企業のリアルを知る5つの方法|企業研究・情報収集のコツ

企業の良い面だけではなく、悪い面も知りたい。そう考える人のために、企業のリアルを知るための方法を5つ紹介します。
企業研究・情報収集を深め、リアルな情報を知ることで得られる4つのメリット、知らないことで陥る6つのミスマッチも含めて、組織人事コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
良いことも悪いことも、リアルに伝えようとする企業は増えている
企業がリアルな情報を発信する理由
入社後のミスマッチを減らして、定着率を上げることを目的として、リアリスティックジョブプレビュー(R J P)に取り組み、その仕事や職場のリアルな部分を、入社前に伝えようとする企業は増えています。
この取り組みのポイントは、企業のポジティブ部分だけではなく、ネガティブな部分も含めた、ありのままのリアルな姿を求職者に開示し、納得して応募した人だけを選考するという点。
自社にマッチした人材を効率的に採用でき、定着性や入社後の活躍の面でも期待できるだけではなく、コスト面にも効果がある可能性があると言われているため、「リアル」を発信する企業は増えてきているのです。
企業のリアルな情報を知る5つの方法
自分に合った企業を探して、納得できる転職するためには、企業研究・情報収集で、「企業のリアル」を知ることが大切です。
では、具体的にはどうやって企業のリアルな情報を調べれば良いのでしょうか。
ここでは、以下の5つの方法を紹介します。
1. 書籍やインターネットを活用して調べる 2. カジュアル面談・オフィス訪問を設定する 3. リファラル採用に応募する 4. 採用担当者に逆質問する 5. 上司や同僚となる予定の人と面談を希望する |
1. 書籍やインターネットを活用して調べる
転職活動の情報収集では、企業サイトを基本として、業界研究本、会社四季報、プレスリリース、採用担当者が書くブログやSNSアカウントなどチェックしていくのが一般的です。
近年は、採用ピッチ資料といって、自社情報をありのままに伝える資料を自社サイトなどに掲載している企業も増えています。
資料上に会社組織や働き方、給与や評価の仕組みなどについて触れられていることもあるので、探してみると良いでしょう。
2. カジュアル面談・オフィス訪問を設定する
スカウトサービスやビジネス型SNS を活用してカジュアル面談やオフィス訪問を設定するのも良いでしょう。
そこで働く人と直接話ができれば、実際の会社の雰囲気をより掴めます。
面談設定までは多少の手間がかかるかもしれませんが、転職活動の初期段階で一次情報(自分が直接体験や調査など行動をして得たオリジナルな情報)を得るメリットは大きく、長い目でみた時には効率的とも言えるでしょう。
3. リファラル採用に応募する
リファラル採用に応募してみるのも、一つの手です。
仕事の内容・働き方・職場環境・人事制度について、紹介者を通して確認することで、リアルな実態を理解することができるでしょう。
リモートワークの導入具合や人事評価の基準・方法などを企業側へ質問する場合も、自社の社員の知人・友人ですから、社員の信頼を損なわないためにも誠実に対応してくれる可能性が高いのではないでしょうか。
紹介者側も、自分の知人・友人との関係性を大切に考え、率直に職場の実態を伝えてくれることが期待できます。
4. 採用担当者に逆質問する
気になること、知りたいことが明確にある場合には、面接などで逆質問をしてみましょう。
「こんなことは質問しちゃダメかも」と気後れするかも知れませんが、面接は相互理解の場なので、基本的には聞いてはいけない質問というものはありません。
例えば、直近の離職率やその理由、実際のキャリアパスなど、調べてもわからないけれど、転職先を決める上で知りたいことがあれば、率直に聞いてみると良いでしょう。
どこまでの情報を開示するかは採用担当者次第なので、相手の心情にも配慮をすることを忘れずに。
なぜ知りたいのかも伝えた上で、真摯に謙虚な気持ちをもって質問しましょう。
5. 上司や同僚となる予定の人と面談を希望する
実際に働いている人と面談をするチャンスは、カジュアル面談だけではありません。
例えば、選考中や内定承諾前にも、上司となる予定の人や同僚との面談を希望してみると良いでしょう。
内定承諾前であれば、「自分のどんなところを評価して内定を出してくれたのか」などを確認するのも有効です。
