転職で有利になる資格は?転職で活かせる職種・業界別資格一覧
国家資格から民間資格まで、様々な種類の資格がありますが、転職で有利になるのはどのような資格なのでしょうか。
転職市場における資格の有効性や、転職で有利に働く資格をまとめました。
目次
資格は転職に有利?中途採用での資格に対する採用担当者の評価とは
資格を持っていると、転職に有利に働くのでしょうか。ケースごとの資格に対する採用担当者の評価をまとめました。
「必須資格」以外は、中途採用では「実務経験」が重視される可能性が高い
ビジネス系の資格には、大きく分けて「業務遂行のために必要となる資格」と、「業務遂行のための知識・スキルが身についているか認定する資格」の2つがあります。「業務遂行のために必要となる資格」とは、例えば電気工事の仕事をするには電気工事士の資格が、調剤の仕事をするには薬剤師の資格が必須となる、といったケースです。
一方で、「業務遂行のための知識・スキルが身についているか認定する資格」とは、例えば介護関連の資格は複数ありますが、介護業務は資格がなくても従事することができます。また、IT系の資格も数多くありますが、資格がなくてもITエンジニアとして開発に従事することができます。
このように、法で定められた資格や、「簿記2級以上」など企業が採用条件として設定されている資格の場合は、応募する求人によっては必ず必要となりますが、中途採用の場合は実務経験を重視する傾向があるため、資格を持っていたとしても必ず有利に働くとは限りません。特に、業務との関連性が低い資格の場合は、有利に働くケースは少ないでしょう。
実務経験を補強する「関連資格」は有利に働くことも
中途採用では実務経験が重視される傾向にあるため、実務経験に対して専門知識・スキルを補強できるような関連資格は、転職で有利に働くでしょう。
例えば、経理財務に転職する際に、「経理の業務経験5年」+「日商簿記2級」や、「財務の業務経験10年」+「公認会計士」などといったケースです。他にも、不動産営業の仕事で「宅地建物取引士」、金融商品のアドバイザリー業務で「ファイナンシャル・プランニング技能士2級」など、業務関連の専門知識を有していることを証明するための資格は、アピール材料の一つとなるでしょう。
未経験職種に転職する場合は、資格取得の姿勢が評価される可能性がある
実務経験がない職種にキャリアチェンジする場合も、企業によっては資格取得の姿勢が有利に働くケースもあります。例えば、未経験からネットワークエンジニアに転職したい場合に、「シスコ技術者認定資格」、未経験から事務職に転職したい場合に、「マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)」などが挙げられます。資格によって学習意欲や基礎知識、入社後の立ち上がりの早さを評価してもらえる可能性があります。
ただし、転職市場では資格が必ず評価されるとは限りません。資格取得に多大なコストや時間を費やすのであれば、転職活動の進め方やアピールポイント・応募書類の見直しを図ったほうが有効に働くケースもあるでしょう。
業界・職種に関わらず、幅広く転職で活かせる資格
業界や職種に限らず、転職の選択肢を広げる資格をご紹介します。運転免許は営業を中心に、TOEICは外資系企業を中心に転職する場合に、役立つ可能性があります。
普通自動車免許
営業を中心に、普通自動車の運転免許が応募条件という求人もあります。特に営業エリアが広い地域では「自動車しか訪問手段がない」というケースもあるため、普通自動車免許は持っておいた方が仕事選びの幅が広がります。
TOEIC
外資系はもちろん、ビジネスのグローバル化を背景に、国内の企業でも英語力を求めるケースが増えています。一般的に、英語力を求める企業が設定するTOEICのスコアの目安は600~800点以上とされているようです。
事務・管理部門で活かせる資格
事務職や管理部門で活かせる資格をご紹介します。未経験の場合はMOSや秘書検定があればPCスキルやオフィスマナーの基本を理解していると評価されるでしょう。職種の実務経験がある方は、関連の専門資格があると転職に有利に働く可能性があります。
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
一般的に、PCスキルの一環とされているExcel、Word、PowerPointなどの操作スキルを証明する資格です。事務職を中心に、持っているとPCスキルの証明となるでしょう。
参考:マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)試験
秘書技能検定
公益財団法人実務技能検定協会が運営する検定で、準1級を含む1~3級までの4つの級が設定されています。秘書や一般事務を中心に、オフィスマナーが身についていることを証明することができるでしょう。
日商簿記
日本商工会議所および各地商工会議所が運営する検定試験で、初級~1級までの4つの級が設定されています。経理を中心に、簿記・会計の知識を有していることを証明することができます。経理や財務に転職する場合は、必要となることが多い資格です。
公認会計士
