フリーランスの職務経歴書の書き方のコツ【サンプル・例文付】

フリーランスや個人事業主からの転職を考えるとき、職務経歴書にはどのような内容を書くべきなのでしょう。
職種別の例文とともに、書き方のポイントや注意点について、組織人事コンサルタントの粟野友樹氏に聞きました。
目次
そもそも「フリーランス」とは
自由な働き方というイメージが広がる「フリーランス」。そもそもフリーランスとはどういう人を指すのか、定義から確認しましょう。
新語時事用語辞典によると、フリーランスとは、「企業や団体に所属することなく、個人として仕事を請け負う活動・契約形態、および、そのような形で仕事を請け負う人」を指します。
企業と雇用契約を結ぶのではなく、プロジェクトごとに契約を結ぶ働き方であり、自分の裁量で仕事内容や仕事量を決めることができる良さがあります。
似た言葉として「個人事業主」があり、こちらは、「事業所得を得ている個人を指す税制上の区分」を指します。
個人事業主として開業するには、税務署に「開業届」を提出しなければいけません。
フリーランスや個人事業主から転職する場合、企業は職務経歴書で何をチェックしている?
では、フリーランスや個人事業主として働いていた人が転職する場合、企業間での転職と違って、どのような部分を見られるのでしょう。
職務経歴書でチェックされやすい内容を「人物タイプ」「経験スキル」の2点から整理していきます。
チェックポイント1.「人物タイプ」
フリーランスや個人事業主は働き方の自由度が高いため、「企業勤めは合わないのではないか」と思われがちです。
企業としては、正社員として雇用され働く “適性があるか”、企業に“定着してくれそうか”は気になるところ。
それらを確認するためにも、転職しようと思った理由や志向を踏まえた人物タイプは見ておきたい点となるでしょう。
そこで、過去に会社員としての経験があれば、どういった仕事をどのくらいの期間していたのか、在籍期間や転職回数も合わせて書いておくといいでしょう。
また、なぜフリーランスから正社員への転職を希望するのか、理由や背景もチェックされるポイントになります。
例えば、「仕事がない/事業がうまくいっていないので、安定を求めて転職を考えたのではないか」という懸念は持たれがちです。
そこで、企業から理解を得やすい理由を言語化しておくことが大切です。
例えば、「フリーランスは経験スキルの切り売り感があり、成長環境を自分だけでは用意しにくい」「大きな案件の上流部分や決定権を持って関わりづらい」など、働き方や働きがいの部分で物足りなさを伝えられるといいかもしれません。
チェックポイント2.「経験スキル」
フリーランスとして、具体的にどのような案件を任され、専門性や経験スキルの幅はどれほどあるかも、きちんと記すべきポイントです。
顧客名を出せないケースは多いかもしれませんが、
- 案件の内容
- 案件での立ち位置や業務範囲(上流・中流・下流でどこまでできるか)
- スキル(プログラミング、デザインソフト、資格、語学など)
から、専門性の高さや経験の幅広さ、知見、ノウハウ、実績を伝えましょう。
フリーランスや個人事業主の方は、特定の業務領域だけを専門特化していたり、業務の中下流部分をアウトソーシング的に担当していたりするケースも多いでしょう。
そのため、人物タイプの組織適性と合わせて、経験スキルの面でも企業の求める人材に合致するかが大事なポイントになります。
専門性の高さが売りになる募集もありますが、正社員として雇用される場合、担当業務+αの仕事を柔軟にこなせる力を求められることもあるでしょう。
「専門性は高いけれど、ほかの業務は経験がない」となれば、年収を下げて若手ポテンシャル人材を育成しよう、と考える企業もあるからです。
将来はマネジメントを希望するなど、キャリアの幅を持たせて書くことも大切です。
フリーランスや個人事業主の職務経歴書の書き方
フリーランスや個人事業主の方が職務経歴書を書く場合、具体的にどのように経歴やスキルをまとめていけばいいのでしょう。
項目ごとに注意すべきポイントとともに、具体的な職種別の記述例を見ていきましょう。
職務要約
フリーランスとしてどのような仕事をしてきたのか、具体的な業務内容や実績に加え、フリーランスになるまでに正社員の経験がある場合は、その経緯も書きましょう。
業務内容や実績
