「会社に居づらい」と感じたときはどうすればいい?原因と対処法
「会社に居づらい」と感じているけれど、そんなことで悩むのは自分だけ?いっそのこと転職を考えるべき?─このような悩みを持つ社会人は少なくありません。
会社に居づらいと感じたるさまざまな原因とその対処法などについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏に話を聞きました。
目次
会社に居づらいな…と感じるのは珍しいことではない
転職相談を受けていると、会社に居づらいという話を聞くのは珍しいことではありません。特に、転職した直後から3カ月ぐらいまでの間にこの悩みを持つ人が多い印象です。
転職すれば、新しい職場と新しい人間関係の中で新しい仕事に取り組むわけですから、ときには居心地の悪さを感じる瞬間があるのも仕方のないことでしょう。
ただ、そのような居心地の悪さ、居づらさはどこでも生じ得るものです。ほかにも、育休からの復帰後や、人事異動があった後などにもこの悩みを持つようになる人がいます。
「居づらさ」を感じてしまう主な原因
働く上で「居づらい」と感じてしまう理由はさまざまあります。代表的な4つのパターンを見てみましょう。
人間関係がうまくいかない
上司との人間関係では、
- 何かと口は出すけれど自分の提案は聞き入れてくれない
- 仕事のやり方や価値観が合わない など
同僚との人間関係では、
- 自分より頑張っていないのに評価されている
- 年齢ギャップがあって話が合わない(コミュニケーションがとりにくい)
- 未だに過去の成功体験にこだわっている(年輩で頭が固い) など
このように思う対象がいる、という原因が考えられます。
期待されたような成果が出せない
大手企業から中小企業やベンチャー企業に転職したような場合、
- 前職では課長から部長へと手順を踏んで仕事を進めていたのに、現職では即断即決で進めていくので仕事のスピード感に追いつけず、ミスを多発してしまう
- 逆に、ベンチャー企業から大手企業に転職したような場合、前職の習慣で勝手に仕事を進めてしまって成果に結びつかない
- 「部長がスカウトした人材だから」など、周囲の過度な期待と実際の実力にギャップがある
などの原因が考えられます。
ライフステージの変化などにより働き方を変えざるを得ない
産休・育休からの復帰、親の介護や障がいのある子どもの育児との両立など、ライフステージの変化に伴って働き方を変えなくてはならない場合に居づらさを感じることは少なくありません。
例えば、
- 時短勤務をしているために周囲に負担をかけているような後ろめたさを感じてしまう
- 以前は責任ある仕事を任されていたのに復帰してみたらポジションがなかった
など、自分が思い描いていたキャリアパス通りにいかない焦りが原因のひとつとして考えらえます。
会社の社風に合わない
会社の社風として、
- トップダウン(ワンマン社長)
- 保守的(昔ながらのやり方に固執する、新しいやり方を取り入れることに消極的)
- 新卒文化(新卒社員が中心で同じタイプの人間が多く、多様性に乏しい)
などが含まれると、それに合わないために違和感や孤独感を感じ、原因となる場合があります。
会社に居づらいな…と感じたら、試してほしい4つのステップ
しかし、これらの原因で居づらいと感じるようになったからといって安易に転職してしまっては、同じ理由で短期離職を繰り返すことにもなりかねず、自分のキャリア形成にはプラスになりません。
「会社に居づらいなら転職すればいい」という考え方も否定はしませんが、せっかく目的があって転職し、実力を評価されて入社したわけですから、焦って転職を考えることはありません。
まずは自分でできる次の4つのステップを試しつつ、3~6カ月間ぐらい様子を見てみましょう。
【ステップ1】居づらさを感じる原因を整理する
まずは、どういう理由や状況で居づらいと感じているのかを明らかにしましょう。
なぜ(Why)、どんなときに(When)、誰に対して(Who)、何(What)を感じているのかを書き出して、可視化するのです。一人で考えるのではなく、同僚、知人、家族などに相談しながら整理していくのもいいでしょう。
【ステップ2】居づらさのレベルを明らかにする
次に、居づらさの程度はどれぐらいなのか(How much)を明らかにしましょう。
