転職で「長所」を聞かれた時の回答例12選と長所の探し方
面接でも履歴書でも聞かれる「あなたの長所は何ですか?」という質問。
今回は、組織人事コンサルティングの粟野友樹氏に、転職活動に有効な「長所」の考え方と、具体的なアピール方法を教えていただきました。
長所別の例文も紹介していますので、参考にしてみてください。
転職活動でアピールに繋がる「長所」とは?
まず、企業が採用選考の場で「長所」を聞くのは、応募者の人柄を見ると同時に「自社の雰囲気とマッチするか」「入社後に活躍してくれそうか」を判断するためです。
ですから、例えば、「誰とでもすぐに友人関係を築けるところです」などではなく、「仕事における長所」をアピールできるものであることが大切です。業務内容に活かせるものでなければ評価材料にはなりにくいでしょう。具体例を下記にあげました
<転職活動でアピールしやすい長所の例>
- 親密性(じっくり付き合える)
- 現実思考 (実現可能性にこだわる)
- 慎重性(掘り下げて考える)
- 冷静沈着(慌てずクールに行動できる)
- 俊敏性(スピード第一で行動できる)
- 継続力(決めたらとことん突き進める)
- 受容力(広く受け入れられる)
- 社交性(360°オープンに交流できる)
- 悠然(焦らずゆったり構えられる)
- 挑戦心(高い目標でも奮起できる)
- 自己信頼(信じた道を突き進む)
- バランス(全体を考えられる)
- 感受性(場の雰囲気を感じ取れる)
- 高揚性(ノリがよい)
- 決断力(迷わず決められる)
- 柔軟性(変化を受け入れあれこれトライできる)
- 自立(常に主体的に行動できる)
- 独創性(オリジナリティにあふれる)
長所を伝えるときは「事実ベース」で「整理」するのがポイント
そして、面接などで伝える際には「事実ベース」で「自身の経験を整理」して話すことが重要です。そうでなければ、話の内容があちこちに飛んでしまったり、軸が通らず面接官に伝わらなかったりする恐れがあります。
相手に伝わる長所を組み立てるのにお勧めしたいのは、次の4つの順番(STARフレーム)で構成すること。
- Situation(状況)
- Task(課題)
- Action(行動)
- Result(結果)
この順番で構成すると、長所に関するエピソードが整理でき、相手に伝わりやすくなります。
面接で「長所」を聞かれたら?伝わりやすい話し方と回答例
転職で長所をアピールする例文12選
ここでは、前述の「アピールしやすい長所」を「STARフレーム」にあてはめた例文を紹介します。自分の長所を考え、アピールする際の参考にしてみてください。
親密性をアピールする例文
(広告代理店・営業職)
私の長所は、クライアントとじっくり付き合い関係性を築ける親密性です。現在、広告代理店に入社して5年目で、法人営業として約80社のクライアントを担当していますが、入社当初はなかなか顧客開拓ができませんでした。自社サービスを売ることに捉われ、クライアントの課題をなかなかつかめずにいたのです。
そこで徹底的にクライアントに寄り添い、伴走する姿勢に変更したところ、今の想いや不安、を徐々に打ち明けてくれるようになりました。
顧客の課題をつかめるようになったことで的確な提案を組み立てられるようになり、数字もついてくるように。今では信頼関係が築けたことで、顧客の方から積極的に相談してくれるようになりました。
現実思考を長所にした例文
(食品メーカー・一般事務)
わたしの長所は、現実思考であることです。
現在、一般事務の仕事に就いており、さまざまな部署のデータ入力、資料作成、グラフ作成作業などを任されています。
事務担当の人数は少なく、業務が立て込んだときはなかなか手が回らず、少し前までは部署全体でミスが多発していました。
部署内では、課題解決をロジカルに検討するというよりは気力・根性で乗り切ろうとする風潮が強く、このままでは根本的な解決にはならないと考え、限られた人員でもミスなく業務をこなすために、自主的にすべての事務業務を洗い出したうえで、業務を俗人化せず共有・可視化してチェック体制を構築することを提案しました。
その結果、ミス発生件数が大幅に減少。業務の見える化を行ったことで各自のやるべきことが整理され、業務処理スピードも上がりました。
慎重性と冷静沈着を長所にした例文
(システム開発会社・システムエンジニア)
わたしの長所は、慎重に物事を掘り下げて考え、冷静沈着に行動できる点です。
