履歴書「職歴欄」の正しい書き方を見本つきで解説
転職するときは、応募書類として履歴書と職務経歴書の提出を求められるのが一般的です。ここでは履歴書の職歴欄について、書き方をご紹介します。
中途採用の場合、職歴は職務経歴書で詳しく記載するため、履歴書の職歴欄は簡潔に。これまでの入退社の履歴が分かるように記載しましょう。
目次
履歴書「職歴欄」の見本とポイント
多くのフォーマットでは学歴と職歴が一緒の欄になっており、学歴 → 職歴の順に書きます。
※本記事では職歴欄の書き方について解説していきますので、学歴については『履歴書「学歴欄」の書き方│見本を基にポイント解説』の記事をご参照ください。
職歴を記載する際は、学歴の項目から1行空けます。
次に、中央に「職歴」と記入し、年月とともに続けて記入していきましょう。
履歴書「職歴欄」の具体的な書き方
ここからは、職歴欄の具体的な書き方について見ていきましょう。
入退社の年号は履歴書全体で統一し、時系列で記入【年度計算ツール(早見表)あり】
履歴書の学歴・職歴欄は、時系列に沿った「編年体式」で書きます。
履歴書と一緒に提出する職務経歴書では、現在から過去へと時系列をさかのぼる「逆編年体式」や、特定の切り口に沿って職歴を記す「キャリア式」を用いるケースもありますが、履歴書は時系列に沿った「編年体式」で記載しましょう。
学歴欄を書く際には、入学・卒業の年度の自動計算ツールが便利です。あわせてご活用ください。
会社名や部署名は略せず正式名称で記入
会社名や部署名は長くても省略せずに正式名称で記入するようにしましょう。
株式会社を(株)などと略せず、「株式会社」と書きます。
会社名が変わった場合は、在籍当時の名称の後にカッコ書きで現在の名称を記入するようにします。
例:株式会社◯◯(現 株式会社△△) |
異動によって部署名が変わった場合も明記するのが望ましいですが、職務経歴書で補完することができるため、職歴欄に書ききれない場合は簡潔にまとめましょう。
職歴が多い場合でも、在籍していた会社はすべて記入
転職回数が多くても履歴書の職歴欄にはすべて記入します。
職歴を省略してしまうと、入社後に判明した場合に信頼関係が損なわれてしまいます。最悪の場合、経歴詐称で解雇に至るケースも起こり得ます。
「職歴欄に書ききれない」という場合は、学歴欄の義務教育期間を省き簡潔にまとめ、職歴欄が多い履歴書を使用するなどして工夫しましょう。
在籍していた会社は短期間でもすべて記入
短期間で退職に至った会社や、試用期間中に辞めた会社についても省略せずに記載しましょう。
「短い期間しか働いていないのでわざわざ書かなくてもいいのでは」と考える人もいますが、就労期間が短い場合や試用期間中に退職した場合でも職歴に該当します。
応募職種に関連する・生かせる職歴は、仕事内容も記入
職歴欄に余裕があり、応募職種に生かせる職歴がある場合は、会社名・部署名とともに「〇〇業務を担当」「△△に従事」など仕事内容も簡潔に記載しておくことで、アピールにつながります。
対象顧客、責任範囲、扱った製品とともに、営業成績や表彰などの実績を明記しておきましょう。
昇進した場合も、記載しておくとアピールになります。
20XX(年) | X(月) | □□□□株式会社(現・株式会社△△△)入社 |
インターネット事業部 開発チーム | ||
20XX | X | 一身上の都合により退職 |
20XX | X | 株式会社◇◇◇◇ 入社 |
販売促進本部 関東エリア(現・首都圏販売開発部)担当 PC及び、PC関連機器の量販店向けの営業を行う 主任として、メンバー5名の指導・育成に携わる | ||
現在に至る | ||
以上 |
退職の理由を明記したい場合は補足する
退職の理由は、基本的には「一身上の都合により退職」か「会社都合により退職」のどちらかでいいでしょう。
どうしても理由を補足したいと考えた場合は、補足して記載する形にします。
一身上の都合により退職(海外大学へ進学するため) |
会社都合により退職(会社倒産のため) |
在職中の場合は「現在に至る」「退職予定」とする
在職中のまま転職活動をしている場合は、すべての職歴を記載した後に「現在に至る」、退職日が決まっている場合は「令和○年○月末退職予定」と記入します。
最後の職歴の「以上」を記入
すべての職歴を記載したら、最後の行には右寄せで “以上”と記載しましょう。
【アルバイト・パート・派遣・ブランクあり・異動・昇進など】こんな時は職歴にどう書けばいい?
