仕事で劣等感に苛まれて辛いです。転職すれば解決できますか?【転職相談室】
「転職先の同僚が優秀で劣等感を持っている状態を、転職で解決できるのか」というご相談に、キャリア形成のプロフェッショナルとして、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏がお答えします。
目次
転職先のメンバーが優秀で、劣等感を感じ、毎日辞めたいと思っています。(Kさん/29歳/戦略コンサルタント職)

新卒で入社したWebサービス運営の会社では、企画職を担当していました。社内では「ロジカル」だとよく言われ、複雑な問題の解決に貢献できている実感があったので、戦略的思考を突き詰めたいと思い、半年前にコンサルティングファームに転職しました。
しかし、転職先のメンバーが優秀な人ばかりで、自分のビジネススキルの低さに劣等感を抱き、毎日辞めたいと思っています。
このような状況は、転職すれば解決するのでしょうか。
まずは現職に着けたことに自信を持ちましょう
アドバイザー
優秀な人に囲まれて、劣等感を抱いているのは苦しいですね。
ただ、優秀な人材がいる環境に入社しているということは、Kさんもそこで活躍できる人材と判断されたということです。
ビジネスパーソンとしての実力があるという自信を持っていいのではないでしょうか。
リクナビNEXTの調査で転職経験者314人にアンケートしたところ、転職先に馴染めず辞めたいと思った人は64%います。
過半数がTさんと同じ思いを抱いた経験があるのです。
理由は、「人間関係」が一番多く、次に「仕事の進め方」です。
今までのようにコミュニケーションが取れない、今までと仕事の進め方が異なるという課題が背景にありそうです。
【調査概要】2019年5月30日~5月31日 株式会社ジャストシステム「転職に関するアンケート」 調査対象:転職を経験したことのある男女331名
相談者
職場に馴染めなくて辞めたいと思っている人は結構多いのですね。
私自身、周囲が優秀で劣等感を持っているので、そうした人間関係に課題を感じています。
また、仕事の進め方も、同僚のようにうまく進められず、劣等感を持つ理由になっています。
アドバイザー
Kさんだけでなく、初めは馴染めず、同じような課題を感じている人がいるとわかりますね。
こうしたデータを参考にすると、すぐに転職というのも早急過ぎる気がします。
転職した目的を今一度見つめ直しましょう
アドバイザー
Kさんは、前職で周囲からの評価も高かったとのことですから、思うように仕事を進められない今の状況を、受け入れにくいと感じているのではないでしょうか。
相談者
そうかもしれません。
前職では、上司から意見を聞かれたり、後輩からも頼られたりしていて、評価されている手応えがありました。
しかし今は、年下の同僚の知識量や分析力、思考力に圧倒されるばかりで、認めたくないのですが、ついていけていません。
資料作成にしても、幅広く集めたデータから取捨選択して検証していく手法が、素早く的確で、どうしても劣等感を抱いてしまいます。
アドバイザー
事業会社の企画職と戦略コンサルタント職では、仕事の仕方や求められる成果が全く異なります。
例えば短距離走選手とサッカー選手では、同じ「走る」にしても、競技が異なれば使う筋肉が異なるように、違う業種職種に転向したのであれば、仕事の仕方が全く異なります。
新人になったつもりでゼロからスタートする心構えが必要になってきます。
Kさんの場合、その点を切り替えず、過去の自分にこだわっている結果、視野が狭くなり、思考停止している状態かもしれません。
そもそも、Webサービスの企業からコンサルタント職へ転職した理由はなんでしょうか。
相談者
前職では周囲から、ロジカルだと評価されていたので、「戦略的思考力」をより高めていきたいと思い、転職しました。
Webサービス事業の知識も併せて、トレンドを把握した戦略コンサルタントを目指したいと考えていました。
アドバイザー
そのお気持ちは今も変わりませんか?
