達成感を感じられない仕事を続けるか、転職するか悩んでいます【転職相談室】

仕事で達成感を感じられない…と悩む営業職の相談者。仕事への慣れか、業務内容とのミスマッチか、評価体制に課題があるのか。
考えうる原因と対処法について、組織人事コンサルタントの粟野友樹氏がお答えします。
目次
仕事で達成感を感じられず、自分が成長せずに停滞しているように感じて不安です(Kさん/営業/31歳)

<相談内容>
新卒で入った会社で営業職として働いています。
最初はお客様の役に立てることや、人に感謝されること、営業目標を達成すること、チームの営業成績に貢献できることなどに、達成感を感じていました。
ですが、長く勤めているうちに、だんだんとそういった達成感も感じられなくなってきました。
ある程度大きな仕事も1人でそつなくこなせるようになってきた反面、自分が成長しているという実感も得にくくなっています。最近では、社会人として停滞しているような気さえして、尚更不安です。
達成感を感じられないまま仕事をするよりは転職した方がいいのでしょうか。それとも、現職に大きな不満がない場合は留まった方がいいのか悩んでいます。アドバイスがあれば教えてください。
仕事に達成感を感じられない原因とは
▶アドバイザー
Kさんは大学卒業後に新卒として入社したとのことですから、営業職のキャリアは8~9年ですね。
年次とともに業務内容も変化しているかと思いますが、仕事への慣れも出て、自分なりの営業スタイルが確立しているのではないでしょうか。
達成感を感じにくいのは、そんな背景もあるかもしれません。
▶相談者
そうですね。営業目標も安定して連続達成できるようになっていますし、お客様との関係性づくりにおいても、うまくいくやり方がだんだんと分かってきました。
仕事で苦労しなくなった反面、このまま同じことを繰り返しても成長がないなぁと思うんです。
それとも、達成感が感じられないのは成長の証で、良いことなんでしょうか?
▶アドバイザー
そういったポジティブな一面もあるかもしれませんが、達成感が得られない原因には、次のようなものも考えられます。
- 人や社会の役に立っているといった仕事の意義を見いだせない
- 正当に評価されていない、評価基準に納得できない
- 仕事内容に慣れて飽きてしまった、変化や成長を感じられない
- 今の仕事が将来のキャリアにつながらない
- 仕事そのものに興味関心が持てない
▶相談者
なるほど。
▶アドバイザー
Kさんは、営業職自体には「お客様の役に立てる」「人から感謝される」ことにやりがいを感じていたのですよね。
仕事そのものへの興味関心がない、ということではなく、「仕事に慣れてルーティン化してしまって飽きてしまった」ことが大きそうです。
▶相談者
確かに、営業職が嫌とか意義を感じられないということではないですね。
▶アドバイザー
営業目標の達成や大きな仕事を任されることに喜びを感じていたところから、そこでも成長実感を得られなくなったということですよね。
もしかしたら、仕事を正当に評価されておらず、成長に見合った仕事内容が任されていないことで、飽きを感じているのかもしれません。
内発的動機づけによる、仕事で達成感を得るための対処法
▶相談者
以前のような達成感を得られるようになるには、どんな行動をとるといいのでしょうか。
考え方や捉え方のアドバイスもぜひ聞きたいです。
▶アドバイザー
考える糸口の一つに、「モチベーション理論」があります。
心理学者のエドワード・デシは、人を心理的に動かす報酬として、「外発的動機づけ」のほかに「内発的動機づけ」が重要だと提唱しました。
外発的動機づけは、評価や給与、ポジションなどを指し、内発的動機づけは自律性、有能感、関係性などによるものです。
モチベーションを継続して保つには、内発的動機づけが大事だとされています。
Kさんもこの観点で考えてみてはいかがでしょうか。
▶相談者
というと、具体的にはどう考えていけば良いのでしょうか?
