優良スタートアップ企業の見極め方を教えてください【転職相談室】
「先進的なビジネスに携わりたい」「スピード感を持って働きたい」――そんな思いからスタートアップ企業の転職を目指す人が多く見られます。
成長可能性がある優良スタートアップ企業の見極め方、スタートアップで働くにあたって注意すべきことについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏がアドバイスします。
目次
優良スタートアップ企業の見極め方を教えてください(Sさん/30歳/男性/IT業界)

大手IT企業でプロジェクトリーダーを務めていますが、組織が大きいゆえに物事の決断や進捗のスピードが遅いんです。変化が激しいこの時代に取り残されるのではないかと、もどかしく感じています。
そこで、これまでの経験を活かして、先進的なビジネスに関わりたいと考えています。FinTech(金融×技術)やEdTech(教育×技術)のように、○○×Techの分野に興味があります。
そうした企業はスタートアップやベンチャーなどが多いようですが、どのように「優良企業」を見極めればいいのでしょうか?
まずはベンチャー企業とスタートアップ企業の違いを知りましょう


一方、新しい技術やビジネスモデルによって、社会や人々の生活にイノベーションを起こすことを目指す企業は「スタートアップ」と呼ばれます。つまり、0から1を生み出す段階にある企業といえますね。
また、スタートアップ企業の特徴は、EXIT(出口)戦略を持ち、短期での成長を目指す企業が多いという点にあります。
立ち上げ期からIPO(株式公開)やM&Aによる事業譲渡・売却などを見越しており、そのゴールに向けて、ベンチャーキャピタルや大手企業の投資部門・アライアンス担当部門などが支援しているケースが多く見られます。

優良スタートアップ企業の見極め方

チェックポイント
①成長性があるかどうか
すでに製品・サービスをリリースしているのであれば、市場での評価に注目しましょう。
BtoC企業であればユーザー数の伸び、BtoB企業であれば導入社数や導入企業の顔ぶれなど。売上高の推移、組織拡大の推移などからも、成長率が見てとれます。企業ホームページ、採用向けピッチ資料、ニュースリリースなどで確認してください。
公表されていない場合は、転職エージェントやその業界で働いている知人にたずねたり、面接で直接確認したりするといいでしょう。
②資金調達ができているか
事業を成長させるためには、やはり資金力が重要です。「○億円の資金調達」といった情報がニュースリリースとして発信されていますので、チェックしてみましょう。資金調達の情報をまとめたサイトもあります。
また、出資企業の顔ぶれを見れば、今後の展開をある程度予測できるかもしれません。
③経営陣のバックグラウンドに偏りがないか
経営メンバーがこれまでどんな企業で経験を積み、どんな実績を挙げてきたかにも注目しましょう。
また、経営陣の「バランス」も重要なポイントです。例えば、営業畑出身の社長の場合、営業体制づくりには長けていても、エンジニアの心をつかむことができず優秀なエンジニアに去られてしまう……といったケースも見られます。
その逆で、優秀なエンジニアが集まって設立されたものの、マーケティングや営業に弱く、技術をなかなかお金に換えられない企業もあります。気が合う友人同士で起業し、友人であるがためにシビアな議論ができず、経営に甘さが出てしまうケースも。
こうしたことから、メンバーのバックグラウンド、専門性のバランスが取れているかどうかにも注目するといいでしょう。
④社内体制が整っているか
IPOを目標として掲げる企業であれば、CFO(最高財務責任者)をはじめ必要な専門人材がいるか、「上場企業」になるのに適切な管理部門体制が整っているかどうかも、実現性を大きく左右します。


企業サイトに掲載されている「理念」「クレド」「将来ビジョン」など、あるいは経営者のSNSやインタビュー記事にも目を通して、自分が共感できるかどうかを意識してみてください。
スタートアップ企業が集まるピッチイベントなどにも参加して、経営者やメンバーが話している姿に直接触れてみるのもいいでしょう。「この人たちと働きたい」と、ピンとくる企業に出会えるかもしれません。
また、選考に進んだ場合、経営陣だけでなく、なるべく多くのメンバーと会わせてもらうことをおすすめします。経営者と現場のメンバーでは考えていることがズレている……なんてこともありますから。
スタートアップ企業へ転職する際の注意点


スタートアップは、まだ十分に売上が立っておらず、赤字経営の企業も多いので、高い給与は期待できません。
大手企業のように福利厚生も整っておらず、生活水準を落とさなければならない可能性があります。このあたり、特にご家族がいる方は、家族としっかり相談することが大切です。


入社時は年収ダウンしても、成果を挙げることで、どのくらいまで年収を上げていけるのか。また、ストックオプションの計画も聞いておくといいでしょう。実際、「ストックオプションを期待していたのに、もらえないのが不満で辞めた」という声も聞こえてきますから。
それに、スタートアップは失敗するリスクも当然あります。失敗し、最悪解散となった場合でも、その企業で経験を積むことで、次の転職に困らないようなスキルを身に付けられるかどうかを意識して企業を選ぶといいと思います。


また、少人数組織のため、自分の専門業務だけやっていればいいというわけではなく、得意分野以外の仕事を振られることもあります。大手企業であれば雛型が揃っているような資料を一から自分で作成しなければならなかったり、庶務やアシスタントがやってくれていたような雑務も自分でしなければならなかったりすることも。
自分の役割や業務に線を引かず、幅広い業務に柔軟に対応する意識で臨みましょう。
まとめ
スタートアップ企業には、夢もありますが、当然困難もあります。困難を乗り越えていくためには、「事業理念への共感」が大きな原動力となります。
「優良企業かどうか」だけでなく、自分が心からやりたい事業であるのか、自分を成長させられるのか、という視点を大切にしてください。
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