会計監査を独占業務とする、会計に関する国家資格です。難関資格のため、監査法人、財務会計系のコンサルティングファーム、事業会社の財務会計部門など、公認会計士のニーズは多彩です。
参考:日本公認会計士協会
米国公認会計士(USCPA)
米国公認会計士協会が認定する、会計士資格です。外資系企業やグローバル展開を行っている企業の財務会計部門などで、米国公認会計士の資格を持っていると転職に有利に働く可能性があります。
税理士
税務を行う国家資格です。日商簿記だけでなく、税理士資格も持っていると、経理のスペシャリストとして活躍できるでしょう。税理士法人、財務会計系のコンサルティングファーム、事業会社の財務会計部門などで、ニーズの高い資格です。
参考:国税庁 税理士試験
社会保険労務士
雇用や労務に関する様々な手続きやアドバイスを行う国家資格です。人事経験者が取得していると、転職で有利に働く可能性が高いでしょう。
弁理士
知的財産権に関する業務を行う国家資格です。特許事務所で働くか、企業や研究機関の知財部門に所属するケースが多く、知財のスペシャリストとして活動するのであれば必須となる資格です。
参考:特許庁 弁理士試験
MBA
MBAは学位なので資格とは異なりますが、社会人でMBAを取得する方もいるためご紹介します。経営大学院の修士課程を修了するとMBAを授与されます。経営に関する高い知識・スキルを証明するMBAは、外資系企業や事業会社の経営企画や事業企画といった管理部門、経営コンサルティングファームなどで活かすことができるでしょう。
営業で活かせる資格
営業の場合は、顧客の課題解決に関する資格が活かせる可能性があります。ただし、営業実績や業界知識などが重視されるため、資格が転職で有利に働くケースはそれほど多くはありません。
中小企業診断士
中小企業の経営に関する知識を有し、経営診断やアドバイスを行う国家資格です。独占業務はありませんが、金融機関や経営系コンサルティングファームなどで、中小企業診断士の知識が活かせる可能性があります。
ファイナンシャル・プランニング技能士
家計管理や各種保険、税金やローン計画など、個人のお金に関する分析およびプランを提案する国家資格です。金融商品や不動産の営業などで、ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を持っていると提案の幅が広がるでしょう。
ITエンジニアで活かせる資格
ITエンジニアに関連する資格は数多くあります。ただし、プロジェクトマネジメントの実務経験や、コーディングテストを行う企業も増えているため、資格が直接有効になるケースよりも、実務の証明として取得資格を伝えるケースが多いようです。
情報処理技術者試験
情報処理技術者としての知識・スキルを認定する国家資格です。12種類に分かれており、対象範囲や難易度も異なります。資格手当を給付する企業も多いため、IT業界でキャリアを築くのであれば、取得しておきたい資格です。
情報処理安全確保支援士試験
情報セキュリティに関する知識・スキルを認定する国家資格です。合格者は国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)」の資格保持者となることができます。
シスコ技術者認定
「ベンダー資格」と呼ばれる、シスコシステムズ製品に関する知識・スキルを認定する民間資格です。エントリー、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパート、アーキテクトの5段階が設定され、多くの資格がありますが、CCNA(Cisco Certified Network Associate)や、その上位資格であるCCNP(Cisco Certified Network Professional)が有名です。
オラクルマスター
日本オラクル社が定める民間のデータベース認定試験です。Bronze、Silver、Gold、Platinumの4段階が設定されています。
参考:オラクル認定試験
AWS認定試験
Amazon Web Services(AWS)に関する知識・スキルを認定する民間資格です。基礎、アソシエイト、プロフェッショナルの3段階が設定されています。
参考:AWS 認定
医療系専門職種で活かせる資格
医療系は専門学校や大学での履修が条件となっている資格も多いので、社会人で取得する場合は、大きなキャリア転換の決断が必要となります。
医療事務関連試験
医療事務の仕事は資格がなくても就業可能ですが、医療事務の民間資格もあります。医療事務の基礎スキルを審査する「医療事務審査試験」や、診療報酬明細書(レセプト)の作成スキルを審査する「診療報酬請求事務能力認定試験」が挙げられます。
社会福祉士
「ソーシャルワーカー」とも呼ばれる医療系の国家資格です。社会福祉施設や行政機関などに所属し、日常生活を送るためのサポートを行う仕事です。
参考:公益財団法人 社会福祉振興試験センター 社会福祉士国家試験
介護支援専門員(ケアマネジャー)
要支援・要介護認定者に対して、ケアプランを作成し、自治体や関連の事業者と連携する役割を持つ資格です。実務経験の受験資格があり、「介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)」に合格し、研修を受ける必要があります。
