新卒1年目で2回目の転職をしたい。短期間での転職は不利?【転職相談室】
新卒1年目で2回目の転職を検討しているけれど、短期間における複数回の転職は企業にとってもやはり不利なのでしょうか。
数多くの転職をサポートしてきた、キャリアアドバイザー組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに伺いました。
目次
新卒1年目ですが2回目の転職を考えています。短期間での転職は不利でしょうか?(営業/23歳/男性/Iさん)

■現在の仕事
メガバンク→外資系コンサル
■悩み
新卒でメガバンクに入社しましたが希望が通らず、地方に配属されたため3ヵ月で辞めてしまいました。
その後、外資系コンサル会社に転職しましたが、任される仕事は資料作成や会議準備ばかり。
やりがいを感じられず、転職してまだ半年もたっていませんが、また転職をしようかなと悩んでいます。
とはいえ、新卒入社してから1年で2回も転職するのは、今後のキャリアを考えてもあまり良くないのではないかとも思っています。
■相談
実際に転職はしにくいでしょうか?また、仮に今回は転職できたとしても、その後の転職で不利になることはあるのでしょうか?
不可能ではないが不利にはなる。安易な転職はおすすめできません

ただ、Iさんも心配されている通り、1年目で2回目の転職は短期間における複数回の転職となるため、企業側から二つの懸念を抱かれる可能性は高いでしょう。
その一つが「定着性懸念」です。新卒1年目での転職は、社会人経験やスキル面で、新卒採用の学生と大差がありません。
企業側の視点に立つと、新卒1年目で転職回数が2回目という時点で、「踏ん張りどころで耐える力が足りないのではないか」「嫌な環境から逃げる性格特性があるのではないか」「ストレス耐性が弱いのではないか」などさまざまな疑問が生まれます。
それはつまり、「当社に入っても定着せずにすぐに辞めてしまうのではないか」という懸念にもつながってしまいます。
同じようにスキルや経験のない人材であれば、新卒の学生を採用した方が、定着性懸念のリスクがないと考えられるのです。


ただし、企業側に抱かれる懸念の二つ目が「スキルや経験面での懸念」です。採用担当者にスキルや経験面をアピールする際、今度は入社2~3年目の第二新卒層と比較されることになります。
1社あたり半年未満の在籍では、強くアピールできるようなスキルや業務経験を得ることは、容易ではないでしょう。
企業側としても、中途で若手人材を採用する場合であっても、少しでもスキルや経験のある人材を求める傾向にあります。
研修を終えたばかり、あるいはOJTで少し現場経験のある1年目の人材より、2~3年の経験を積み、「こんなプロジェクトを手掛けてきた」と実績を語れる人材の方を選ぶでしょう。


社会人の先輩と話をするとよくわかると思うのですが、1年目の時点で「自分はこんな仕事にやりがいを感じる」「自分に向いている仕事はこれだ」とはっきりしていた先輩は多くはないはず。仕事で経験を積んではじめて、自分の好き嫌いや得意不得意が見えてきます。
新卒1年目は、仕事を通じて自分が大事にしたい軸を見つけるための準備期間のようなもの。
短期間で2社、3社と転職することは、その職場で得られたはずの気づきの機会を逃しているともいえます。
さらに、転職は一度経験すると癖になる方も多いです。今の仕事の不満解消のためだけに、転職先を転々と探し続ける人になってしまうかもしれません。
やむを得ない転職理由でも事情を明確に説明することが大切
一方、入社前に聞いていた業務内容と入社後に実際担当する業務内容が違ったとか、極度に残業が多いなどの理由で、やむを得ず転職を選ぶケースもありますよね。
そういった場合は、考慮されるのでしょうか。


よくあるケースとしては、会社が倒産してしまった、あるいは業績不振で任される仕事がほとんどないなどの理由です。
家族の介護などで現職への通勤が難しい、持病など心身的な理由で今の仕事を続けられないといった理由もあるでしょう。どんな理由にせよ、事情をきちんと説明することが大切です。
今すぐ転職しようという考えを、少し見直そうかなと思ってきました。


でも、例えばあと1年間今の職場で頑張れそうなのであれば、転職市場での評価は変わり、転職先の選択肢も増えるでしょう。
現段階で転職しようとしても、希望する形の転職は難しいかもしれません。それならば、今後のキャリアで選択肢を多く持てるよう、今の職場でできることをしてみてはいかがでしょうか。
今の職場で学べることに目を向けずにいることはもったいないといえるでしょう。
転職のタイミングに備えて今からできること


多くの企業には、新卒人材の育成プランがあります。今の仕事に物足りなさや不満があるのなら、正直に相談してみることをおすすめします。
すると、「2年目にはこういう仕事を任せられるように、今はこんな業務をお願いしている」「3年目までにはこんな業務経験を積んでほしい」といった答えが返ってくるかもしれません。
それに、先輩から話を聞くことで、「1年目の経験が数年後に活きる」などのエピソードが出てくることもあります。「だったら自分も今頑張ろう」と、新たなモチベーションアップにつながるかもしれません。


企業規模の大小にかかわらず、自分が主体的に考えて行動を起こしたエピソードがあれば、転職活動で有利な材料になります。
かりにその取り組んだことが成功しようが失敗しようが、行動の背景だとか、困難をどう乗り越えたのかを自分の言葉で語れることが大切です。


転職先の業務内容にもよりますが、そうした正確な業務遂行力を評価する企業もたくさんあります。
ただし、まずは現職でスキルや経験を積み、それをアピールできるようになってから、自分の希望にかなう転職先を検討したいようであれば、主体的に行動を起こしたという事実を伝えられた方がいいでしょう。
とくに、新卒1年目で転職しているIさんでしたら、「こういうことがやりたくて、1回目の転職をした」「転職先では、実際にこんな経験を積み、次はこんな領域にチャレンジしたい」と言えた方が、説得力は高まります。
“新卒入社1年目で転職経験あり”というIさんの経歴は、企業によってはマイナスに評価されることもあるでしょう。だからこそ、その転職を自分のキャリアにどう活かしたのかを自分の言葉で意味づけ、一貫性を持って説明をすることが重要です。


就職活動時に、どのような軸で企業選びをしていたのかを改めて振り返ることで、何がミスマッチにつながったのかを自覚することができます。すると、次の転職先を選ぶ際に、自分に合った企業の選び方がわかり、転職の軸を整理するきっかけにもなります。
転職に失敗したくない!自分に合った企業の選び方を教えてください【転職相談室】
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