転職後、会社のテレワーク環境が合わず上手くいきません【相談室】
2021年2月22日公開
最終更新日:2022年6月9日
転職してテレワーク環境(リモートワーク・在宅勤務)になり、中には「仕事の要領がつかめない」「孤独感を感じる」などのストレスに悩む社会人もいるようです。
初めて経験するテレワーク環境への上手な対処法について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏に聞きました。
アドバイザー 粟野友樹
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
転職し、テレワーク(在宅勤務)になりました。コミュニケーション不足でなかなか仕事が覚えられず、上手くいかないのですが、どうすればいいですか?(Nさん/25歳/女性)
■相談内容
旅行業界で企画事務として3年ほど勤めていましたが、会社の業績が悪化し将来に不安を感じ、web系企業の事務職に転職しました。
完全テレワークの環境になったばかりとは聞いていましたが、社員の皆さんもまだ慣れていない様子。うまくコミュニケーションがとれず、苦労しています。担当業務について聞きたいことがたくさんあるのですが、頻繁に聞くのもなんだか気が引けてしまって…。
このままだと時間だけが無駄に過ぎ、自分の評価が下がってしまいそうです。この状況をうまく乗り切る方法を教えてください。
コミュニケーション不足の原因がどこにあるのか考えてみる
転職すると、新しい環境で新しい関係性をつくっていかなければいけないのに、テレワーク環境だと関係性づくりのハードルがいっそう高くなりますよね。
はい、そうなんです。メールやチャットだけでは上司や同僚の人柄が伝わってこないため、どういうスタイルでコミュニケーションをとればいいのか計りかねています。
そのような場合、まずは、コミュニケーション不足の原因について考えてみましょう。会社側の原因として考えられるのは、1つはツールやセキュリティ設定などのITインフラが整っていないため、使いづらいこと。2つ目は、初めてテレワークに接する社員に向けたマニュアルの整備やルールの徹底がなされていないことです。
そういえば、テレワークについてのマニュアルなどもらっていませんし、明文化したルールも現段階ではなさそうです。
ほかにも、社内でのテレワークに対する抵抗感が原因となっている可能性が考えられます。
例えば、出社や対面での業務を重視する層がいると、そこで環境整備が滞ってしまいがちです。その場合、出社している社員にばかり情報や指示が伝わるため、テレワーク中の社員との情報格差が生じることもあるんです。
完全テレワークと聞いていたので誰も出社していないと思っていましたが、上司や一部の社員は出社しているのかも…。そういったことも、よくわからない状況なんです。
Nさんの部署ではテレワークでも、他部門・部署では異なるというケースもあるかもしれません。そうした様々な環境が混在することを想定した、
中途採用者へのフォロー体制が確立されていないこともコミュニケーション不足を生む原因の1つになり得ます。
今回はこれが、Nさんが抱えているお悩みに一番関係があると考えられそうです。
フォロー体制ですか?入社時に同じ仕事をしている先輩を紹介され、その方からは「わからないことがあったら、いつでも声をかけて」という言葉はいただいているんですが…。
そう言われても、実際には声をかけにくい状況が続くこともあるのではないでしょうか。
そこで、「何かあったら…」ではなくて、夕方の10分でもいいので定期的に雑談タイムが設けられるとか、オンラインでのランチミーティングなどが活用されるといいと思います。そういう場なら、作業中よりも気軽に質問できるでしょう。
確かにそうですね。ですが、今のところそのような場はありません。
コミュニケーション不足を解消するには
いま挙げたのは会社側の問題ですが、Nさん自身も“待ちの態勢”になってしまっているかもしれません。
事態を変えるには、会社からフォローしてもらうのを待つのではなく、自分から聞きにいく、情報をもらいにいく、雑談しにいくなど、主体的にアクションをとってみることも大切です。
そうですよね。でも、具体的にはどうすればいいのでしょう?