アルバイトやパートなどの雇用形態や、育児や介護なででブランクのある方など、さまざまなケースの書き方も見ていきましょう。
学校卒業後にアルバイトやパートタイムの経験がある場合
アルバイトやパートタイムの経験は、中途採用の場合は原則として記載しませんが、職歴が少なくアピールしたい場合は記載します。
※パートタイムの場合は下記の(アルバイト)を(パートタイム)に変更
20XX(年) | X(月) | 〇〇株式会社 〇〇店 入社(アルバイト) |
20XX | X | 〇〇株式会社 〇〇店 契約期間満了により退職 |
アルバイト・パート経験しかない場合は、空白期間でないことを伝えるためにも職歴欄に記載し、担当した仕事の詳細を記載することをおすすめします。
職歴を空欄のままにすると、「就労経験がない」と思われる可能性があります。
20XX(年) | X(月) | 〇〇株式会社 〇〇店 入社(アルバイト) |
ホールスタッフとして従事 | ||
20XX | X | 〇〇株式会社 〇〇店 退職 |
20XX | X | △△株式会社 ××店 入社(アルバイト) |
販売スタッフとして従事 | ||
20XX | X | △△株式会社 ××店 退職 |
アルバイト先で社会保険に加入していた場合は、入社後の雇用保険の手続きにあたりアルバイト先が明らかになるため、誤解を防ぐためにも職歴欄には記載しておくといいでしょう。
履歴書と合わせて提出する職務経歴書には、「なぜ正社員として転職せず、アルバイトをしていたのか」という理由も添えます。
「資格取得の勉強をしていた」「新卒の就職活動で希望する仕事に就けなかったため、アルバイトをしながら就職活動をした」など、採用担当者が納得できるような理由を書くことがポイントです。
派遣社員の経験がある場合
派遣社員として働いていた場合は、履歴書には派遣会社を記入し、派遣先での詳細な仕事内容は職務経歴書に書くようにします。
20xx(年) | X(月) | 〇〇株式会社(派遣元)よりXX株式会社(派遣先)に事務スタッフとして派遣 |
20xx | X | 派遣期間満了につき退職 |
ただし派遣先が少なく、業務経験をアピールしたい場合や、募集職種と関連性のある業務経験がある場合は、「〇〇会社で△△業務を担当」というように、履歴書でも記載するのがおすすめです。
20xx(年) | X(月) | 〇〇株式会社(派遣元)よりXX株式会社(派遣先)に派遣 |
所属部署:経理部 | ||
職務内容:経理アシスタントとして請求・入金業務に従事 | ||
20xx | X | 派遣期間満了につき退職 |
自営業や個人事業主、家業手伝いから転職する場合
起業して自ら会社を経営していた場合は、起業した会社名を記載した上で、「設立」と書きます。会社をたたんだ場合は「解散」と書きます。
個人事業主(フリーランス含む)として起業した場合は、屋号を使っていた場合は屋号を記載した上で「開業」と書きます。
やめた場合は「廃業」と記載します。会社に勤務していた場合と同様に、事業内容も添えましょう。
ブランクがある場合(育休・加療)
職歴に長い空白期間(ブランク)がある場合、面接の際に理由を問われる可能性があります。
履歴書の職歴欄では、介護、病気療養によるブランクについては下記のように記載しておきましょう。
20xx(年) | X(月) | 株式会社○○○○ 入社 |
20xx | X | 病気療養のため退職 |
現在は回復し、業務に支障はありません |
育児休業の場合は、必ずしも職歴欄に記載する必要はありません。下記のケースに該当するようであれば、記載することを検討しましょう。
・現在も育休中の場合 ・企業から応募書類への記載を求められた場合 ・希望条件のひとつとして、育児をしながらでも勤務が続けられる環境を強く希望している場合(企業とのミスマッチを早期に防ぐため) |
20xx(年) | X(月) | 株式会社○○○○ 入社 |
20xx | X | 第一子出産、育児休業取得中 |
現在に至る |
どのようなケースでも、ブランク中に学んだことや、復帰に向けて準備していたことがある場合は自己PR欄でアピールすることをおすすめします。
異動や転属、昇進の経験がある場合
同じ会社で違う部署に移動した場合は、部署名と異動年月を記載します。
20XX(年) | X(月) | ○○株式会社 入社 |
東京本部 第一営業部に配属 | ||
20XX | X | 静岡支社に異動 掛川エリアを担当 |
出向・転籍の経験がある場合