ある特定の同僚と意見が衝突して居づらさを感じている、というレベルなら、時間が解決してくれる可能性もあります。その問題をいま解決しないと本当にその会社に居られないのか、それとも様子見できるレベルなのかを冷静に判断してください。
【ステップ3】居づらさを解消して残りたいのかどうかを考える
「居づらさを解消して、その会社に残りたいと思えるぐらい、その会社への愛着、仕事のやりがい、仲間意識があるか」を考えましょう。
例えば、トップダウンの社風が嫌で居づらさを感じるが仕事にやりがいは感じているという場合、
「伝え方は良くないが、言っていることは納得できると受け止められる」
「そのことについては気にせずにやり過ごすことができそう」
などと考えられるなら、それは工夫して乗り切れるレベルの居づらさ、と判断することもできます。その結果、やりがいを優先してその会社に残るという決断もできるのではないでしょうか。
【ステップ4】居づらさを解消するために行動する
その会社に残りたいと思えるのであれば、「そのためにできることは何か」を考え、行動に移しましょう。行動の中には考え方を変えたり、距離の取り方を変えることも含まれます。
例えば、人間関係であれば、同僚と一定の距離を置き、感情ではなくビジネスをする上で必要な良い面だけに目を向けて付き合うなど、割り切って対応するのです。まさに距離を取る手段ですが、職場の席替えひとつでも状況を変えられることがあります。
それでもうまくいかないときは、異動や転勤という選択肢も考えてみてください。
また、周囲に働きかけてサポートを得ることも、自分でできる行動の1つです。
例えば、育休明けで周囲への後ろめたさやキャリアに対する焦りが居づらさの原因であれば、上司に相談して業務負担を減らしてもらったり、目標設定を見直したりすることで軽減される可能性があります。
こうしたサポートを求める先は、社内だけに限りません。配偶者や親族をはじめ、育児であれば保育所やベビーシッター会社、介護であれば介護事業者、宅配食やハウスクリーニングなど、アウトソーシングを利用することも視野に入れましょう。
自ら動くことで理想のワークライフバランスに近づけられれば、会社での居づらさの解消につながるかもしれないのです。
会社に居づらいと感じたが、対策を打って解消した事例
ここでは、何らかの理由によって会社で居づらさを感じた人々が、その後、改善策を講じ解消させた事例を紹介します。
【事例その1】上司とのコミュニケーション方法を見直し、割り切る
40代の上司は一見寛容で提案に賛同してくれるが、口先ばかりで動いてくれない。そのことが繰り返された結果、Aさんは上司を軽んじるようになってしまった。上司もそれを察したのか、Aさんに対して会社の方針や状況を伝えなくなり、別部署の同僚などから話を聞いて知るしかなくなった。人事評価も、自分では目標に対して一定の成果を出して頑張っているつもりだが、結果は芳しくない。他部署の管理職や経営陣からは、「能動的に仕事をしていない」「会社の最新状況を理解していない」と見られるようになってしまった。
【対策】上司に対する感情的なしこりは消えないが、「業務を行う上で、このままでは自分にとって不利益だ」と気持ちを切り替え、上司の性格を分析してコミュニケーションの取り方を変更することに。上司は新しい事案を経営陣に説明するための資料を作成するのが面倒なのだと理解し、Aさん自らが社内稟議用の資料を作成し、その資料を上長に渡して稟議に挙げてもらうようにした。
【ポイント】自分の企画提案を実行するという目的のために、上司との付き合い方を冷静に考えた。上司は自分のフォローに対して悪くは扱わないので、それ以上のコミュニケーションは気にかけないよう割り切った。
【事例その2】大手で培った過去のやり方を捨て、新しい手法を見習う
前職の大手外資系IT企業での営業経験と実績を買われ、マネージャー候補で中途入社したBさん。しかし、スタートアップベンチャー企業の仕事のスピードや変化についていけない。業界未経験の20代のスタッフは、社長に叱咤されながらも高い成果を出しているので、Bさんとしては立場がない状態。ここままでは実力発揮できそうにないと、前職の経験を活かせる大手企業に再び転職することも考える日が続いた。