会社にフォロー体制がないのなら、Nさんから同僚や上司に、「2週間から1カ月ほどの間、毎日10分でいいから直接コミュニケーションできる時間をもらえないか」といった旨のお願いをしてみてはいかがでしょうか。
会社側としても、早期に組織や仕事にキャッチアップして力を発揮してもらうためですから、快く協力してくれるはずです。
また、チャットが活用されている環境であれば、流れてくる情報に反応することもアクションの1つです。ひと言コメントを入れてみたり、スタンプを送ってみたりするだけでもいいでしょう。
先ほども言及しましたが、チームのメンバーと一緒にオンライン雑談やランチをする提案などを思い切ってしてみるのも手です。既存の社員もコミュニケーション不足を感じているでしょうから、案外賛同してくれるかもしれませんよ。
いろいろな方法があるんですね。そこまで頭が回りませんでした。
「このままだと自分の評価が下がってしまうのでは…」というNさんの不安を解消するためにも、いまお話ししたような方法でコミュニケーションをうまくとるようにしながら、少しずつ任された業務でのアウトプットもしていきたいですね。
はい、思い切って自分からアプローチしてみます。ただ、すぐにすべてを把握することは難しいと思うので、勝手がわからないまま作業を進めて的外れなアウトプットになってしまわないかという心配もあります。
確かに、上司がどの程度の成果物を求めているのかという“仕事のレベル感”は、すぐにはつかめないかもしれません。それでも、上司や先輩に仕事の進め方を聞いたり、成果物を見せてもらったりするなどしていけば、そうしたレベル感も徐々にわかっていくはずです。
やはり直接聞いてみるのがいいですよね。それも実践してみます。
評価を下げたくないゆえに「ミスをしたくない、完成度の高い仕事をしたい」という思いがあるかもしれません。ですが、特に転職直後の場合は、いきなり成果物を出されるよりも
進捗報告や作業中の相談があったほうが上司は安心します。
Nさんにとってもやりやすく、またコミュニケーションのチャンスにもなるのではないでしょうか。
確かにそうですね。これからは頻繁にアウトプットするようにして、コミュニケーションを増やすよう努力します。
うまくいくようにがんばっていきましょう。それと同時に、早い段階で人事部などに相談することも考えておいてください。
そんなことはありません。コミュニケーション不足で孤独感を感じるようになると、「自分は会社に受け入れられていない」と疑心暗鬼になってしまう人は少なくないんです。そうすると、さらに会社との距離感が生じ、せっかく転職したのにすぐに退社という事態になりかねません。
相談できる相手や場所はできるだけ確保しておくことが大切です。
また、企業にとっても、中途入社者がどういったことに困っているかの実態を把握することは今後の改善策を考える上で必要といえます。
わかりました。ひとりで抱え込んでネガティブ思考に陥らないよう、気をつけます。
企業は、Nさんを評価したから採用したという経緯があります。つまり、上司はNさんが活躍してくれると考え、またパフォーマンスを発揮して欲しいと思っているので、相談するのに何の遠慮もいりません。


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そのほかのテレワーク環境ならではお悩みと対処法
コミュニケーション不足が解消されたら、次は「テレワークでの時間管理の悩み」が出てくるかもしれません。
時間管理ですか。実はまだ、自分がやるべき仕事というか、自分に求められていることが、きちんと理解できていない状況です。それに、1つの仕事にどれぐらいの時間をかけるのが適正なのか、まだつかめていません。
大切なのは、自分がやることを明らかにした上で、「1カ月間でここまでやる」「今週はここまでやる」という
目標を設定すること。そして、
それを上司と共有し、フィードバックを受けることです。
また、1つの仕事にかける時間については、やはり、同じ仕事をしている先輩などに直接聞いてみるのが1番の解決策になると思います。
社員のスケジュールはWeb上で共有されていると思いますので、そこで先輩社員の業務の組み立て方やスケジュールを参考にしたり、業務の進め方などを具体的にヒアリングしたりすることもできるかもしれません。
わかりました。とても具体的なアドバイスをいただけて、参考になりました。本日はありがとうございました。
記事作成日:2021年2月22日 WRITER:笠井貞子 ILLUST:安西哲平 EDIT:リクナビNEXT編集部