グループ会社などに出向した場合は、出向先の社名を記載した上で「出向」と書きます。
元の会社に戻った場合は、元の会社の社名を記載した上で「帰任」、転籍した場合は、転籍先の会社名を記載の上、「転籍」と記載します。
20XX(年) | X(月) | ●●株式会社入社 営業部に配属、主に都内の新規開拓を担当 |
20XX | X | ▲▲株式会社に出向 営業企画部に配属 |
20XX | X | ●●株式会社に帰任 事業企画部に配属 |
履歴書の職歴欄を書くときの注意点
職歴が省略されていたり、職歴に誤りがあったりすることがないよう、正しい内容を省くことなく記入するようにしましょう。
人事担当者からの声で聞かれるものには「職歴欄に参画していないプロジェクト実績があった」などの職歴の誇張や、「在籍期間の短い会社が不記載だった」などの省略があります。
職歴の誇張は、面接で詳細に聞かれるなかで発覚することが多いですし、経歴は採用後に雇用保険などを調べる中でわかるものです。
入社後の信頼関係に大きく影響するほか、内容によっては内定取り消しや解雇につながるケースもあります。
「転職回数が多くてマイナス印象につながるのでは?」と不安を感じている方は、転職の背景・理由を一文加えましょう。「配偶者の転勤に伴い退職」「海外での活動を広げたく、転職を決意」といった形で入れるといいでしょう。
退職・転職した理由を詳しく伝えたい場合は、履歴書と合わせて提出する職務経歴書に書きましょう。
履歴書テンプレート(フォーマット)のダウンロード
履歴書は、テンプレートをダウンロードして作成すると効率的です(詳しい書き方は履歴書の書き方をご参照ください)。
以下は厚生労働省が発表した履歴書テンプレートです。履歴書の形式に迷ったらこちらをお使いください。
▼ダウンロードはこちら
※厚生労働省様式について ・厚生労働省「新たな履歴書の様式例の作成について」を元に作成しています。 ・性別欄が任意記載欄になっているので、未記載とすることも可能です。 ・「通勤時間」「扶養家族数」「配偶者」「配偶者の扶養義務」については項目がないので記入する必要がありません。 |
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レジュメ完成イメージ
ご利用方法
リクナビNEXTにご登録後、プロフィールや職務経歴、自己PRなどを入力し、レジュメ登録を完了させてください。完了すると、レジュメダウンロード画面からダウンロードできるようになります。
職歴が多くて履歴書に書ききれない場合の対処法
ここでは「職歴が多くて書ききれない」という方に向けて、限られた範囲でまとめるポイントをいくつかご紹介します。
対処法①:学歴の一部を省略する
小学校・中学校など義務教育の学歴は省略する方法があります。高等学校卒業以上の学歴を持っている場合は、高等学校入学から最終学歴の卒業歴までを記入することをおすすめします。
対処法②:1社の職歴は1行に収める
「○○株式会社 入社(2016年10月 退職」という形で、1社の入社・退職を1行にまとめて書いても問題ありません。
対処法③:配属先と業務内容を省略する
履歴書の職歴欄では、配属先と業務内容の記載は必須ではありません。応募企業にアピールしたい内容でなければ、省略してもいいでしょう。
対処法④:詳細な職歴は職務経歴書に記載する
履歴書の職歴欄に収まり切らない場合は、職務経歴書に職歴の詳細を記載する前提で、履歴書には「〇〇年〇月~○○年〇年〇月まで〇社を経験。詳細は職務経歴書に記載しております」など、期間と経験社数のみを書き添えると良いでしょう。
それ以外にも、「現在に至る」「以上」を同じ行に書いたり、学歴・職歴欄を広くとっている履歴書を使ったりと工夫してもいいでしょう。
ただ、社名が長すぎて一行以内に収まらない場合でも、株式会社を(株)などと省略しないこと。必ず正式な名称で書き、スペースが足りないときは、株式会社を小さめに書いて改行する方法もあります。
項目別の詳細解説(リンク)
- 書類テンプレート履歴書・職務経歴書のテンプレートまとめです。
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- 学歴欄学歴欄の基本的な書き方、ケース別のアドバイスなどを解説。
- 職歴欄履歴書の職歴欄は簡潔に。書き方とポイントを解説。
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