現在、小売り系システムの開発を手掛けていますが、クライアントの要望はスピード重視。新しいやり方を積極的に取り入れる柔軟さとフレキシビリティはあるものの、現状うまくいっているものもすぐに変えてしまうことを課題に感じていました。
そこで、クライアントが目指すものと、想定されるリスクを洗い出し、先々のことまで見通しを立てて判断することを徹底。変えたほうがいいもの、現状維持すべきものを常にリスト化して理由とともに提示することで、クライアントにとって本当に必要なものを取捨選択するようにしました。
この方法を取るようになってから、カスタマーの流入が増えた一方で途中離脱が減り、クライアントの売り上げも向上しています。
俊敏性を長所にした例文
(化学品メーカー・総務職)
わたしの長所は、俊敏性の高さです。
現在は総務として、備品管理や発注、社内イベントの企画運営などを担当しています。社内のあらゆる部署とやり取りがあり、日々要望されることが非常に多く、ともすれば「総務はいつも対応が遅い」と言われがちでした。
そんな中、養われたのがスピード感でした。「言われる前に予測して先手を打つ」ことを徹底したところ、各部署からの信頼が得られるようになりました。これらのナレッジを周りに共有することで部全体のオペレーションスピードも上がり、業務時間の短縮にもつながっています。
継続力と受容力を長所にした例文
(人材サービス会社・営業事務)
わたしの長所は、継続力と受容力の高さです。
現在、営業事務として見積もりやプレゼン資料の作成、顧客データ入力、請求書の発行などを担当しています。
突発的な業務も多く初めは時間ばかりかかっていました。
そこで、独学で継続的にマクロや関数を習得し、データ分析のスピードアップに努めました。また、見やすい資料作成のためパワーポイントについても情報を集め研究した結果、自分のスキルに自信がつき、以前は躊躇していた急な依頼も臆せず、余裕をもって要望に応えられるようになりました。今では「●●さんは、仕事が頼みやすい」という声を多数いただいています。
社交性と悠然を長所にした例文
(Webサービス会社・人事)
わたしの長所は、社交性の高さと、どんなときにも焦らず状況を判断できる点です。
現在、新卒・中途採用、キャリア開発などを担当していますが、勤務先は設立7年目のまだ新しい会社で、各部署とも人材不足がひっ迫化しています。部署によっては業務を回すため、頭数を揃えることが第一目的になっており、入社後に双方がギャップを感じるケースが増えてしまっていました。
社内から「とにかく早く人材を採用して欲しい」というプレッシャーがあると、つい目先の方法論に飛びつきがちなところを焦らすに状況を分析する必要があると考え、各部門に積極的に足を運んで様々な立場の人と交流し、人材に対する課題や要望を気軽に話してもらいやすい雰囲気を作り、各部門の「欲しい人材像」を洗い出しました。
人員増強の際は具体的なペルソナを作成して確認を取り、採用広告を打ち出したほか、リファラル採用を取り入れることでギャップのない採用活動につながり、この1年間での退職者数はゼロ、中途入社者の早期の戦力化も実現できています。
挑戦心と自己信頼を長所にした例文
(ソフトウェア開発会社・営業職)
私の長所は、高い目標への挑戦心を持ち、信じた道を突き進む力が強いことです。
現在は営業職に就いて3年目で、社内に約100名いる営業の中でも常にトップ3に入る成績を収めています。ただ、入社当初は、目標数字はクリアできても、なかなかハイ達成はできずにいました。
上司や先輩などに積極的にフィードバックをもらい、「『この人に任せたい』と思ってもらえる何かが足りない」と気がつき、営業としての個性を磨きました。商品に関係ないことでもクライアントにとって有益な情報は収集し、提供することを徹底し、今では「君は常にうちのことを考えてくれている」と言っていただけるようになり、営業実績もぐんと伸びました。営業としての自信がついたことで、より高い目標に向かって奮起できるようになり、昨年度は入社2年目ながら年間表彰を獲得することができました。
感受性とバランスを長所にした例文
(アパレル会社・販売職)
私の長所は、場の雰囲気を感じ取る感受性と全体を俯瞰して考えるバランス感覚に優れていることです。
現在、20代の女性向けアパレルブランドの販売職として、百貨店に勤務しています。
一昨年に、なぜか店舗の雰囲気が悪くなってきていることをいち早く察知した際には、その要因がどこにあるのかを洗い出して俯瞰して分析をしたことがあります。
その時の原因は、社長の交代による売り上げ目標の変化でした。個人の売り上げ目標が上がったことで、お客様の取り合いが発生するなどスタッフ同士の関係性が急速に悪化していたのです
