求人が多すぎて決められません。自分に合いそうな求人を見つける方法を教えてください【転職相談室】
転職活動を始めたものの、転職サイトには希望している職種の求人があまりにも多く、どうやって応募先を絞ればいいのかわからない…。
初めての転職でこんな悩みを抱える20代男性の相談に、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏がアドバイスします。
目次
求人情報を見ているのですが、希望する業界・職種の求人があまりにも多く、絞りきれない状況です。何を基準に探せばいいでしょうか?(Kさん/26歳/男性/営業)

新卒で中堅食品メーカーに入社し、営業を担当しています。今の仕事は、自分の時間があまりにも持てないので、大手企業に転職したいと考えています。これまでと同じ営業職を希望していて、業界にはこだわっていません。ですが、これだけたくさんの求人案件の中から、自分に合いそうな応募先をどのように絞っていけばいいのかわかりません。
まずは転職理由や条件について考える
アドバイザー
自分の時間を持てないことが不満のようですが、かなり忙しいのですか?
相談者
はい。残業も多いですし、巣ごもり需要の高まりもあって、販促活動で週末に取引先店舗に出向くこともあります。
アドバイザー
そうなると、まず「残業がない/少ない」ことが転職先を探す上での条件ですね。「大手企業に転職したい」とのことですが、大手にこだわる理由はなんでしょう?
相談者
大手のほうが残業をさせない、などの規則がしっかりしていると思いまして。そうであればワークライフバランスがとれて働きやすいというイメージです。
アドバイザー
それも考え方のひとつですが、いまの段階で大手に限定するのは、「自分に合った」企業を探すという点でもったいないと思います。残業ルールなどを設け健全な職場環境の整備に力を入れる中小企業も少なくありません。また、業界にはこだわりがないとのことですが、まずは営業としてどういった商材を扱いたいかで考えてみましょう。
相談者
そうですね…。現職で扱っているのは自社商品だけですし、食品は価格や品質に縛られるので、そこには限界を感じています。できれば、次はもっと提案の幅が広がるような商材を扱ってみたいです。
アドバイザー
それなら、食品のような有形商材ではなく、無形商材に目を向けてみてはどうですか?
相談者
無形商材ですか?具体的にはどんな業界がありますか?
アドバイザー
業界でいうと、例えば、IT、インターネット、広告、人材、教育、金融、コンサル業界などです。そこでは情報やサービス、金融商品、人材などの無形商材を扱うので、提案の幅は今よりかなり広がると思います。
相談者
なるほど、商材という観点から営業職を考えてみると、業界を絞っていけそうですね。
アドバイザー
そのほかの条件についても明らかにしていきましょう。年収や勤務地についての希望はありますか?
相談者
現職が年収約500万円なので、それよりはアップさせたいです。勤務地は今まで通り東京がいいですね。それから「転勤はなし」が希望です。
アドバイザー
いまの社会情勢を考えると、テレワークやフレックスタイムという働き方も条件の1つになりそうですが、どうですか?
相談者
はい。テレワークやフレックスタイム制度もあったらいいです。
優先順位・転職の軸を設定する
アドバイザー
こうして一つひとつ確認していくと、転職の条件が明確になってきたのではないですか?
相談者
確かにそうです。
アドバイザー
次は、自分なりの条件をきちんと整理して、優先順位を決めていきましょう。「あったらいいな」という条件まで入れてしまうと絞り切れませんし、すべてを叶えることも難しいです。そこで、絶対に譲れない条件を3つ程度に絞って、優先順位をつけてみてください。
相談者
わかりました。それらを希望条件として、求人案件を絞り込んでいけばいいんですね。
アドバイザー
ただし、もう1つ注意してほしいことがあります。年収や休日といった労働条件で絞り込んでいくのは簡単なのですが、最終的には自分の価値観に合致する企業を選ぶことが重要です。そのためにも、自分の“転職の軸”を見失わないようにしてください。
相談者
転職の軸とは何ですか?
