インセンティブ制度とは?転職時の注意点、歩合制・報奨金・賞与との違い
転職活動の求人票に「インセンティブ制度あり」と記載されていることがありますが、インセンティブの内容は企業によって様々。
具体的な内容のほか、歩合制度との違いや、転職時の注意点、よくある質問について組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに聞きました。
目次
「インセンティブ」はどのような制度?歩合制度・賞与・報償金とどう違う?
インセンティブ制度と混同しがちな制度に、歩合制度、賞与制度、報奨金制度があります。
それぞれとの違いについて触れながら、インセンティブ制度とはどんなものなのかを見ていきましょう。
インセンティブ制度と歩合制度の違い
インセンティブは、目標達成に対して与えられる給与等の報酬ことを指します。歩合給と混同されているケースもありますが、リクナビNEXTの求人では、インセンティブと歩合給については定義をそれぞれ次のように定めています。
■インセンティブあり
目標達成に対して、給与等のインセンティブがある求人であること
■歩合給あり
売上の一定割合、または、契約等の1成果単位あたりに対して支給される歩合給がある求人であること
インセンティブが歩合と大きく違う点は、「給与等」と記載されているように「支給されるのは給与(現金)とは限らない」ということです。昇進、昇格、旅行、食事、物品など企業によって様々な形で支給されるのが特徴です。
賞与制度・報償金制度との違い
賞与は、仕事の成績や企業の業績に応じて臨時または定期的に与えられる現金報酬のことで、一般的にはボーナスと呼ばれています。
例えば、求人票に「賞与2回」とある場合には、年に2回(多くは夏期・冬期など)ボーナスが与えられることを指します。
また、報奨金は、勤労をたたえ、さらなる努力を奨励する意味合いで贈られる現金報酬のこと。インセンティブと意味合いは近いですが、賞与やインセンティブとは異なり、タイミングが定まっていないことも多いようです。
賞与も報奨金も、どちらも現金報酬のことを指すので、「現金支給に限らない」インセンティブとは異なります。
支給されるのは現金とは限らない。「インセンティブ」にはどんな内容がある?
インセンティブ制度の最大の特徴は、歩合給とも賞与とも報奨金とも異なり、支給されるのが現金とは限らないということです。
では、具体的にはどのようなタイミングで、どんな内容がインセンティブとして支給されることがあるのでしょうか。いくつか例を見てみましょう。
インセンティブをもらうタイミング
インセンティブが支給されるのは、目標達成をしたときです。
営業職であれば、契約の「件数」や「金額」、「規模(契約期間の長さや、取引先の知名度・企業規模など)」の目標を達成したときなどが多いでしょう。
また、事務職でもミスの削減など、特定の課題や目標を達成したときに支給されているようです。
これらの目標は個人での達成に限らず、グループ全体で達成することが条件になる場合もあります。
インセンティブとして支給される内容例
よくあるインセンティブとしては下記のようなものが挙げられます。
- 現金
- 食事(食事券、チームでの会食、社長との会食)
- 旅行(MVPだけを集めた海外旅行など)
- 研修(著名な特別講師が登壇する社外研修への参加など)
- 物品(名前入り高級万年筆、スーツの仕立て券など)
少し変わったものでは、下記のようなものをインセンティブとして設定している企業もあります。
- 社内向けの表彰動画への出演
- 新卒採用の面接官になれる権利
- 社内で認定されている段位やランクの上昇(社章やバッジのカラーが変わっていくなど)
- ストックオプション
「ストックオプション」とは、あらかじめ決められた価格で株式を取得できる権利のこと。
インセンティブにおけるストックオプションも、インセンティブ報酬として与えられた株式を一定の価格で購入できる権利のことを言います。
インセンティブストックオプションは現金報酬とは違い、権利をもらったあとに株式が値上がりして、権利を行使した時に得たことで初めて報酬となります。海外の役員、幹部社員の報酬として使われることも多いようです。
インセンティブ制度のある会社に転職するメリットと注意点
転職するメリットと向いている人
自分の出した実績に応じた報酬がもらえるというのが最大のメリットです。
目標達成意欲の高い人の場合は、仕事へのモチベーションも高まるでしょう。競争心が高く、目標達成に向けて何事も楽しめるような人も、インセンティブ制度のある会社に向いていると言えるかもしれません。
転職する際の注意点
インセンティブ制度は企業によって様々な内容があるため、求人票に「インセンティブあり」と記載されている場合には、具体的な内容を確認しましょう。そこに魅力を感じるかどうかで、社風とのマッチ度を図るのも一つの手です。
また、インセンティブ制度のある会社に転職をする場合には、下記の点について事前に理解をし、注意しておくと良いでしょう。
①目標達成や成果を重視される社風であることが多い |
