転職すると出世に不利になりますか?【転職相談室】
「より大きな裁量権を持ちたい」「経営に近いポジションで働きたい」「収入を上げたい」――そんな思いから出世を望んでも今勤務している会社では叶いにくい場合、転職によって目指すことはできるのでしょうか。「中途入社者は新卒入社のプロパー社員との出世競争に勝てないのでは」と不安を抱く方もいます。
今回は、「転職すると出世に不利になるか?」というご相談に、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏がお答えします。
目次
転職すると出世に不利になりますか?(Aさん/営業職/35歳/男性)

大手メーカーで法人営業をしています。
■悩み
新卒入社した大手メーカーでは法人営業として実績を挙げてきました。大きなプロジェクトも企画・立案し、成功を収めました。しかし、課長まではスムーズに昇進できたものの、頭打ちだと感じています。私としては部長、さらに役員のポジションを目指したいのですが、年功序列制度が根強くあり、上が詰まっている状態です。より早く経営に近いポジションに就ける会社に転職を考えています。
■相談内容
転職先は大手企業を希望していますが、中途入社者はやはり出世に不利となるでしょうか。
出世に不利になるかどうかは「企業の制度・風土」と「転職後の取り組み方」次第

一方、大手企業でも新しい人事評価制度を取り入れ、中途入社者が活躍している例も多く見られます。まずは、その会社の制度・風土に目を向けてみましょう。
転職者が出世において不利になりやすい企業
新卒採用をメインとする企業
全社員のうち新卒入社者が8~9割を占め、中途入社者が少数派である企業では出世が不利になる傾向があります。理由としては、新卒入社から長年在籍することによる様々な形の知見や社内人脈の蓄積が業務の成果につながり、昇進昇格にも影響することなどが考えられます。
ただし、新卒採用中心の企業でも、「異分野に進出し、新規事業を立ち上げる」など、既存社員にはない知識・ノウハウを持つ人材を中途採用する場合、新規事業部門のリーダーとして出世するチャンスがあるでしょう。
昇進試験にルールがある企業
人材選抜の仕組みが確立されている企業では、一定の条件を設けて「昇進試験」が行われます。そして「○歳までに課長(部長)になれるかどうか」といったことが、その後の出世に影響を及ぼすこともあります。
例えば、「35歳で課長になっていること」が先々の昇進条件となっている場合、34歳で中途入社した人が1年で役職を得るのはハードルが高いですよね。仕事で実績を挙げたとしても、こうしたルールに出世を阻まれてしまう可能性があります。
転職者に出世のチャンスがあるかどうかを見極める方法


人事評価制度
興味がある求人企業について、人事評価制度を調べてみてください。近年は、目標の達成度合いで評価する「目標管理制度(MBO)」、さまざまな立場の人が1人に対して多面的に評価を行う「360度評価」、行動特性を基準に評価する「コンピテンシー評価」など、行動や成果にフォーカスしたさまざまな評価手法があります。こうした制度を導入している企業では、社歴に関わらない昇進昇格の可能性も比較的あると考えられます。
活躍している転職者の事例
企業の採用ページでは、社員の仕事ぶりやインタビューが紹介されていることもあります。そうした記事を読めば、中途入社した社員がどんなキャリアを歩み、今どんなポジションに就いているかがわかります。こうした「先輩社員紹介」の記事は、新卒向けの採用ページに掲載されていることも多いので、チェックしてみてください。
サイトではわからない場合、面接で人事担当者に次のように質問してみましょう。
「中途入社して現在活躍している方は、入社後どんな成果を挙げてきたのでしょう」
「私と同じ○歳くらいで中途入社した方は、入社後どのように活躍されているのでしょう」
「私が入社した場合、最短で管理職を目指すなら、どんなプロセスを踏み、どんな成果を挙げればいいのでしょう」
転職後、出世するためにできること


その会社の「評価指標」を正しく理解する
入社の段階で、その企業ではどんな行動や取り組みが評価されるのかをつかんでおくことが大切です。
例えば、営業の場合、個人の力で挙げた業績を評価する企業もあれば、チームワークによる達成に価値を置く企業、他社とアライアンスを組んでの活動を推奨する企業、新たなマーケット開拓を重視する企業など、さまざまです。会社が期待するのとは異なる手法・プロセスで成果を挙げたとしても、自分が思ったほど評価されないかもしれません。あるいは、「ミスをしないこと」を重視する企業であれば、業績目標を120%達成したとしても、一つのケアレスミスによってマイナス評価となってしまうこともあります。
努力するポイントを間違わないよう、「何が評価されるのか」を理解しておきましょう。
社内のキーマンとの人脈を築く
組織内で上位ポジションに上がっていこうとすれば、やはりその組織で影響力を持つ「キーマン」とつながっておくことも大切です。
「権力を持つ人に媚びを売る」ということではありません。「自分はこんなことができる」「自分はこんなことがしたい」と考え、新しい提案をしようとした場合、その声がキーマンに届けば、実践するチャンスを与えられやすいといえます。それが成果につながれば、出世への近道となるでしょう。
中途入社直後であれば、その会社ではまだ新人として見てもらえますから、「教えてください」「学ばせてください」という謙虚な姿勢で接し、交流の機会を作ってみてはいかがでしょうか。さまざまな部署の人が参加しているサークルやコミュニティ、研究会などがあれば、積極的に参加してみるのも手です。
キーマンだけでなく、社内のさまざまな人を「巻き込む力」も、出世には必要不可欠です。仕事で成果を挙げるのと同時に、積極的にコミュニケーションをとることをお勧めします。
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