相談者
もしかしたら、自分には向いていないのではないかと感じ始めています。
戦略思考を極めたいと言いましたが、戦略コンサルタントとして活躍している人を目の前にして、自分とは違うトレーニングをしてきたのだと痛感しています。
前職で、周囲に評価されて、慢心していたのかもしれません。
アドバイザー
視野を広げたことで、自分の適性を客観的に捉えられたのであれば、いい機会だったとも言えます。
コンサルタントの仕事に前向きな気持ちになれず、パフォーマンスを発揮できずに劣等感が積み重なっていくのであれば、ご自身で区切りをつけて転職をするのも一つの方法でしょう。
ただ、前職のイメージを残してギャップに苦しみ、コンサルタントの仕事と向き合わずに転職してしまうのは、ここまでチャレンジしてきた過程を考えると、もったいない気もします。
前出の調査結果によると、辞めたいという気持ちが解消された人たちは、「職場のルールを把握するようにした」「わからないことがあれば、周りの人に聞くようにした」など、新しい環境に適応できるような行動を取っています。
始めは辞めたいと思っても、自ら行動していくことで、そうした気持ちが解消されていくことがわかります。
【調査概要】2019年5月30日~5月31日 株式会社ジャストシステム「転職に関するアンケート」 調査対象:転職を経験したことのある男女331名
仕事で感じている劣等感は、自ら動いて仕事の成果実績を出し、成長をして周りに認められることでしか変えることはできないでしょう。
コンサルタントは、自分で考えて動ける人たちの集団なので、手取り足取りOJTでフォローしていくということは多く見られません。
わからないならそれを周りに伝えたり自分で学んだりして、上司に指摘してもらいながらスキルを磨いていく職種です。
手厚く人材育成するという習慣はないと捉えておきましょう。
相談者
みなさん忙しそうなので、自分から積極的に質問をする機会もありませんでした。
ケアしてもらえないので、自分は見捨てられているんじゃないかと思ったりしたのですが、自分から行動することが求められているのですね。
アドバイザー
コンサルタントの仕事は、自社の方針にあった人材育成に力を入れる事業会社とは、社風が異なります。
仕事へのスタンスを変えれば、積極的に動けるようになるかもしれません。
また、半年で転職というのは、次の転職活動で書類選考が通過しにくい原因にもなるため、初心に帰ってもう少し頑張ってみることをおすすめします。
再度転職活動をする場合の考え方
アドバイザー
一年以上続けてみて、それでも転職したいと考えるのであれば、改めて転職で何を実現したいのかを整理していきましょう。
現職が合わなかったからと言って、次の転職活動で卑屈になることはありません。
同じくらい高い能力を持っていても、仕事の進め方や人間関係が合わない場合もあります。
プロジェクトベースでクライアントを担当し、終わったら次の仕事へ進む、というコンサルタントの仕事の仕方が合わなかったのかもしれません。
また、複数プロジェクトを同時に進めることが合わなかったのかもしれません。
コンサルタントの仕事とも向き合った一年後のKさんの結論が「コンサルタントではなく、事業の当事者として、その商品・サービスに愛着をもち、じっくりと時間をかけてそれを育てていくことにモチベーションを持ち、成果につなげていきたい」というキャリアの方向性となるなら、それは説得力があると思います。
そうしたキャリアの価値観への気づきや自己理解を、次の転職活動で伝えていけば、より自分の志向に合った仕事に就くことができるでしょう。
また、もし、スキル面で戦略的思考を鍛えたければ、事業会社で働きながらビジネススクールなどに学びに行くという選択肢もあります。
いずれにしても、まだ転職して半年です。
メンタルヘルスの問題などがなければ、急いで判断して選択肢を減らすよりも、もう少し現職でできることを見直してみても良いかもしれませんね。
相談者
わかりました。
前職とは仕事のスタンスが異なることを受け入れ、ゼロリセットして、萎縮せずに周囲に聞いていくようにします。
まずは一年を目標に、新人として積極的にコンサルタントの仕事を吸収していきます。
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