転職活動の進捗管理フォーマット
転職活動をスムーズに進めるための進捗管理・応募管理方法を紹介。
どんな項目をどんなフォーマット管理すればいいのか、一覧化するメリットとともに組織人事コンサルタントの粟野友樹さんが解説します。
転職活動をスムーズに進めるために、管理するとよい12項目
転職活動の状況を正確に把握し、タスクの抜け漏れをなくして、選考を自分でコントロールするためには、進捗管理が役に立ちます。
あくまで一例ですが、以下の12項目を参考にしながら、自分なりに管理してみると良いでしょう。
1. 企業名 2. 業界 3. 職種 4. 選考ステータスと日付(選考を受けた日や、合格連絡日など) 5. 面接担当者について(例:部署・役職など) 6. メモ(例:面接担当者の人柄に魅力を感じた、この話が受けたなどの感想や手応え) 7. 改善点・次に向けての準備 8. 魅力点 9. 懸念点 10. 志望順位 11. 次回タスクと締め切り(例:提出物など) 12. 応募経路(例:リクナビNEXT、リクルートエージェントなど) |
具体的な進捗管理法とシートのフォーマット例
通常、各転職サイトのマイページや、転職エージェントのマイページなどを利用して進捗管理をしているという人は多いでしょう。
もちろんそれでも十分な効果を発揮しますが、複数のサービスを並行して利用している場合は、1か所で把握するようにすると、より効率的に管理ができます。
その際、日常業務の延長ですぐにできるのは、ExcelやGoogleスプレッドシートなどを使って表組みシートを作ることでしょう。
他にも無料で使えるプロジェクト管理ツールを使う方法もあります。
進捗管理のためだけに、新しいツールの使い方をマスターするには時間も労力もかかるため、より効率的に進めたい場合には自分が慣れているツールを使うと良いでしょう。
以下に、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表組みシートで管理する場合の例を記載します。
参考にしてみてください。
企業名 | 株式会社〇〇〇 | 株式会社△△△ | |
業界 | □□□業界 | □□□業界 | |
職種 | 営業 | 営業 | |
応募経由 | リクナビNEXT | リクルートエージェント | |
次回タスク・締め切り | 内定承諾(●月●日〆) | 最終面接の日程調整(●月●日〆) | |
書類選考 | 日程 | ●月●日提出/ ●月●日通過 | ●月●日提出/ ●月●日通過 |
提出書類 | ・職務経歴書 ・履歴書 | ・職務経歴書 ・履歴書 | |
カジュアル面談 | 日程 | ●月●日実施 | なし |
担当者 | 人事採用担当・営業マネジャー | – | |
メモ | 仕事内容は現職と大きくは変わらないが、社風が合いそう | – | |
改善点・ 次への準備 | チームワークを重視していそうなので、面接に向けてエピソード洗い出しておく | – | |
1次面接 | 日程 | ●月●日実施/ ●月●日通過 | ●月●日実施/ ●月●日通過 |
担当者 | 人事部 採用担当 | 人事部 採用担当 | |
メモ | チームワークの話は確かに受けたが、それよりも具体的な顧客の課題を推察する方法や解決策をどう導いたかの話を詳しく聞かれた | 職務経歴書の内容を元に、淡々と面接が進んでいった印象。 | |
改善点・ 次への準備 | 具体的な数字や背景を思い出せない部分もあったので、次までに見直しておく | 特になし | |
2次面接 | 日程 | ●月●日実施/ ●月●日通過 | ●月●日実施/ ●月●日通過 |
担当者 | 営業部 シニアマネジャー | 営業部 リーダー | |
メモ | 顧客の課題解決に向けてどんなことができるかの話がメインだった。振り返っておいて良かった。シニアマネジャーさんは頭の回転がすごく早い上に、人柄も良くて一緒に働いてみたい! | 直属の上司になる予定のリーダー職の人との面談。これまでの仕事で特に印象に残っている仕事などを深掘りされた。 顧客の課題解決に向けてどんなことができるかの話よりも、チームワークをどう維持するかの話の方が受けた。 | |
改善点・ 次への準備 | この会社に自分の経験をどう活かせるかをもっと具体的に話せるようにしておく。 | 個人成績だけではなく、チームワークも大事にしようと思ったきっかけを整理しておく。 転職エージェント担当者に、どういうタイプの人が過去に採用されていたのか確認しておきたい。もしかするとちょっと社風などが合わないかも? | |
最終面接 | 日程 | ●月●日実施/ ●月●日通過 | ●月●日〜●月●日で面談調整中 |
担当者 | 役員 | 営業部 マネジャー予定 | |
メモ | 会社の目指す方向性と、自分の志向との確認が中心だった。改めて、経営陣のビジョンを聞いた上で、仕事内容をもう一度考えると、めちゃくちゃ面白みを感じた | 日程打診をしたがまだ返信がないので、週明けにはエージェントに状況確認をしておきたい。 | |
改善点・ 次への準備 | 最終面接だからとすごく緊張してしまったので、事前にもっとイメトレをしておくといいかも。 改めて仕事内容について詳細を聞きたくなったので、同僚との面談を依頼する。これまで仕事内容にフォーカスしすぎて、働き方をしっかり確認してこなかったので人事に教育制度などを確認したい。 | ||
内定後の面談など | 日程 | ●月●日〜●月●日で面談調整中 | |
メモ | |||
内定承諾 | 回答期限 | ●月●日まで | |
メモ | |||
魅力点 | 社風が合っている、社員の人柄が魅力的、仕事内容が面白そう | 想定年収が高い、通勤が楽、仕事内容が面白そう | |
懸念点 | 教育制度や入社後のキャリアパスが不明 ←メールで確認中 | そこまで魅力に感じる社員にまだ出会えていない(まだ2次面接だからかも?もしも内定出たら同僚との面談を依頼したい) | |