インセンティブは目標達成に対して支給されます。そのため、目標達成や、成果を重視される社風である場合も多く、自身の成果が芳しくない場合にはプレッシャーを感じてしまうことがあるかもしれません。
個人目標だけではなく、チーム目標に対してインセンティブが用意されている場合には、成果を出せないと「チームの足を引っ張ってしまっている」と気まずい思いをしてしまう可能性もあります。 |
②支給されるインセンティブが必ずしも嬉しいものとは限らない |
インセンティブは、現金だけではなく様々な形で支給されます。そのため、せっかく目標達成をしても、「自分にとっては嬉しい報酬ではない」ということも考えられます。
例えば、インセンティブが社長との会食であった場合、「社長の考えを身近で聞ける上に、美味しいものを食べられて嬉しい」と感じる人もいれば、「気を遣うだけで楽しめない」と感じる人もいるでしょう。 MVPだけを集めた海外旅行がインセンティブの場合も同様です。「会社のお金で海外旅行ができるなんてラッキーだ」と感じる人もいれば、「同僚と旅行なんてしたくない。ましてや海外だなんて拘束時間も長いし面倒だ」と感じる人もいるでしょう。 支給されるインセンティブが自分にとっては避けたいものであった場合、インセンティブを得ようと頑張る周囲についていけず、居心地の悪さを感じてしまうかもしれません。 |
③「インセンティブ」が「歩合給」の内容になっているケースも |
求人票上で「インセンティブあり」と記されていても、実際には歩合給制度の内容になっている場合があります。インセンティブと歩合給は混同しやすく、企業側が明確に使い分けていないケースもあるからです。
歩合給制を取り入れている企業に転職する場合は、勤続年数や職務経験に関係なく、実力があれば高収入が狙える一方で、実績が出せないと歩合給が少なく収入が不安定になるというデメリットもあります。 納得をして転職をするためにも、面接時に詳細を聞いておくと安心です。 |
歩合給については、こちらの記事を参照ください。
インセンティブ制度に関するQ&A
最後に、インセンティブ制度に関して、転職者の方から多く寄せられる質問にお答えします。
Q:インセンティブ制度の多い業界や職種はありますか?
A:歩合制は取り入れられやすい業界や職種がある程度ありますが、インセンティブ制度は福利厚生としての面も強いので、どんな企業でも導入することができ一概には言えません。あえていうならば、成果に対する報酬なので、営業要素が強い会社や成長途上のスタートアップベンチャーなどに多い傾向にあると言えるでしょう。
Q:インセンティブ制度があると、どのくらい稼げるものでしょうか?
A:歩合制とは違い、インセンティブ制度では支給される内容はお金に限りません。そのため、基本的には「インセンティブ制度=稼ぎ」に直結はしません。しかし、インセンティブ といいつつも「歩合」の内容になっているケースもあります。そのような場合には、平均的なインセンティブの取得率と年収、給与全体におけるインセンティブ報酬額の割合を面接で確認すると良いでしょう。
Q:インセンティブ制度と歩合制度、どちらを導入している会社の方が働きやすいですか?
A:どちらも目標達成に対して支給されるという意味では似ている制度です。より金銭的な高額報酬を狙いたい場合には歩合制の方が良いと言えますが、「インセンティブ制」と記載しつつも内容は歩合制となっているケースもあるので、面接の場でしっかり内容を確認しましょう。また、働きやすさは、社風や同僚との相性も重要です。インセンティブ内容が現金報酬以外の会社の場合は、その内容に魅力を感じるかどうかを、社風とのマッチ度を測る一つの指標にしてみるのも良いでしょう。
リクナビNEXTで「インセンティブあり」の求人を探すには
リクナビNEXTでは、求人のこだわり検索を使うことで「インセンティブあり」と「歩合給あり」を絞り込んで表示できます。
トップページの検索ボックス上にある「働き方を選択」の「賃金の特徴」項目から、「インセンティブあり」または「歩合給あり」をチェックボックスで選択をして求人検索をしてください。
リクナビNEXTの「インセンティブあり」求人とは
→目標達成に対して、給与等のインセンティブがある求人
リクナビNEXTの「歩合給あり」求人とは
→売上の一定割合、または、契約等の1成果単位あたりに対して支給される歩合給がある求人
- タグ:
こちらの記事も読まれています
新着記事
- 2025年3月27日応募書類が自動で作成できる!リクナビNEXTの「レジュメ」機能とは?
- 2025年3月14日転職活動で役立つ!無料の自己分析ツール厳選5種を紹介
- 2024年12月17日第二新卒の転職理由・退職理由|本音も交えた上手い答え方&NG例文
- 2024年12月3日盛り上がらず淡々と終わった面接は、不合格?それとも合格?
- 2024年11月29日コンサル業界の面接特徴|企業のチェック観点と答え方、準備・対策のコツ
- 2024年11月27日自分に合う「ニッチな企業」「隠れた優良企業」の探し方
- 2024年11月19日コールセンターに応募する際のアピールポイント・志望動機の書き方(未経験からの転職)
- 2024年11月1日転職して新規事業開発に携わりたいのですが、未経験では難しいでしょうか?【転職相談室】