アドバイザー
転職で一番大事にしたいこと、転職して実現したいことです。例えば、社会・顧客に貢献している実感を持てる仕事が大事と考えている人がいるとします。仮に年収や休日などの労働条件が希望通りであっても、自社の利益重視度合いが強い企業で働くことは、価値観のずれがあり仕事が長続きしない可能性があります。
相談者
なるほど。例えのお話でしたが、私も社会に貢献できているという実感は大切にしたいです。これまでの商材は家庭の食卓に直結している食品なので貢献感がありましたが、無形商材の営業でどのような貢献ができるのか、まずはじっくり考えてみます。
アドバイザー
これも一例ですが、人材業界なら誰かの人生の転機を支援することが貢献になるでしょうし、コンサル業界なら企業の舵取りや事業改革に関わることが貢献になるでしょう。社会貢献の形はいろいろなので、自分にとっての貢献感についてしっかり考えてみてください。
相談者
わかりました。
アドバイザー
それから、ある程度応募先を絞ってからになりますが、志望動機がきちんと書けるかどうかも意識してみてください。労働条件だけで選ぶと、価値観のマッチングを確かめるための志望動機がなかなか魅力的なものになりません。応募先企業の情報収集をしながら、最適な志望動機を考えることも、応募先をさらに絞る際の1つの指標になりますよ。
相談者
はい。志望動機も意識しながら検討します。
2段階作業で応募先を絞っていく
アドバイザー
応募先を絞っていく際には、数多くの求人案件の中から一度に絞るのではなく、2段階に分けて絞っていくのもひとつの方法です。
相談者
具体的には、どのようにすればいいのでしょうか?
アドバイザー
まずは、転職軸をもとに業界を3つから5つぐらい選んでください。その上で、各業界ごとに絶対条件で絞っていくんです。こうした2段階の作業で、応募先を20~30社程度に絞り込むといいですよ。
相談者
社数はそんなに多くていいんですか?
アドバイザー
応募したすべての企業の面接に進めるわけではないと考えると、最初から絞り込み過ぎるのもよくありません。2017年に『リクナビNEXT』が行ったアンケート調査によると、転職成功者の平均応募数は7.5社となっています。ですから、1度に10社程度に応募し、状況を見ながら新たに10社程度に応募していく。転職活動では、こういった形で進めることが一般的です。
相談者
そうなんですね。5社ぐらいに絞るものだと思っていたので、一度に10社ぐらいと聞いて、興味がある企業に幅広く応募できると知り、少し気が楽になりました。
それでも決められない場合は転職エージェントの利用も検討してみる
相談者
今アドバイスいただいた以外に、自分に合った企業を絞り込んでいく方法はありますか?
アドバイザー
転職サイトを利用して希望条件に合った企業を自分で探していく方法以外では、転職エージェントを利用する方法があります。
相談者
転職エージェントを利用するメリットは何ですか?
アドバイザー
転職支援の専門家から見て、Kさんに合っていそうな業界や企業を紹介してもらえますし、Kさんがリストアップした応募先に対して現実的なアドバイスももらえるので、転職先の方向性や優先度を定めやすいと思います。
相談者
自分だけでは考えがまとまらない場合は、相談してみるとよさそうですね。まずは今日のアドバイスを参考に、転職サイトを利用して自分で絞り込んでみようと思います。その上で、転職エージェントへの登録も検討してみます。本当にありがとうございました。
- タグ:
こちらの記事も読まれています
新着記事
- 2025年3月27日応募書類が自動で作成できる!リクナビNEXTの「レジュメ」機能とは?
- 2025年3月14日転職活動で役立つ!無料の自己分析ツール厳選5種を紹介
- 2024年12月17日第二新卒の転職理由・退職理由|本音も交えた上手い答え方&NG例文
- 2024年12月3日盛り上がらず淡々と終わった面接は、不合格?それとも合格?
- 2024年11月29日コンサル業界の面接特徴|企業のチェック観点と答え方、準備・対策のコツ
- 2024年11月27日自分に合う「ニッチな企業」「隠れた優良企業」の探し方
- 2024年11月19日コールセンターに応募する際のアピールポイント・志望動機の書き方(未経験からの転職)
- 2024年11月1日転職して新規事業開発に携わりたいのですが、未経験では難しいでしょうか?【転職相談室】