【対策】キャリアについてあらためて考え、「成果が出せないまま終わりたくない」と、留まることを決断した。まずは前職で培ったやり方をアンラーニングして、若手営業スタッフの提案資料や行動を参考にして学んだ。また、社長と部長に営業同行してもらってスタートアップベンチャーの営業手法を学ぶなど、自力と上司のサポートを受けて成果出しにつなげている。
【ポイント】大手企業で培った知識やスキルに固執することなく、スタートアップ企業の仕事スタイルを見習った。
【事例その3】家庭の事情を思い切って周囲に説明し、相談に乗ってもらう
2人目の子どもを定期的に病院や学習支援サービスに連れていく必要がある中、上の子どもは小学校低学年、夫は営業担当で残業がかなり多いという状況。そのためしばらくは早朝に出勤し、仕事を家に持ち帰って対応していた。体力的にきついうえ、頻繁な早退により周りに迷惑をかけているという罪悪感から、仕事が余計に空回りし、家庭でも夫と衝突するようになってしまった。
【対策】思い切って上司と相談した結果、ほかのスタッフに業務を一部肩代わりしてもらい、業務委託も活用して業務負担を軽減することができた。これまでの勤務態度と実績から信頼度が高かったので、在宅勤務も許された。遠方のため遠慮していた実家にも助けを求め、週に数回泊まりがけで母親に来てもらえるようになった。育児と事務作業の負担が減った分、企画業務に集中できるようになり、仕事が面白いと思えるまでに回復した。
【ポイント】10年近く勤め、会社にも仕事にも愛着があるので、Cさんの中に辞めるという選択肢はなかった。自分一人で抱え込むのをやめて上司や両親に相談したことで、想像以上のサポートを得ることができた。
【事例その4】合わないと思っていた社風でも、自分に思い込みや偏見がないか確かめてみる
新卒入社者が過半数を占め、管理職も経営陣もほぼ新卒生え抜きという同質性が高い会社に中途入社したDさん。自分なりの営業ノウハウを話しても、「ベテランの◎◎さんがこれが正しいと言っている」「ずっとこのやり方でやってきている」など、つれない反応ばかり。しだいに、前例踏襲や過去に高い成果を出した個人の手法が更新されないまま会社基準となっている風潮に違和感や反発を覚え、周囲と距離を置くようになってしまった。
【対策】孤立するのは本意でなかったので、社内の飲み会やプライベートの交流に少しずつ参加することにした。すると、周囲も上司の教えに真面目に従っているだけであることや、いろいろな思いを抱えながら仕事をしていることなど、オフの付き合いで初めて見えてきたことがあった。これまでのノウハウに固執している自分にも気づき、それから素直にその会社の仕事基準を受け入れて取り組んでみた。結果、今まで以上の成果を出せるようになり、同僚もDさんの意見に耳を傾けてくれるようになって、状況が好転した。
【ポイント】合わないと思い込んでいたのは、自分の考え方や受け止め方に偏りがあったためだと気づき、組織のやり方を謙虚に学んだ。
いろいろ試してもどうにもならないときは転職を考える
居づらさを解消する最後の手段ともいえるのが、転職です。
転職は、冒頭で紹介した【ステップ1】から【ステップ4】を試しても居づらさが解消されない場合の【ステップ5】といってもいいでしょう。
できれば「会社に居づらい」と感じるような状況は避けたいですが、実はこの状況、転職する上で大事な軸を明らかにできるチャンスでもあります。
なぜなら、例えば「トップダウンの社風が合わなかった」のであれば、自分には「フラットな社風が大事なのだ」と、転職先を探す際のキーワードが明確になるからです。
転職する場合、面接では転職理由を聞かれますが、居づらかったことには触れないか、事実として軽く伝える程度にとどめておきましょう。会社の批判や自己反省だけを述べても、決して有利には働きません。
それよりも、居づらさの改善に向けて取り組んだことや成長したことなど、ポジティブな内容を簡潔に伝えるよう心がけましょう。
居づらさを感じる人の中には、状況によって後ろめたさも同時に感じてしまう人がいます。しかし、何も悪いことをしたわけではありません。いろいろトライした結果その会社でうまくいかなかったとしても、あなたの転職軸にマッチする会社で成果を出せばいいのです。
ですから、自分を否定して落ち込んだりせずに気持ちを切り替えて、快く活躍できる場を探しましょう。
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