自分が考えている強みや入社後に活かしたい能力などが、組織が期待していることと乖離していないかが確認できます。
また、この時のフィードバック内容が、明確で的確かどうかで、会社として人材育成や人材マネジメントにどれだけ力を入れているのかを推察することもできるかもしれません。
企業のリアルを知る4つのメリットと、知らないことで起きる6つのミスマッチ
ここでは、転職前に企業のリアルを知ることには、どんな効果があるのかをみていきましょう。
リアルを知ることで得られる4つのメリットと、知らないことで起きる6つのミスマッチについて解説します。
企業のリアルを知る4つのメリット
求職者は、入社前にリアルな情報を得ることで、入社後に会社へ愛着を持って意欲的に働き、仕事で活躍する可能性を高められると言われています。
前述のR J P理論によると、具体的には以下の4つのメリットがあると言われています。
1. セルフ・スクリーニング効果
事前にリアルな情報を開示されることで、求職者自身がその企業にマッチしているかを判断できる。
企業に選ばれたのではなく、自分が企業を選んだという意識が強くなり、入社後には「選んだ会社だから頑張ろう」という意欲や定着にもつながる。
2. ワクチン効果
ポジティブな情報だけでなく、ネガティブな情報を事前に知ることで、入社後の仕事内容や働き方などに過剰な期待を持つことが緩和できる。
転職後は、誰しも大なり小なりに期待と現実の差を感じるものですが、それらのギャップをやわらげる効果がある。
3. コミットメント効果
ありのままのリアルな情報を知ることで、自分に対して誠実に向き合ってくれる企業に愛着を持てる可能性が高まる。
入社後には、この会社で頑張りたいという意欲が高まる傾向もある。
4. 役割明確化効果
入社後に、どんな役割を果たして欲しいのかなど、企業のリアルな声を事前に知ることで、その期待に応えたいという意欲が醸成される。
その結果、入社後に活躍しやすいとも考えられている。
企業のリアルを知らないことで起きる6つのミスマッチ
一方で、企業のリアルを知らないまま入社してしまうと、以下のような6つのミスマッチが起きてしまう可能性があるでしょう。
いずれの場合も、ミスマッチが起きると、仕事を進めづらくなり、思ったようなパフォーマンスを発揮できない可能性があります。
1. 人間関係のミスマッチ
上司や同僚との間に壁があり、気軽に話せない、孤独を感じる状態。精神的にだけではなく、物理的に孤立してしまうケースもある。
2. 社風とのミスマッチ
トップダウンで物事が決まっていく、個人主義が強い、年功序列、家族主義など、企業が持つ価値観や雰囲気などに対して、合わないと感じる状態。
3. 仕事の進め方のミスマッチ
何事にも上司の指示を待たないといけない、協働姿勢がなく蓄積されたノウハウがないなど、自分の得意ではない仕事の進め方をせざるを得ず、ストレスを感じている状態。
4. 採用条件によるミスマッチ
年収や手当、残業時間、リモートワークの可否などが、当初想定していた内容と違い、不満を抱いている状態。
5. スキルや仕事内容のミスマッチ
企業の求める水準が高すぎる、または簡単すぎて物足りない。希望していた仕事ではない、または一部業務しか担当できず裁量がない、発展性がないなどにより、充足感を得られない状態。
6. 経営理念とのミスマッチ
掲げている理念が、実際の事業や業務にまで紐づいていないなどにより、仕事にコミットできないと感じる状態。
(まとめ)企業のリアルを知るための企業研究や情報収集は、転職活動に欠かせない
これまでに転職したことがある人の中には、「思っていた仕事内容ではなかった」「もっと自分のアイデアを活かせる仕事だと思っていた」「職場の雰囲気に馴染めない」などの経験したこともあるでしょう。
大なり小なり、転職にギャップはつきものです。ただし、そのギャップを最小限にすることができるのが、企業研究や情報収集です。
ポジティブな面だけではなく、ネガティブな面も含めて、企業のリアルを事前に知っておくと、入社後のギャップを小さくすることができるでしょう。
それは、入社後に組織に馴染んで、素早く活躍するためにも役立つはずです。
転職活動では、書類作成や面接準備などに意識がいきがちですが、企業研究や情報収集にも力を入れてみると良いでしょう。
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