そこで現状打破のために、来店客の行動と店員への反応を独自に分析した結果、当ブランドのターゲットにおいては積極的な声掛けよりも一歩引いた接客が好まれると判断できました。そこから、来店したお客様に最初に一声かけ、求められた場合に的確なアドバイスをするように接客態度を変更したところ、個人販売実績だけでなく店舗全体の売り上げが向上。このナレッジを店舗内で共有することで、スタッフ同士の関係性も改善され、お客様が入りやすい雰囲気づくりにも貢献できました。
高揚性と決断力を長所にした例文
(消費財メーカー・企画職)
私の長所は、自身の高揚感を周りに伝播させて盛り上げる力と、決断力の高さです。
昨年、販促企画の効果が頭打ちで、抜本的な見直しが求められるようになりました。
それまでは、他社事例と過去の効果を参考にするのが部署の方針でしたが、企画立案方法を一から見直し、これまでにない新しい観点から企画立案をするという決断をし、「実際に商品を売る営業がワクワクできるかどうか」を重視することにしました。
当初は、新しい観点での企画立案に困惑の声もありましたが、われわれ企画担当者が「楽しむ」ことも重要ではないかと考え、販促企画案をいくつか挙げて社員に投票してもらい、最終決定した企画案に投票した人にはプレゼントを贈るという今までにない社内キャペーンも企画しました。
その結果、全社を巻き込んだ販促企画を打つことができ、営業担当者の前向きな姿勢にもつながりました。量販店などクライアントの評判も良く、来店増につながったとの声もいただくことができました。
柔軟性を長所にした例文
(システム開発会社・アプリケーションエンジニア)
私の長所は、柔軟性です。
現在、食品メーカーのECサイトの設計を担当し、商品一覧画面のサブシステムの構成・設計を任されています。クライアントの課題を解決したいという思いでこの道を選びましたが、部署としては開発設計のしやすさなどエンジニアとしての視点がつい先に立ってしまい、カスタマー視点がおろそかになりがちでした。
そこで、大手ECサイトからメーカーのオンラインショッピングページなど約50社分のサイトを研究し、良いところは柔軟に取り入れてあれこれトライを重ねました。
その結果、離脱率が低下し、サイト全体の売り上げが10%アップしたうえ、自身にもカスタマー視点が養われ、見やすさと導線を意識した設計・開発ができるようになりました。
自立を長所にした例文
(専門商社・一般事務)
私の長所は、自立心が高く、主体的に行動できる点です。
派遣社員として専門商社の一般事務を担当して2年になりますが、1年目は勤務先の事務職の人数が縮小傾向にあり、いつ契約満了となるか常に不安感がありました。
以前は「自分は派遣だから」と遠慮するところがありましたが、現状を変えるためにも主体的に行動することを徹底。与えられた業務であっても、より良い方法があると気づいたら積極的に提言するようにしました。ルーティン化している業務でも、何か改善できることがないかフローを見直し、細かい修正を繰り返しました。
その結果、私の声掛けで集計業務のフローを見直すことになり、業務効率が向上。勤務先からも評価いただいています。
独創性を長所にした例文
(精密機器メーカー・機械系エンジニア)
私の長所は、独創性の高さです。
現在、OA機器のエンジニア職に就いて4年目ですが、OA機器は成熟産業であり技術革新が少なく、開発予算も年々縮小傾向で自由度の高い開発がしにくくなっていました。
そこで、従来製品の部品やこれまでのノウハウを応用して、まったく新しいものが生み出せないか検討。別業界で注目されていた技術を取り入れることで、新しい分野への展開が可能になると発案し、社内のビジネスコンテストに応募しました。
残念ながら商品化は実現しませんでしたが最終選考まで残り、「新たな新規事業の芽」として社内で高く評価されました。自身のアイディアを活かしたチャレンジができ、エンジニアとしての自信にもつながりました。
客観的に長所をつかめる、無料自己分析ツール「グッドポイント診断」
最後に、何を長所として伝えればいいのかわからない…という場合は、自己分析ツールを使ってみるのもひとつの方法です。
リクナビNEXTの「グッドポイント診断」なら、無料で「現実思考」「独創性」など18種類の特長の中から、あなたの強みを5つ診断することができます。この診断結果をもとに、自分の長所を改めて考えてみるのもお勧めです。
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