転職したばかりですが、会社に行くのが憂鬱です【転職相談室】
2021年4月12日公開
最終更新日:2022年6月9日
転職し、「何事も新鮮」とすぐに溶け込める方がいる一方で、慣れないストレスを感じる方も少なくないようです。
今回は、「転職したばかりですが、会社に行くのが憂鬱」という方のご相談に、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏がお答えします。
アドバイザー 粟野友樹
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
転職したばかりですが、会社に行くのが憂鬱です(Yさん/マーケティング職/28歳/女性)
新卒で入社した中堅の通販会社でマーケティングを担当していました。主な仕事は会員の方向けのメールマガジンの制作とWebの広告出稿でしたが、売り上げの多くを占めるのは昔から利用しているカタログ中心の高齢者の方なので、メールマガジンからの訪問者も少なくWebの広告予算もなかなか拡大できない状況でした。「最新のマーケティング手法を学び、実践して成長したい」と感じ、転職を決意しました。
入社したのはWebサービスやスマホアプリを運営しているメガベンチャー。平均年齢も若くアクティブな会社なので入社を楽しみにしていたのですが、いざ入社してみるとスピード感についていけず、焦りとストレスを感じるようになりました。周囲からは「マーケティングの経験者」と認識されているので、ツールの使い方や専門用語を解説してくれる人がいるわけでもなく、試行錯誤しているうちに業務量がいっぱいになってしまいました。
入社して3カ月が経ちますが、思うような成果も出ていないのに残業ばかりで、会社に行くのが憂鬱です。どうしたらいいでしょうか?
入社後間もないうちは、仕事に慣れずに悩みを感じるケースも多い
入社して3カ月で「会社に行くのが憂鬱」というご相談ですが、転職して間もないうちは多くの人が仕事に慣れずに悩みを感じる時期 です。これまでとは仕事内容も職場も人間関係も違う上に、仕事を覚えて業務をこなしていかなければならないので、人によって程度の差はありますが、ストレスを感じるのは仕方のないことです。
そうですか…。入社が楽しみだっただけに、全然うまくいかない現状にギャップを感じています。
運営しているサービスには、それぞれ目標のMAU(Monthly Active Users)が設定されているのですが、サービス担当者は目標を達成するために既存の戦略だけでなく、新しい戦略も並行して考えていかなければなりません。でも、業務を回すことだけで精一杯で、なかなか効果的な戦略も思い浮かばず、「このままでは目標達成できない…」とプレッシャーになっています。
成果を出すことも重要だが、職場に馴染むために人間関係の構築を
上司やリーダーとは定期的なミーティングがあり、業務の進捗報告や新しい仕事への手ごたえなどを聞かれています。「覚えることが多いです」とは報告していますが、自分に対する期待感が伝わってくるので、目標がプレッシャーになっていることは相談できていません。
ご自身の中で「早く成果を出さないと」という焦りがプレッシャーとなり、会社に行くのが憂鬱になっているのですね。確かに、評価されて内定を獲得しているので、上司やリーダーの方は期待を寄せているのかもしれません。ただ、まだ入社3カ月ですし、まずは既存業務をスムーズにこなせるようになるのが重要 です。業務量がいっぱいになっていることや、プレッシャーを感じていることを上司の方に相談してみてはいかがでしょうか?
そうですね。「がっかりされたくない」「期待に応えたい」という思いから、一人で抱え込んでしまいすぎたようです…。「前職でWebマーケティングをやっていました」と面接で強くアピールした手前、入社後に業務が追いついていないことを言い出せなくて。
リクルートマネジメントソリューションズが実施した調査結果でも、中途採用者の適応の難しさとして、「仕事内容」もさることながら、「職場の雰囲気」や「上司との人間関係」、「同僚や部下との人間関係」などが挙げられています。仕事で成果を出すことも重要ですが、考える順番を変えてみて、職場の雰囲気に馴染むために上司や同僚などと腹を割って話せる関係性を構築できると、自ずと仕事もうまく回るようになるかもしれません。
出典元:リクルートマネジメントソリューションズ RMS Message 39 「中途採用者の適応に関する実態調査報告」図表3
https://www.recruit-ms.co.jp/research/journal/pdf/j201508/m39_all.pdf
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早期離職は転職では不利に。初心である転職理由を思い出そう
もともと、「最新のマーケティング手法を学び、実践して成長したい」という思いで転職されています。ツールの使い方や専門用語で分からないことがあれば、臆せず周囲に働きかけて、積極的に知識を吸収していきましょう。職場や業務にも慣れて余裕が出てくれば、視野も広がりますし、新しい戦略のアイデアも浮かんでくるのではないでしょうか。
はい、前職では成長実感がなかなか得られなくて、アグレッシブな社風の今の会社に憧れて入社しています。前職との社風の違いに戸惑っていましたが、遠慮せずに自分から働きかけていかなければ、変わることはできませんね。
まだ入社3カ月と在籍期間が短いので、初心を思い出して現在の職場で相談や調整をしながら働くことをお勧めします。
もし、現時点で再度転職活動した場合は、在籍期間の短さが原因で苦戦する可能性が高くなります。採用企業は「入社してすぐに辞めてしまうのでは…」と不安を抱くからです。現在の会社よりも条件が悪くなるリスクもあるため、まずは置かれている状況の改善を図ることを優先しましょう。改善を試みてもどうしても状況が変わらないのであれば、異動願いを出したり、転職活動を始めたりしても遅くはありません 。
分かりました。成長できる環境であることは実感しているので、期待されていることを前向きに捉えていきたいと思います。
記事作成日:2021年4月12日 EDIT&WRITING:只野 志帆子 ILLUST:安西 哲平