経験した業務がイメージできるように、仕事を請け負った企業や期間をできるだけ詳しく記載し、大変だった業務や改善したプロセスも伝えましょう。
プロダクト名やURLなどを入れるとより分かりやすくなります(クライアントとの守秘義務契約で公開できない情報は入れず、面接などで聞かれた場合に開示できる範囲で回答します)。
例えばエンジニアの場合は、携わったプロダクトの売上金額や利用者数、受賞歴などを示すと、読み手も理解しやすくなります。
資格
各職種で必要な認証資格や、〇〇検定1級/準1級といった高度なもの、業務に活用できそうな資格を記載しましょう。
自己PR
組織に属していないフリーランスは、「組織の一員として働けるのだろうか」「協調性やコミュニケーションに不安はないだろうか」などと思われがちです。
自己PRではこれらの不安を払拭できるように、チームでプロジェクトを遂行した事例や、立場や役割の異なるメンバーで協調したエピソードなどを交えて記載するといいでしょう。
志望動機
フリーランスからの転職で企業がもっとも注目するのは、「なぜフリーランスから企業への転職を決めたのか」という点です。
応募先企業の取り組みやプロジェクト実績などから、「(フリーランスよりも)より大型案件に携われ、成長の機会があると感じた」「上流工程の仕事に挑戦したい」などの思いを伝え、自分の経験やスキルがどう生きるのか、いかに貢献できるかを合わせて明記しましょう。
フリーランスや個人事業主の職務経歴書サンプル・例文
【フリーランスの職務経歴書の書き方例】エンジニアの場合
職務要約: 大学卒業後、株式会社〇〇でシステムエンジニアとして保守運営業務に約3年従事。ECサイトを手掛ける株式会社△△に転職し、新規Webサービス開発のリーダーとしてマネジメントを約2年経験。その後、フリーランスエンジニアとして活動し、新規Webサービスの立ち上げやSaaS開発などを手掛けている。 主な職務内容: 株式会社〇〇 スマートフォンアプリ「***」開発プロジェクト 20××年×月 〜 20××年×月 新規機能開発や既存機能の改善を担当 担当フェーズ:要件定義〜実装 メンバー/役割:〇人/リーダー 開発言語:***、***、*** コミュニケーションツール:△△、△△ 実績: ・リリース3か月で〇〇万回ダウンロードを突破 ・Webメディア「**」での特集で、開発者としてインタビュー掲載 ・20××年に〇〇アワードで**賞を受賞 アピールポイント: 短い納期でのプロジェクト進行の中でも、ユーザーインタビューやABテストを重ね、スピーディな改修を重ねました |
【フリーランスの職務経歴書の書き方例】デザイナーの場合
職務要約: **美術大学を卒業後、○○デザイン事務所で3年経験を積んだのち、個人事業として△△クリエイティブオフィスを設立。中小企業のウェブサイト制作、広告企画や企業PRのコンサルティングなどに従事した。営業から制作まで一貫して携わり、デザインチームを組んでの大型案件のプロジェクトマネジメント業務も経験した。 業務内容: ・ウェブサイト制作/月間約〇件(うち大型案件〇件) ・企業PRの企画やコンサルティング/経験件数〇件 制作実績(一部):飲食店・A社さま 新規ホームページ制作 https://xxx・・・xx プロデューサーとして、顧客折衝からデザイン企画提案、外部協力会社へのディレクションまでプロジェクト全体を統括。年間〇PVを達成。 スキル: ・HTMLコーディング ・JavaScript/jQuery ・Illustrator CC・ Photoshop CC アピールポイント: <クライアントニーズをくみ取ったディレクションスキル> 外部協力会社を複数束ね、品質を高く保った上で進行管理を徹底するディレクションを多く担ってきました。クライアントニーズに応じた改善案の提案により、「サイト経由での売り上げが〇%上がった」「PVが〇%伸びた」といった評価を得ています。 |
まとめ
職務経歴書で数字や固有名詞を記して具体的な実績をアピールする点は、フリーランスでも企業に所属している人でも大きく変わりません。
フリーランスの方は、フリーランス特有の、定着懸念や協調性懸念を持たれがちなことを理解した上で、自己PRや志望動機を考えていくことが大切です。
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