理想の転職先が見つかりません。妥協して決めるのはアリですか?【転職相談室】
2020年7月10日公開
最終更新日:2022年6月9日
転職活動をしているものの、なかなか理想的な条件と巡り合えなくて、焦り気味。
現職業務もあり、転職活動にかけられる時間も限られているので、このへんで妥協したほうがいいのかな…という転職活動中のモヤモヤに、組織人事コンサルティングSegurosの粟野さんが答えます。
アドバイザー 粟野友樹
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
理想の転職先がなかなか見つかりません。とりあえず妥協して決めてもいいでしょうか?(Sさん/営業職/29歳/男性)
■相談内容
新卒入社した精密機器メーカーで営業を担当していますが、もっと収入をアップさせたくて転職活動を始めました。業界や職種にはこだわっていませんが、できるだけ若い世代中心の職場環境で働きたいと考えています。数社に応募し、1社からは内定をもらっていますが、希望する条件通りではないので決めかねています。このへんで妥協したほうがいいのでしょうか?(Sさん/営業職/29歳/男性)
外的条件を分解すると、気づいていなかった内的理由が見えてくる
約半年です。転職サイトに登録し、これまで3社に応募しました。1社からは内定をもらったのですが、条件が希望通りではないため、決心がつきません。
転職したい一番の理由は「収入をアップさせたい」ということですね。ほかに理由はありますか?
現在の職場は40代、50代のベテランがほとんどで、私に近い年齢の若手社員がいません。ですから、もっと悩みを分かち合い、切磋琢磨して成長していけるような同世代と一緒に働きたいという気持ちもあります。
「収入アップ」と「同世代が多い職場」ですね。では、そう考える理由について深く考えてみましょう。なぜ年収をアップさせたいと思っているのですか?
別の業種で営業職に就いている大学時代の友人は、すでに大きな仕事を任されていて、自分より年収も高いと知ったからです。今の仕事はベテラン社員と一緒に動くことが多く、自分の実力を試すチャンスがないので、正当に評価されていないような気がするんです。
どうやらSさんが望んでいる年収アップというのは外的条件、つまり表面的な条件のようですね。その奥底には、「正当に評価されたい」という内的理由がありそうです。内的理由とは、自分では気づいていなかった本音のようなもの。同世代が多い職場を望んでいるのも、「年齢に関係なく、責任ある仕事を与えられるチャンスに恵まれた環境で働きたい=正当に評価されたい」という気持ちの表れかもしれません。
確かに、友人の話を聞いて以来そのようなイメージが漠然とありました。
これまで数多くの転職相談を受けてきましたが、「規模や知名度の高い会社」「年収が高い会社」「福利厚生が充実している会社」「将来性がある会社」「増収増益の会社」など、外的条件ばかりを求めてしまう人は少なくありません。実は、「理想通りの会社が見つからない」という人ほど、その傾向が強いんです。
外的条件に捉われていると満足できる転職先が見つからず、苦労することになりかねません。
真の転職理由を見直すことで、妥協という発想自体が不要に
ポイントは、自分が理想だと思っている外的条件を分解し、紐解いていくこと。そして、その先にある内的理由を明らかにすることです。そうすると、本来の欲求、つまり転職したい本当の理由が明らかになってくるはずです。
そうか…。私が意識していた一番の転職理由は「年収アップ」でした。ですが、本心は年収よりも「正当な評価を得られることが重要だ」と思っているということですね。
そうです。Sさんの場合、「理想通りの年収ではないけれど、妥協すべきか」と悩んでいましたが、真の理由は別にあるということです。それがわかると、妥協するという発想自体が必要なくなったのではありませんか?
言われてみると、そうかもしれません。「正当な評価」という視点で見直してみると、企業の選び方もかなり変わってきそうです。
Sさんは業界や職種にはこだわっていないので、その条件で探し直すと、若手が活躍している企業や新しく誕生した成長業界なども候補になるはず。選択の幅がかなり広がるのではないでしょうか。
本当ですね。なんだか視界が開けて、焦る気持ちが薄れてきました。
まずは、真の理由を明らかにすること。その上で心がけてほしいのは、自分の中で「譲れない条件」を見定め、ぶれないようにすることです。譲れない条件がぶれてしまうと、転職した後に後悔することになりかねませんよ。
わかりました。私の場合は「正当な評価が受けられる」、これが譲れない条件にもなりますね。ちなみに、応募先が正当な評価を得られる企業かどうかを見極める、何かいい方法はありますか?
企業のホームページや採用サイトに掲載されている社員インタビューなどをチェックしてみるのは1つの方法です。また、経営陣の年齢層や中途入社者比率、男女比率等といった情報から、その企業における人事評価の在り方をある程度推測することができるかもしれません。あとは、面接で担当者に率直に質問することも大事です。選考を通じて評価していけばいいと思います。
わかりました。今回のアドバイスで明らかになった真の欲求を基に、あらためて応募先を見直してみます。ありがとうございました。


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まとめ
「理想通りの会社が見つからない」という人ほど、外的条件に目を奪われているケースが多いようです。
妥協すべきかどうかと悩む前にするべきことは、理想だと思い込んでいた外的条件を分解し、その先にある内的理由を明らかにしていくこと。
本来の欲求(=真の転職理由)が見えてくると、妥協するという発想自体が必要なくなり、新たな視点で満足のいく転職先を発見できるのではないでしょうか。
記事作成日:2020年7月10日 WRITER:笠井貞子 ILLUST:安西哲平 EDIT:リクナビNEXT編集部