転職したいけれど、興味のある業界が多すぎて決まらない。業界を選ぶときのポイントは ?【転職相談室】
転職したいという思いはあるものの、興味のある業界が多すぎて絞り切れない…。
未経験業界にも挑戦したいけれど、これまでの経験・スキルが活きる同業界の方がいいかも …、と頭を悩ませる20代女性の声に、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんが答えます。
目次
転職したいけれど、興味のある業界がいっぱい…。業界が決まらないので悩んでいます。(Sさん/営業/28歳/女性)

5年間の既存顧客対応を続け、大手企業の宣伝部や広告代理店との調整業務をやりきった感があります。
さまざまな業界のクライアントと接してきた中、他の業界や企業で一から提案して行動できる提案型の営業に挑戦したいと考えるようになりました。
ただ、興味のある業界が多く、転職活動を始めようにもなかなか方向が定まりません。
自分が持つ経験・スキルとの相性を考えればマスコミ系ということはわかります。
しかし、今後の事業成長を考えると、ネット系の映像を手掛ける会社や、Webメディアの運営を行うIT系企業の方がいいのかなとも思います。
他にも、社会貢献度や時代のニーズが高い医療業界など、まったくの未経験業種に挑戦したいという気持ちも否めません。
行きたい業界がブレている私が、どう方向性を定めるべきかをアドバイスいただきたいです。
まずは転職理由を深堀りしよう

そういう方は、業界などの選択肢を幅広く考えている点は良いのですが、一方で自己分析が足りていなかったり、転職市場におけるリサーチが浅かったりするケースもあります。
また、初めての転職活動ですと、新卒採用の就職活動のイメージで動く方も少なくありません。
新卒であれば、業界問わず募集している多数の大手企業を受けることは良くありますが中途採用の転職マーケットでは、そもそも採用している企業が限られているのが現状です。


とはいえ、中途採用で業界を広く受けてみようと転職活動を始めてみたものの、思った以上に応募の選択肢がないことに驚く方も多いんです。
Sさんは、メディアやIT、医療関係など志望する業界のカラーがだいぶ異なるので、求人情報を探したり応募したりする前に、少し情報を整理することが大切です。
まずは、「なぜ転職したいのか」という転職理由を明確にすることから始めてみましょう。
そうですね。転職理由については、これまではあまり深く考えてきませんでした。
転職理由を改めて言語化すると、既存顧客への営業ではなく、自ら企画を提案して動けるような企画営業に挑戦したいからです。
今はCM枠のスポンサー企業への営業を担当していますが、CMを出す企業はある程度限られているので、どうしても提案内容の幅が限定されてしまうように感じています。
時々、イベントの企画立案などの業務を行うこともありますが、それに関しては広告代理店との調整業務がメインなので、自分が動かしている感があまり持てません。
そのため、たとえ小さな仕事であっても、自分が企画して動かしている実感が得やすい提案型の営業に挑戦して、営業スキルを上げていきたいです。


Sさんは5年間の営業経験がベースにあるので、現職での経験・スキルを活かせる仕事は必ずあると思います。
転職における業界を選ぶときのポイント
さっそく前向きにチャレンジしていきたいと思うのですが、転職における業界を選ぶときのポイントは何ですか?

自分の経験・スキルがどの業界で通用するのかを前提に考えよう

例えば、仕事内容を5W1H(いつ:When、どこで:Where、誰が:Who、何を:What、なぜ:Why、どのように:How)で考え、Sさんの強みを整理しましょう。
営業での経験・強みを整理するためには、「誰に・何を・どのように」を具体的にすることが大事です。
Sさんの営業スタイルは、大手企業向けに(=誰に)、数千万円から億単位のお金が動くテレビCM枠やイベント企画を扱い(=何を)、企業の宣伝部や広告代理店など多くの関係者と連携して長期間のプロジェクトを動かす仕事です(=どのように)。
また、広告代理店のクリエイティブにスポンサー企業のニーズをヒアリングしたり、視聴率の分析を確認した上で、スポンサー側に意見を伝えて調整するなど、多方面に情報のアンテナを張って動く仕事ではないでしょうか。
つまりSさんの仕事は、分析力や調整力を必要とするので、プロジェクトマネジメント力が高いといえるかもしれません。
仕事内容を整理していくと、一言で営業といっても、色々な強みをアピールできるとわかります。


