現在管理職ですが、転職後も管理職から働き始めるのは可能ですか?【転職相談室】
これまで管理職として働いてきた人は、転職しても管理職のポジションに就きたいと願うケースが多いようです。では、転職してすぐに管理職からスタートを切ることはできるのでしょうか。
管理職から管理職への転職を目指す方のご相談に、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏が「企業選びのポイント」「自己PRのポイント」の視点でお答えします。
目次
現在管理職ですが、転職後も管理職から働き始めるのは可能ですか?(Sさん/営業マネジャー/35歳/男性)
サービス企業の法人営業部門で管理職を務めています。
■悩み
今後のキャリアを考え、転職を決意しました。これまで管理職として働いてきたので、その経験を活かして転職先でも管理職として働きたいと考えています。家族がいるので収入ダウンは避けたく、そのためにも管理職のポジションで転職できれば、と思っています。
■相談内容
転職にあたり、最初から管理職のポジションで入社することは可能でしょうか。
管理職から管理職へ転職する際のポイント ~企業選び~
同業種・同職種への転職なら、管理職として受け入れられやすい
管理職は、中長期視点で組織の戦略を立てていかなければなりませんし、部下の評価・育成もしなければなりません。それは、経験がない業界・職種では難しいことだと思います。ですから、入社してすぐに管理職に就きたいのであれば、同業種・同職種の企業を目指すのがもっとも現実的だと言えます。
今の会社より規模が小さな会社――特に設立から日が浅いベンチャー企業などであれば、人材が不足している分、管理職として受け入れられやすいでしょう。ただし、そうした企業の場合は、「マネジメント」だけをしていればいいわけではなく、自分の手足を動かすことを求められますので、心得ておいてください。
マネジメントの対象層・スタイルが近い企業でも可能性あり
異業界であっても、「マネジメント対象層」と「マネジメントスタイル」が共通していれば、最初から管理職を任せてもらえるケースもあります。
例えば、「20代の若手が中心の組織で、モチベーションを鼓舞し、自走を促すマネジメント」「育児中の女性が多い組織で、個々のプライベート事情にも配慮しつつ、生産性を高めるマネジメント」「さまざまな専門職が協業する組織で、立場が異なる人たちの間に立って調整をするマネジメント」といったようにです。
実際の転職事例として、損害保険会社で営業部門の管理職を務めていた人が、個人客への対応に関する指導力を買われ、テレマーケティング会社の管理職として採用されたケースもあります。自身の経験・スキルがどう活かせるかを探ってみてください。
人事評価・人材育成の方針が自身の経験・志向に合うかに注目を
企業を選ぶ際の大切なポイントとして、相手企業の「人事評価」「人材育成の方針・手法」が自分の経験や志向に合っているかどうかに注目してみてください。
同業種・同職種の組織であっても、例えば「プロセスが重要」「成果が重要」など、企業によって評価のポイントは異なります。人材育成方針にしても「独自で考え、行動を起こせる人を育てたい」という企業もあれば「チームで成果を挙げられる人を育てたい」という企業もあります。そうした面で、自分の経験が活かせるか、また、これから自分が目指したい方向性と合っているかを確認するようにしましょう。
管理職から管理職に転職した結果、成果を挙げられずに再度転職することになったある方は、こうおっしゃっていました。「前の会社では、いわゆる『飲み二ケーション』で信頼関係を築いていました。飲みながら腹を割って話すことでお互いの理解を深めていたんです。けれど転職先の会社では、仕事とプライベートを分けたいメンバーが多く、飲みに誘っても乗ってこない。ロジックがしっかりした戦略を立てて納得させなければ信頼を得られません。私はそういうことは苦手なので、部下の心をつかむことができませんでした」
このように、「組織風土」という視点でも、自身のマネジメントスタイルがフィットする会社かどうかを見極めたいものです。
管理職から管理職へ転職する際のポイント ~自己PR~
マネジメント実績の詳細
単に「マネジメント経験があります」というだけでは、あなたの強みは伝わりません。これまで管理職として担当した組織それぞれについて、「社内での位置付け・役割」「人数規模」「予算」「成果(目標達成率など)」などを明文化し、職務経歴書に記載しましょう。
面接では、どの程度の裁量権を持っていたのかも語れるようにしておいてください。
自ら課題を見つけて実践した経験
「会社から指示された管理業務をただ回していただけ」と思われないようにすることが大切です。自身で組織の課題を分析し、課題解決のためにアクションを起こしていたかどうかが注目されます。
マネジメントの手法やスタイルにしても、「自分が新人時代に上司から受けたマネジメントをそのまま真似している」ということでは評価されません。自分自身の考えを持ってマネジメント施策を実行していたことを伝えられるようにしておくといいでしょう。「こういう失敗、試行錯誤を経てうまくいった」というエピソードも相手に響くものです。
マネジメント理論・手法を体系的に学んだ経験
近年、社会構造や価値観の変化に伴い、マネジメント手法は様変わりしています。「マネジメント理論」と呼ばれるものにはさまざまな種類がありますので、それらを自発的に学んだ経験、自分の組織に合うと思ったものを実践した経験などが語れるといいでしょう。
新しいマネジメント手法にアンテナを張り、取り入れていこうとする姿勢がプラス評価につながります。
なぜ管理職として働きたいのか理由を明確に伝える
「管理職」という仕事に対して、どんな想いを持って取り組んできたのか、今後はどんな管理職像を目指すのかも注目されるポイントです。「ここにやりがいを感じている」「こういう面で自分に向いていると思う」などを整理しておきましょう。「管理職としての自分」に対する、客観的な自己分析力が注目されています。
肩書きにこだわり過ぎないほうがいいことも
企業にとって、「管理職」の採用は重い判断。前の会社で管理職だったからといって、最初から管理職として採用するかどうかは別問題であり、選考の目はシビアになります。どうしても入りたい企業であれば、「管理職として入社」にこだわらず、メンバーやチームリーダークラスからスタートすることを受け入れてはいかがでしょうか。
最初から管理職の肩書きを持つことは、自分にとってもプレッシャーとなります。「成果を挙げ、同僚の信頼を得た1年後に管理職に昇進」といったように、プロセスを踏んで管理職を目指すことも検討してみてください。
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