今の職場は居心地が良いけど、将来が不安。転職するか迷います【転職相談室】
職場環境には恵まれているけれど、これからの長いキャリアを考えると、今のスキルでは不安…。
スキルアップを目指して転職を考える際に注意すべき点は何か、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに伺いました。
目次
今の職場は居心地が良いけど、スキルが身につかないのではないかと将来が不安。転職するか迷っています(Kさん/24歳/女性)

事務職
■悩み
現在、金融機関の事務職に就いています。お客様の書類に不備がないか、フォーマットにそって確認するのが主な業務です。
仕事を進める上で、業界の基本知識や商品概要の理解が必要ですが、数ヶ月でほぼ習得ができ、その後の仕事はルーティンワークが中心になります。
重視されるのは、いかにミスなく効率よく仕事を処理するか、という視点のみなので、今後のキャリアアップにつながるような気がしません。
■相談
職場の人間関係や、事業の安定性などを考えると、現職にとくに不安はないのですが、欲を言えば、もっと成長実感のある仕事に就きたいと考えています。
将来的なスキルアップを目指して、転職を検討した方がよいでしょうか。
経験者の成功エピソードから学ぶ、転職する前にやっておきたいこと

ただ、今ある不安や不満が、職場を変えれば全て解消するということは難しいかもしれません。
今の仕事に対してどんな姿勢で取り組み、自分なりに工夫して動いたという行動実績があるかどうかが、転職の満足度や納得感を左右します。
では、実際に転職された経験者のケースから、転職の前に考えるべきこと・すべきことを整理していきましょう。
【転職成功事例】保険代理店の営業アシスタント→外資の大手コンサルティングファームのアシスタント(24歳/女性)

転職理由には「今の職場では、得意な語学を活かして働けていない」「提案できる商品の幅が少なく、入社前に想像していた“ソリューション営業”には程遠い」ことが挙げられました。
それでも会社の業績は安定していて、社内では40代、50代の面倒見がいい先輩に囲まれ、恵まれている環境にいたことは確かです。
ただし、安定さゆえに社内全体の仕事のスピード感が遅く、「このままぬるま湯にいていいのだろうか」と考えるようになったそうです。
「語学力を生かした仕事で、同世代と切磋琢磨できるような刺激的な環境に身を置きたい」そんな思いで大手の外資コンサルファームに転職を決意。現在、コンサルタントのアシスタントに就いており、「優秀な方と働けて学びが大きい」と話しています。


「面接で語れる実績を作ってから転職をした」というところです。最初に相談にきた入社半年のタイミングでは、営業アシスタントとしても営業としても「私はこれをやった」と語れるエピソードがありませんでした。
転職でステップアップするには、自ら課題を見出し、主体的に動いた業務経験を語れた方が有利だとお話したところ、「現職でもう1年頑張ってみます」と言って、翌年にまた相談に来ました。
2回目にお会いしたときには、自身が語れる実績について、以下のようなエピソードのメモをたくさん用意していました。
・営業アシスタントとしていかにニーズを先回りしてサポートしたか
・営業としてどんな提案書類を作成したか
・自らのアイデアで提案した結果、お客様からどんな反応があったか
上記のように、現職で自身が語れる実績をメモしておくと、後になって自分が転職を考えた際、転職先でアピールできるスキルや実績などを整理するときに役立ちます。
彼女の場合、自分がまずは今の環境で得られる経験やスキルを磨こうと時間を置いたことで、彼女自身の転職市場価値がぐっと上がり、転職成功につながったといえるでしょう。


入社半年で離職すると、企業側から「定着性懸念」(またすぐ辞めてしまうのではないかという懸念)を持たれる可能性が出てきます。
経験者の失敗エピソードから学ぶ、転職時の注意ポイント

【転職失敗事例】インターネット広告の営業→大手学習塾の教室長(25歳/男性)

場当たり的に業務を進めることが多く、知識やスキルが積みあがっていかないと不安に感じていました。そこで、組織や制度が整った大手企業でビジネス経験を積みたいと、転職活動をスタート。
もともと教育分野に関心があったことから、大手学習塾を志望し、教室長として転職しました。


上司は物理的に距離が離れている教室を複数担当しており、週に1回程度しか顔を合わせることがないのが現状でした。
そのため、指導を仰げる上司や先輩との接点が少なく、前職で感じた不安をまた抱くようになってしまいました。
「行きたかった教育業界」「大手企業だから教育体制や福利厚生が整っている」という2点を重視し、働くリアルな環境を具体的にイメージできていなかったこと、そして転職を急いだことが、後悔につながってしまいました。


「〇〇業界に入りたい」と転職を希望する際、漠然とした憧れだけで転職先を決めてしまう人が多くいます。
入社後に後悔しないためには、もっと具体的な業務内容に目を向けることが大切です。
あとは、成功事例で話したように、「今の環境だからできること」にフォーカスすることです。この方のように、前職がスタートアップ企業であれば、社長との距離も近いはず。その環境を活かし、例えば新規事業を提案して新しい部署やサービスを立ち上げる経験ができたかもしれません。
新規事業立案の経験を評価する企業は多いので、その実績を語ることができれば、転職時の選択肢が大いに広がった可能性もあります。
また、新規事業の立ち上げやマネジメント経験など経験の幅を広げることで、「自分が何にやりがいを感じるのか」という自己理解が深まります。
「業界」「企業規模」という軸以外に「マネジメントに挑戦したい」「お客様と深く関わる仕事に魅力を感じる」など、仕事観の軸が生まれることで、より納得度の高い仕事の選び方ができるようになるでしょう。
転職活動に向けて、行動と実績の「事実」を積み重ねよう


例えば、Kさんの業務では、「ミスなく効率的に書類確認する」ことが求められていますよね。そこで効率化を図るために、社内向けマニュアルを変えたら、業務プロセスが改善されてチームの残業時間が減った、という成果が出たかもしれません。
日々の小さな業務改善の工夫をメモし、自分が工夫したことや改善したことについて客観的に振り返ることができるようにしておくといいでしょう。その際、参考になるのが「STARメソッド」です。以下の4つのポイントをメモしておくと、今後転職する際に役立ちます。
Situation:そのときの状況や背景
Task:課題を乗り越えるための仕事
Action:仕事を完了させるためにとった行動
Result:定量化された数値、定性的な周りの反応などの結果
面接では、「これからこうしたい」という意思だけではなく、「何をしたか」という実績や事実も問われます。たとえ小さなアクションでも、行動した事実として記録しておきましょう。


ただ、注意したいのは、資格取得自体が評価されて転職成功につながるケースはほとんどないということ。企業側が知りたいのは、その資格によって実務で何ができるのか、そして成長するために具体的な行動をとれるかどうかという点です。
もし、転職活動のために資格をとろうと考えているのでしたら、まずは現職の実務ベースで、小さな行動実績をコツコツと積み重ねていくことをおすすめします。

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