参考:公益財団法人 社会福祉振興試験センター 介護支援専門員試験
建築系専門職種で活かせる資格
建築系は国家資格が多く、実務経験を伴うケースが多い傾向にあります。また、級の単位でできることが限られている点も、建築系専門資格の特徴です。
建築士
設計・建築に関する国家資格です。建築士には全ての建築物の設計ができる1級建築士と、定められた範囲の設計ができる2級建築士、木造の建築物が設計できる木造建築士に分かれています。
施工管理技士
施工管理技術に関する国家資格です。技術範囲および1級と2級に分かれています。
参考: 一般財団法人 建設業振興基金 施工管理技術検定ページ
電気主任技術者
電気工事に関する国家資格です。発電所や工場、ビルなどの電気設備や配線、保安監督の業務を行うことできます。第一種から第三種で分類され、取り扱うことができる電圧によって分けられます。
電気通信主任技術者
電気通信設備に関する国家資格です。電気通信ネットワークの工事や維持の管理責任業務を行うことができます。「伝送交換主任技術者資格者証」と「線路主任技術者資格者証」があります。
参考:一般財団法人日本データ通信協会 電気通信国家試験センター
不動産系専門職種で活かせる資格
不動産業界で活かせる資格をご紹介します。不動産業界でポピュラーな資格は“宅建”と呼ばれる宅地建物取引士です。
宅地建物取引士
不動産の売買や貸借取引に関する国家資格です。不動産業界でニーズの高い資格で、「宅建必須」「宅建優遇」としている求人や、資格手当を給付している企業も多いため、不動産業界でキャリアを築くのであれば取得しておきたい資格です。
不動産鑑定士
不動産の鑑定評価に関する国家資格です。不動産の鑑定評価は不動産鑑定士の独占業務であり、資格がないと鑑定を行うことはできません。不動産鑑定士は、鑑定法人やデベロッパー、金融機関などで活かせる資格です。
マンション管理士
マンション管理に関する国家資格です。マンション管理組合の運営や維持管理に関するアドバイスを行います。都心部を中心に大規模マンションが増加しており、建物の維持管理に対する注目度は今後も高まるでしょう。
参考:公益財団法人マンション管理センター マンション管理士試験
管理業務主任者
マンションの委託契約に関する重要事項や、管理事務の報告を行う国家資格です。マンション管理士と試験範囲が同じで、合格者・合格率ともに管理業務主任者の方が高い傾向にあります。マンションの管理の求人の中には、実務経験とともに、管理業務主任者を優遇するケースもあります。
飲食系専門職種で活かせる資格
飲食業で必要となる主な資格をご紹介します。特に調理師はジャンルや実務経験が重視されるため、転職で資格が有利になるというケースは少ないでしょう。
調理師免許
調理に関する国家資格です。飲食店を開業するには食品衛生責任者が必要ですが、調理師や管理栄養士・栄養士の資格があれば、養成講習を受けずに食品衛生責任者になることができます。
管理栄養士・栄養士
管理栄養士は食品や調理に関する国家資格です。栄養士は都道府県知事の免許を受けた資格で、養成施設の卒業で資格を得ることができますが、管理栄養士は国家試験に合格する必要があります。どちらも医療機関や学校給食、高齢者や児童施設などで活かせる資格です。
転職に活かせる資格関連のQ&A
資格に関するご相談をまとめました。
Q. 資格を持っていなくても転職できますか?
A. 医師や看護師、建築士など、定められた資格が必要な独占業務や、ドライバーや社用車でのルートセールスなどにおける運転免許など、職種や業務内容によっては資格が必要な求人もありますが、中途採用では資格よりも経験・スキルが重要視されることが一般的です。 資格を持っていなかったからといって、転職できないわけではありません。転職活動と並行して積極的にスキルを磨きましょう。
Q. 応募先企業に関係ない資格を持っていますが、それもアピールすべきですか?
A. 資格を通して何をアピールしたいのかという目的が明らかでない場合は、資格には触れないほうがよいでしょう。
Q. 20代女性、転職するか資格の勉強をするか悩んでいます
A. 「手に職=資格」だとすると、誰にでも取得できる簡単な資格では“手に職”にはなりません。資格を取りたいのではなく、「手に職をつけたい」のであれば、資格にこだわる必要はないかもしれません。資格取得や転職にこだわらず、まず「あなたが身に着けたい専門性」について掘り下げてみましょう。
Q. エンジニアの転職で有利になる資格は?
A. ITエンジニアの場合、基本的に資格よりも業務経験が重視される傾向にあります。多くのIT資格は業務知識を客観的に証明する材料のひとつのため、その資格が必ずしもキャリアにプラスに働くとは限りません。
資格勉強に時間を費やすよりは、転職活動に一歩踏み出して、エンジニアとしてマーケットから何が求められているのかをしっかりと理解し、スキルや経験を磨けるポジションを探した方が将来的な市場価値は高くなるでしょう。
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