未経験でIT系の技術職に転職したいけどスキルがない…転職は可能?【転職相談室】
2020年5月22日公開
最終更新日:2022年6月9日
やりたい仕事が見えてきたので転職したいと思いつつも、スキルがないから…と一歩を踏み出せない人がいます。
ですが、その仕事に就きたいという強い意思と行動力があれば、目指す仕事に一歩ずつ近づいていけるはず。
その方法について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹さんにアドバイスをもらいました。
アドバイザー 粟野友樹
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
プログラミングなどのスキルがないのですが、IT系の技術職に転職したいと考えています。可能でしょうか?(Kさん/営業職/26歳/女性)
■現在の仕事
就活時はやりたい仕事が見つからず、とりあえず大手広告代理店の子会社で営業職に就き、現在に至ります。
■相談内容
日頃からアプリを使うのが好きで、「自分で実際に作れたらなぁ」という思いから、IT系の技術職に興味を持つようになりました。
キャリアチェンジを目指し、転職活動しようと思うのですが、IT系の知識もスキルもない今の自分には無謀な考えのような気がしています。こんな私でも、転職できるでしょうか?
ポータブルスキルをアピールし、実務未経験からスタート
IT系企業に転職したいそうですが、将来的にどんな仕事をしたいのかイメージはありますか?
漠然とですが、アプリの企画や開発に携われたら…と思っています。というのも、普段から携帯アプリを活用していて「このアプリ、もう少しここがこうなら便利なのにな~」と思うことがよくあるからです。
なるほど。実は、WebエンジニアなどのIT系職種は、ニーズは高いにもかかわらず人材が不足していることから、ここ数年、「未経験歓迎」の求人募集は増えています。
本当ですか!?
ですが、未経験歓迎とはいえ、私のようにIT系の専門知識やスキルがなくても大丈夫なのでしょうか?
Kさんは、“スキル”といえば「テクニカルスキル」、と思っていませんか?
実は、スキルには特定の業界や領域で発揮される専門性の高い「テクニカルスキル」と、
これまでの仕事を通して身につけてきたどの業界にも通用する「ポータブルスキル」があります。
それに加えて、新卒や若い世代の採用時には、基礎学力や素養、職務遂行能力などの「ポテンシャル」や、仕事に対する価値観や考え方を表す「スタンス」も重視されます。
ですから、IT系といってもテクニカルスキルばかりが評価されるわけではなく、特に未経験歓迎の求人に応募する20代なら、ポテンシャルやスタンス、そして何よりポータブルスキルが重視されるはずです。
テクニカルスキル以外にも評価ポイントがあるということですね。ポータブルスキルとは、具体的にはどのようなスキルのことですか?
例えば、現状を把握して課題を設定し状況に応じて対応できるような「課題設定力」「課題分析力」「計画力」、また、社内外における「関係者間の調整力」などです。自分では気づいていないだけで、Kさんにも営業職として培ってきたポータブルスキルがあるはずです。
そう言われてみると、人との関わり方は得意なほうで、社内でも評価されています。
IT系技術職の募集では、プロジェクトマネジメント力や調整力、人を巻き込んでまとめていく力なども評価されるので、Kさんが営業で達成したことや頑張ってきた経験をもとに、自分の強みとなるようなポータブルスキルを書き出してみてください。
SEなどで経験を積み、スマホアプリエンジニアにステップアップ
では、もう少し具体的に「IT系企業でどんなことをやりたいのか」を考えてみましょう。イメージできますか?。
いま考えられるのは、「旅行に行った時に便利なアプリ」や「ライフログに便利なアプリ」のアイディアです。将来的には、アプリを丸ごとプロデュースするような仕事に就けたらいいなと思っています。
なるほど。目標は「スマホアプリエンジニア」になりそうですね。そうなると、テクニカルスキルは必須。なぜなら、スマホアプリはAndroidエンジニアとiOSエンジニアに分かれていて専門性が極めて高く、Webエンジニアよりも求人倍率が高い狭き門なのです。
いや、将来的な可能性はあります。まずは未経験歓迎のIT企業に転職して、システムエンジニア(SE)やWebエンジニアとして経験を積み、段階を踏んでスマホアプリエンジニアを目指していくのです。これが、現実的な方法でしょう。
転職を重ねてテクニカルスキルを養い、目標に近づいていくわけですね。
そうです。その第一歩は、未経験での転職を成功させること。そのためにも、自分のポータブルスキルをきちんと棚卸しして、その企業が求めるポータブルスキルをアピールすることが重要です。


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※ 厚生労働省「人材サービス総合サイト」における有料職業紹介事業者のうち無期雇用および4ヶ月以上の有期雇用の合計人数(2023年度実績を自社集計)2024年5月時点
スクールに通ってみることも1つの方法
ところで、KさんはIT系の基礎知識やスキルについての勉強を何かしていますか?
いいえ、まだ何もしていません。未経験歓迎の企業なら、入社してから学べるのではないですか?
過去の相談者の中にも、パティシエ、販売員、営業職、書籍の企画担当、学習塾室長などから、未経験でエンジニアに転職している人たちがいました。彼らのように未経験転職に成功した人たちは、プログラミングスクールなどで基礎を学んでからスタートしているケースが多いんです。
やはりスクールで学んでおくことは、未経験での転職には有利なんですか?
絶対とは言い切れませんが、実務経験はなくても、スクールに通って基礎的な知識は身につけているわけですし、学ぼうとする意欲も評価されると思います。また、スクールで自作したアプリなどの成果物を見せることができれば、それもアピールになるでしょう。
本気でアプリエンジニアを目指すのなら、
将来の自分への投資と考えて、プログラミングスクールに通ってみるのも1つの方法です。今はスクールもたくさんあるので、自分の目的や時間帯、予算に合ったスクールが見つかるはずです。
また、スクール以外にも、エンジニアの勉強会というものがあります。現職者から実際の仕事内容や、未経験転職者がどのようにスキルを身につけたかを聞くことができる会が催されることもあるので、SNS上で情報発信している有名IT系企業出身の現職者の告知をチェックしてみてください。
わかりました。今の職場はそれほど残業がないので、情報収集やスクールに通う時間はつくれそうです。早速調べてみます。ありがとうございました。
まとめ
IT系企業への未経験転職は、自分のポータブルスキルを見極め、適切にアピールすることから始まります。それに加えてスクールに通うなど、テクニカルスキルを養う努力をすることで、実現への可能性はより高まります。
できるだけ具体的な転職先のイメージをつくりながら、焦らずに取り組んでください。
記事作成日:2020年5月22日 WRITER:笠井貞子 EDIT:リクナビNEXT編集部