また、業界を絞る上では、Sさんが今の仕事のどんなところにやりがいや面白さを見出していたかも大切なポイントです。
今の仕事内容は思ったよりも地味で、細かな根回しが必要なのですが、最終的に目に見える形となるので達成感があります。
それに、映像として視聴者に届くと、自分が携わった仕事のスケール感も実感できます。
とはいえ、代理店との調整役ということもあり、自身の提案力を活かしきれていないと思うので、やはり一から自分で提案して動かしている実感のある仕事に就いて、もっと大きなやりがいを感じたいです。


例えば、Sさんが興味を持っている医療業界は、基本的にBtoB向けの営業で、扱う商材は有形です。
自社の取り扱う商材の中から提案する営業スタイルが多く、Sさんが思い描く提案営業とは異なる可能性があります。
希望する業界や企業の営業職を「誰に・何を・どのように」で整理した上で、自分の経験・スキルとの接点や商材に興味があるかどうか、楽しく働くイメージが持てるかどうかを見極めるといいでしょう。
年収や福利厚生をどこまで求めるかを考える
あとは、新しい業界に挑戦したいと思いながらも、年収や福利厚生などの条件面は今より下げたくないと思っている自分がいます。


例えばM&A仲介や金融業界、コンサルティング業界などがそれにあたりますが、仮にSさんが仕事内容に興味を持てなければ、入社しても苦しいだけかもしれません。
それに、Sさんが積み上げてきた経験・スキル面でも、まったくの未経験となるので、年収が上がるまで時間がかかる可能性も高いでしょう。
しかし事業拡大スピードが速いIT系企業であれば、入社時には今より条件が少し下がってしまったとしても、成果を認められて昇給したり、裁量が増えてポジションが上がっていくチャンスもあるかもしれません。
そうしたカルチャーや評価制度のある企業を選ぶのも、一つの考え方だと思います。
譲れない部分と妥協できる部分の優先順位を考えたいと思います。

選考を受けながら考えを整理していってもOK
一旦、応募してから整理するのは、よくないのでしょうか。


応募後に選考を受けながら企業との接触機会を増やし、考えを整理していくのも一つの方法です。
なぜなら、「ここだ」と思った業界であっても、実際の面接で社員の方に会ってみなければ、本当に自分にフィットするかは判断できないからです。
私が出会ってきた求職者の中には、ご自身の納得度を高めるために、興味のある業界や企業を一通り受けた方もいらっしゃいます。
ただ、面接の際に志望動機や転職理由、今後のキャリアプランについてうまく伝えられず、「志望動機が浅はかだった」「自分の経験・スキルがあるだけではこの業界は難しい」などの反省点もあったそうです。
選考の中で、どの業界が自分に向いているのかが見えてくると、自信を持ってその会社でやりたいこと・貢献できることを伝えることができそうです。


選考の中で少しずつ志望動機を整理していけば、「挑戦したものの、自分には合わない会社だと気づいた」「本当に向いているのは○○業界だ」などの気づきにもつながり、説得力のある志望動機を考えるきっかけにもなるでしょう。
ただ、転職活動は時間も労力もかかるものです。できれば事前に一貫性のある志望動機を準備しておくことをおすすめします。
転職を迷う場合は、現職でできることも検討しよう

転職活動をしたからといって必ずしも転職しなければならないわけではありません。
Sさんが新ためて転職理由や志望動機を考えてみたとき、もしかしたら現職に留まり、部署異動の可能性を模索するなどの選択肢も出てくるかもしれません。
どうしても転職を迷ったり、現職の中でもっと提案力をつけられる仕事がしたい思った場合は、思いきって上司に相談してみてはいかがでしょう。
すると、Sさんが思ってもみなかった社内での配置転換の道が開けたり、新たな挑戦につながる可能性もあるかもしれません。
まずは、色々な選択肢をフラットに考えてみて、その上で自分のやりたいことやこれまでの経験・スキルを活かせそうな道を考えてみます。

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