キャリアに行き詰まりを感じています。転職するべきでしょうか?【転職相談室】
「キャリアが停滞している」「キャリアプランの行く末が見えない」など、自分の将来に漠然と不安を抱いている若手社会人は少なくありません。この状況を打開するための転職は、正しい選択といえるのでしょうか。
組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏に話を聞きました。
目次
同じ会社に勤めて7年、思うようにキャリアアップできず、行き詰まりを感じています。転職するべきでしょうか?(Aさん/29歳/金融・営業)

新卒で入社して7年になります。その間、それなりに営業成績を上げて5年目には支店の係長に昇進しました。ですが、次のステップである課長職は30代後半から40代という社の現状を見ると、この先のキャリアが停滞しそうで心配です。キャリアアップに行き詰まりを感じているなら、転職したほうがいいのでしょうか?
転職を検討する前にキャリアプランの再設定を
アドバイザー
現状の確認ですが、Aさんの支店では課長は30代後半から40代で、ご自分の昇進は当分見込めそうにないと考えているのですね。
相談者
はい、そうです。
アドバイザー
それは、一般的には40歳代以降のミドル層に多く見られる現象とされる「キャリア・プラトー」(※昇進のチャンスが見込めないために行き詰まりや停滞を感じ、やがて仕事そのものに対するモチベーションを失うこと)のようですね。
ただ、Aさんはこれから30代、という状況で現時点での昇進も順調のように思えます。組織で上にいけないこと以外にも、行き詰まりを感じる原因があるのかもしれません。心当たりはありますか?
相談者
そうですね…上が詰まっていてキャリアアップできないのでは、という焦りもありますが、正直、上司の働き方にあまり魅力を感じていません。
この会社でこのまま頑張っていつか支店長になったとしても、上からの指示に従って業務を遂行し、部下をマネジメントするだけなんです。それでやりがいを感じられるのか、この仕事を続けていて成長実感が持てるのかという疑問もあります。
アドバイザー
お話を聞くと、Aさんは成長志向が強いようですね。もちろん悪いことではありません。
相談者
言われてみれば、そうかもしれません。
アドバイザー
では、ご自分の成長ベクトルがどの方向に向いているのか考えてみましょう。本当は、現在の営業職で昇進して管理職となるよりも、もっとほかにやりたいことがあるのではないですか?
相談者
いまの組織は保守的で、上から言われたことを忠実にこなしていくことを良しとする体質なんです。金融機関なので仕方ないとは思いますが、私は新しいことに挑戦したり、新規事業を考えたりすることで成長していきたいと考えています。
おっしゃる通り、マネジメントする立場というより、現場で自ら新しいことに携わっていきたいということですね。
アドバイザー
なるほど。会社がAさんに求める管理職候補という姿と、ご自身が求めるキャリアの方向性にズレが生じているようです。それが、行き詰まりを感じる大きな要因になっているのかもしれません。
いまの環境でキャリアアップは可能かを探ってみる
アドバイザー
だとしたら、まずは社内にAさんが理想としているキャリアを実現できそうな部署があるかどうか、確かめてはいかがでしょう。
金融なら、金融サービスと情報技術を組み合わせたFinTech(フィンテック)、ブロックチェーン技術を活用した仮想通貨取引や電子マネーサービスなど、最先端の技術を取り入れた革新的な事業を手掛けている部門がありませんか?
相談者
あります。実は、以前からそういう仕事に関心を持っていたのですが、現状打破イコール転職というイメージでいました。
アドバイザー
Aさんのように新卒からしばらく同じ企業に在籍する人の場合、環境の変化を求めるあまり目がどうしても外に向いてしまうこともあるでしょう。ですが、せっかく身近に成長が期待できる環境があるなら、この先のキャリアをそこに求めることで、現状の行き詰まり感を脱する打開策になるかもしれません。
まずは新しい事業に携わっている部署に異動希望を出してみる。そして、グループ会社にも最新の技術と事業提携している会社がある可能性があるので、そこに目を向けて新しいことに挑戦できるチャンスがあるかどうか探ってみてください。
相談者
盲点でした。早速リサーチしてみます。
アドバイザー
今すぐに転職を考えるよりも、まずは現在の会社で自分が目指す方向性と合致する部署やグループ会社に異動する、あるいは新しいプロジェクトに参加したり、新規事業への足掛かりとなるようなデジタル人材教育の研修に参加するなどして、違うキャリアの方向性を模索していく。
そのような活動をすること自体も、自己成長につながるはずです。
相談者
わかりました。まずは社内での可能性を探る、そこから始めます。
キャリア志向に合致した転職を選ぶなら、ある程度の覚悟が必要
相談者
ただ、社内でいろいろとトライしても思うようにいかない可能性もあります。そのときは転職することになると思うのですが、何か気をつけるべきことはありますか?
アドバイザー
Aさんの場合、金融での経験を活かして転職し、「金融×コンサル」「金融×インターネット」など、新しい分野や新規事業づくりにチャレンジできる可能性は大きいと思います。ただ、デメリットがないわけではありません。
相談者
どのようなデメリットでしょうか?
アドバイザー
1つは年収です。金融はほかの業界と比べ、賃金水準が高い傾向にあるので、転職によって必ずしも年収がアップするとは限りません。また、転職先のネームバリューも今ほど望めない可能性があることは承知しておいてください。
相談者
わかりました。
アドバイザー
また、現在の組織では事業も組織も整備され、業務が細分化されていると思いますが、転職先では業務領域が広くなるなど、カルチャーギャップを感じることもあるかもしれません。
相談者
そうですよね。その辺りの事情も、今からしっかりリサーチしておきます。ところで、転職時の面接では、転職理由を正直に伝えても差し支えありませんか?
アドバイザー
「新しいことに挑戦したいという自分の目標と、現状の仕事を速やかに進めることが優先される職場の環境にズレが生じているため」ということを、社に対する批判ではない形で説明できれば、問題ないでしょう。
相談者
いろいろとアドバイスをいただき、現状の打開策が見えてきました。ありがとうございました。
アドバイザー
将来像について思い巡らすうちに行き詰まりを感じて焦ってしまう、という状況は理解できます。
ですが、そんなときこそキャリアプランを再設計するチャンス。ここまでお伝えしてきたように、まずは社内での活動にトライし、それで叶わなければ社外、転職という選択肢もあります。
ご自身のキャリアをいましっかり見つめ直し、方向性を決めていけば大丈夫ですよ。
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