志望順位 | 1位 | 2〜3位 |
「進捗管理・応募管理」が転職活動にもたらす6つのメリット
転職活動で応募した企業数や選考の進み方、合否状況といった進捗・応募管理をしっかりとすることには、以下のような6つのメリットがあります。
・自分の転職活動の状況がすぐに把握できて効率が上がる ・提出物やメール対応の抜け漏れをなくすことができる ・転職活動の課題に気がつき、対応しやすくなる ・選考スピードを自分でコントロールしやすくなる ・企業の比較検討がしやすくなる ・今後転職活動をする際の振り返りや参考データになる |
メリット① 自分の転職活動の状況がすぐに把握できて効率が上がる
転職活動では、より自分に合った企業を探すために、複数の転職サイトや転職エージェントを並行して活用することも少なくありません。
その際、複数のサービス経由で、同時にいくつもの企業の選考が進むようになると、だんだんと情報が散らばっていき、日程調整や選考準備に必要な情報を探すだけで時間がかかってしまい、転職活動全体の効率が落ちてしまいます。
進捗・応募状況を自分で一元管理すると、自分の転職活動の状況を、必要な時に、必要な情報だけを簡単に把握できるようになり、転職活動をスムーズに進めることができるようになります。
メリット② 提出物やメール対応の抜け漏れをなくすことができる
進捗・応募状況を自分で一元管理すると、次の選考に向けてどんな準備が必要なのか、日程調整のメールに返信していない企業はないかなどの確認がしやすくなり、対応のヌケモレを減らすことができます。
また、転職サイトと転職エージェントといった別経路で二重に応募をしてしまったり、以前落ちていたところに意図せず再応募してしまったりなどのミスを減らすこともできるでしょう。
メリット③ 転職活動の課題に気がつき、対応しやすくなる
進捗・応募状況を一元管理するようになると、どんな企業でどれくらい選考を進めることができたかだけではなく、どんなポイントでつまずいているのかといった転職活動の課題にも気がつきやすくなります。
例えば、「〇〇業界はスムーズに選考が進んでいるのに、△△業界はほとんどが2次面接で落ちている」などの傾向が掴めれば、「△△の選考では、現場責任者との面接に課題があるのかもしれない。
業界との接点を見直して、面接でアピールするエピソードに盛り込もう」などと、自分なりに対策を取ることもできるでしょう。
メリット④ 選考スピードを自分でコントロールしやすくなる
転職活動を進めていると、「第1志望よりも先に第2志望以下の企業から内定が出てしまい、承諾するかどうか迷う」といった問題が起こりがちです。
企業が内定承諾を待ってくれる期間は限られているので、できるだけ同じタイミングで内定がでるようにするには、各社の選考スピードを把握し、面接日の調整をしたり企業からの回答が遅い場合は催促したりする必要があります。
各社の選考スピードを記録しておけば、「第1志望のA社は選考スピードが遅く、このままでは第2志望のB社の方が先に最終面接に進みそうなので、A社にはエージェントを通して日程調整を早めに打診して、B社の面接日程は遅めに設定しよう」などと、自分で転職活動の進み具合をコントローすることにも役立ちます。
メリット⑤ 企業の比較検討がしやすくなる
進捗・応募管理とともに、各企業の面接で感じたことなどをメモしておくと、各企業の比較検討がしやすくなります。
さらに、選考を進めていくたびに、志望順位付けを見直し、面接で感じた魅力や懸念をメモしておくと、「次の面接の逆質問ではこれを聞いておこう」「内定承諾前に同僚との面談を依頼して〇〇を確認しよう」といった整理にも役立つでしょう。
内定承諾前に慌てて各社を比較するよりも、少しずつ時間をかけて比較しておくと、より納得のいく転職ができるようになるはずです。
メリット⑥ 今後転職活動をする際の振り返りや参考データになる
進捗・応募管理をしてデータを残しておくと、次回以降の転職活動にも役立てることができます。
一般的に、久しぶりに転職活動をすると、勘所をつかむのにしばらくは戸惑いがちです。
しかし、過去のデータがあれば、「自分はこんな特徴を持つ企業と相性が良かった」「こういうエピソードが受けた」「傾向として一次面接が苦手だった」などと振り返ることができ、その戸惑いを最小限にすることができるかもしれません。
例えば、「自分は人事担当者との面接は苦手だったけど、専門用語を使わずに汎用的なポータブルスキルにまつわるエピソードを多めに話すようにしたら面接通過率が上がったんだよな。今回の転職活動では人事担当者との面接では最初からその点を意識しておこう」などと、最初から対策を立てた上で新しい転職活動に取り組むこともできるでしょう。
まとめ
転職活動は、刻一刻と状況が変わるものですが、進捗管理・応募管理がしっかりできていると、様々な場面に対応がしやすくなるでしょう。
例えば、転職先の希望や方向性が変わった際に方向転換を迅速にできますし、活動が上手く進まない時には対策を取りやすくなります。
転職活動の終盤では、どこに内定承諾をするか困らないように、選考スピードの調整をする時にも役立ちます。
逆に、自分で進捗管理・応募管理をしていないと、転職エージェントや企業が提示する日程に流されるようにして選考が進んでいくため、第1志望の結果がまだ出ていない中で、第2志望の内定承諾をするべきかどうか迷うといったような状況に陥りかねません。
最初は進捗管理を億劫に感じる人でも、実際に選考プロセスが進んでいくことが可視化されると過達成感を感じ、転職活動にやり甲斐を感じるきっかけになるかもしれません。
ぜひ、この機会に、前述のフォーマット例を参考にしながら、進捗管理・応募管理をしてみてください。
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