導も経験し、接客、ディスプレイ、商品管理、シフト管理まで一通りの仕事ができるようになりました。ただ、同じことの繰り返しでやりがいを感じず、今の会社での将来の目標もありません。先輩は30歳くらいになると転職する人が多く、自分も「転職したい」と毎日考えますが、転職してよかったという人もいれば、転職しなければよかったという人もいて、何を決め手に決断すればいいのかわからず、行動に移せません。転職する方は、どんな瞬間に決断するのでしょうか?
「転職を決断する瞬間」と「転職活動開始を決断する瞬間」がある

まず確認しておきたいのは、「転職をする」ことと「転職活動をする」ことは別だという点です。次のように分けて考えてみてください。
・「転職をする」-応募企業から内定が出たことを受けて、今まで勤めていた会社を退職し、実際に次の転職先へ入社すること。
・「転職活動を開始する」-自分で見つけた求人への書類応募や転職支援サービスへの登録をして、転職のための活動を始めること。
つまり、「転職をする」ことを決めていなくても、「転職活動を開始する」ことはできるのです。
転職活動を始める際には、職務経歴書を作成するために自己分析をし、志望企業を選定するために、企業研究をしていきます。
そうする過程で自分がどんなことに興味を持ち、転職で何を実現したいのかが見えてきます。
場合によっては今の会社でもう少し頑張ってみようという判断になるかもしれません。
たまにインターネットで求人票を見てみることはあるのですが、「これ!」という企業は今のところ見当たりません。
もし応募したい企業があっても、まずは書類作成が必要なので、面倒に感じて、結局何もせずにいます。


「転職活動開始を決断する瞬間」を紐解く

①会社の方向性に対する違和感:経営方針や企業ビジョンに共感できない。(例:会社の買収、経営者の変更等)
②事業・仕事内容への違和感:事業内容や仕事に誇りや自信が持てない。(例:事業縮小、商品力の低さ等)
③ヒト・組織への不満:共に働く人へのストレスがある。(例:上司のマネジメントスタイルや社風に合わない等)
④評価・待遇への不満:会社からの評価・自分の待遇が不満。(例:成果に対する評価や年収の低さ、希望しない異動等)
例えば、③のパターンだと、上司が変わって、今までのプロセス重視型から、成果重視型へ変わりやりにくくなったので、転職活動を始めるという場合があります。
販売職であれば、今までの上司は接客姿勢や商品管理の工程などを評価してもらえていたのに、急に売上数字を中心に評価する上司へ変わった、という状況でしょうか。
この場合、「プロセスを重視するマネジメントを取り入れている会社へ転職したい」ということが、転職の軸として考えられます。
このように、まずは、現状の何に不満を感じ、転職でどんなことを実現したいのかを整理してみます。
転職の軸が見えたら、実際に転職をするかどうかは決断していなくても、まずは転職市場の状況を確認していきます。
転職をするとしたらどんな業種・職種で自分の経験が活かせるのかを判断するために、情報収集を開始していきます。すなわち、転職活動のスタートです。

「転職を決断する瞬間」とは、どんなときなのか?

通常、転職を決断するのは、内定が出た後です。
1社でも内定が出ると、そこまでの緊張感が緩み、内定を獲得した嬉しさから、いつの間にか転職をすることが目的になってしまい、そのまま入社を決めたくなります。
ただ、本来の目的は、あなたが「実現したいキャリアを叶える」ことで、転職はそのための1つの方法です。
本当にその会社に行くことで、「転職の軸にしていたことが叶うか」という点をよく考えてください。
なお、納得度が高い状態で転職を決断する方の傾向として、気持ちよく転職を決断するのは、転職の軸が叶えられるかどうかというロジカルな視点と併せて、「この会社で働きたい」という感情的な揺さぶりがあったときが多いように見受けられます。


転職を決断するまでのステップと決断に大切なこと

例えば、同じ業種・職種で会社を変えた場合にそれが解消されるでしょうか。
アパレルは好きなのですが、このままだと、店長までしかキャリアの目標がなく、その先にどうなっていくのかが見えずに困っています。
今まで店舗販売職で本社へ異動になる人の話を聞いたことがありませんし、30代で販売職を続けている人が周囲にほとんどいません。
子育てが落ち着いて復職している販売職の方はいるのですが、将来もずっと販売職を続けたいかどうか、わかりません。
30代、40代で仕事を継続している人が身近にいるような職場だと、将来のイメージが持てそうなのですが。


組織として、販売職から本社業務への異動ルートがない点、ライフステージに変化が起きやすい30~40代のロールモデルが周囲にない点に、不満が潜んでいるようです。
不満を感じている点が見えてきたら、「30代以降に目標をもって活躍している人が多い」ことを転職の軸にして、転職活動を始めてみてはいかがでしょうか。転職活動を開始したからといって、必ず転職することが決まったわけではありません。
まずは、書類応募することを目標に、自分の転職の軸を実現できる企業を探し、自分の経験や志向をもっと分析して、応募書類の作成をしていくことから始めましょう。
転職活動の軸を決めることが大事なのですね。
書類応募することを目標に、興味のある企業を探したり、自己分析をしたりしていくのであれば、「転職をする」という大きな決断をしなくても、スタートできそうです。




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