▶アドバイザー
例えば、「お客様の役に立つ」「目標を達成して社内で評価される」「チームの営業成績に貢献して上司やチームから感謝される」ことで得てきた達成感は、外発的に動機づけられたものとも考えられます。
時間とともに、外部からの感謝や評価などの刺激に慣れてしまい、達成感を得にくくなっているのかしれません。
外発的動機づけによる努力行動で成果を出してきたことは、素晴らしいことです。
一方で、仕事に慣れてきた今は、「内面から湧き上がる興味関心や意欲に基づいて仕事に取り組む」ことにフォーカスするのもいいと思います。
▶相談者
自分にとって何が内発的動機づけになるか整理していかなくてはいけないんですね。
▶アドバイザー
そうです。そこで、自律性、有能感、関係性という3要因で考えていきましょう。
まず自律性についてですが、「大きな仕事もそつなくこなせる」と感じているということは、自律的に仕事を選択している感覚が持てていない可能性があります。
そこで、Kさんがこれからどんな仕事に挑戦したいのかを明確にして、その道を探っていけるといいでしょう。
「自分の価値観や興味のある案件・顧客を担当したい」「目指すキャリアにつながる未経験の領域を経験したい」「特定の事柄を深めたい」「新しいスキルを得たい」など、さまざまな観点で考えてみることをおすすめします。
▶相談者
なるほど。
▶アドバイザー
次に有能感についてです。
「成長実感を持てない」のは、実際は経験・スキルを増して成長をしていたとしても、上司や同僚などから適切なフィードバックを得られていなかったり、自分を客観視する機会がなかったり、自分がやりたい仕事に取り組めていなかったりするからではないでしょうか。
もしもそうだとしたら、どんなに仕事をこなせても有能感を得ることは難しいでしょう。
▶相談者
確かにそうかもしれません。
▶アドバイザー
最後に、関係性です。
もしかすると営業個人として成長はしていても、チームでプロジェクトなどに取り組み目標を達成する、同僚たちと助け合い・切磋琢磨するなど、関係性を感じられる場面が少ないのかもしれません。
▶相談者
確かに、思いあたるところがいくつかありました。
▶アドバイザー
自律性、有能感、関係性に関連する現状を変えることで、内発的なモチベーションを高めることができるかもしれません。
全てを急に変えていくことは難しいかもしれませんが、まずは現状に対して何が満たされていないのかを把握するだけでも違ってくると思いますよ。
達成感のある仕事を求めて転職するときの注意点
▶相談者
ちなみに、達成感のある仕事を求めて転職する時の注意点はありますか?
▶アドバイザー
転職活動では、「達成感が得られないから」という動機だけで動くと、選考で評価されづらく、転職理由や志望動機としては不十分と判断されかねません。
そもそもどういった仕事や状況に達成感を感じるか、どういったキャリアを歩みたいか、を考える必要はあるでしょう。
そういったことを考えずに、達成感だけを求めて転職をしてしまうと、もしかしたら、今よりもやりたくない仕事を担当することになったり、周囲に馴染めないことで達成感が得られなかったりする事態も考えられます。
▶相談者
確かに、転職したから達成感が得られるようになる、とは限りませんよね。
転職をすることでどんな仕事をしたいかを考えてからでなければ、志望動機も曖昧なものになってしまいそうですし、面接担当者に熱意を低くみられてしまうかもしれないと言うのも納得です。
では、転職せずに現職で現状を打破するためには、何に気をつければ良いですか?
▶アドバイザー
現職でもう一度達成感を得るためにできることとしては、
- 興味関心のある仕事を上司に打診する
- 目標設定を適正化してもらう
- 上司や同僚からフィードバックを得られるよう働きかける
- チームでの仕事に挑戦したりする
などが考えられます。
これらのアクションによって、内発的に動機づけられ、同じ会社での仕事でも達成感を得られるようになる可能性は大いにあると思いますよ。
▶相談者
なるほど。達成感が得られにくい現状について、だんだんと理解が深まってきました。
どんな仕事内容や働き方ならモチベーションを長く継続できるのか、改めて内発的動機づけに向き合って考えていきたいと思います。
現職でできることはないのかを考えてからでも転職活動に取り組むのは遅くはないと気がつけました。本日はありがとうございました!
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