大手企業から大手企業へ転職したい。自分に合った企業はどうやって探せば良い?【転職相談室】
「やりがいのある仕事ができそうだと大企業に就職したものの、希望している部署には行けず、やりたい仕事もできていない。
安定性を考えると次も大企業へ転職したいが、今度はやりたい仕事ができる企業を見つけたい。」
そんなご相談に、キャリア形成のプロフェッショナルとして、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏がお答えします。
目次
大手企業から大手企業へ転職したい。自分に合った企業はどうやって探せば良い?(Nさん/メーカー・営業/28歳/男性)

メーカーで営業をしています。
■悩み
やりがいのある仕事ができそうだと思い就職したものの、希望している部署には行けず、自分がやりたいと思える仕事ができていません。
上司の意向を忖度しながら働く日々にストレスを感じていましたが、5年は辛抱しようと思い今に至ります。
給与水準や安定性を考えると次も大手企業に転職するのがよいのではないかと思っていますが、また同じように大企業然とした社風だと転職する意味がないとも思っています。
■相談
今の会社よりやりがいのある仕事を任せてもらえるような大企業を探したいのですが、どのように企業を選び、転職活動を進めればいいのでしょうか?
まずは「転職の軸」の深堀りが大切です

気にされている「大企業然とした」社風というのは具体的にどんなことでしょうか?
また、数年上の先輩を見ていても現在の私と同様に、上司の顔色をうかがいながら資料作りをしています。
わたしは若いうちから責任をもちながら仕事をしたいと思っていましたが、今の会社だとあと何年もイメージしていた働き方はできないように思えます。


Nさんと同じような思いの方はほかにもいらっしゃいます。参考になる事例なので、どのようなご状況だったか紹介しましょう。
- 【事例1】
- 転職のきっかけ
- 31才女性、銀行の総合職として入行後、法人営業業務に従事。その後、投資銀行部門でM&Aアドバイザリーとして勤務した後、不動産投資部門に異動。人事主導で異動していくが、今の担当業務に魅力を感じないので、転職を希望。特に銀行は個人の意見が通りにくく、キャリア構築は会社(主に人事部)の方針を受け入れるしかなく、やりたくない仕事をしていくことに限界を感じた。今までの経験の中では一番面白かった、投資銀行部門でのM&Aの知見を活かせる場でキャリア構築を希望。
- 転職活動
- 大手銀行、監査法人、コンサルティング会社、大手メーカー経理等へ応募し、内定企業2社。大手メーカー経理へ入社。
- 転職後の様子
- 部署や業務としては、希望の仕事に就けたものの、年功序列型の社風は前職と変わらなかった。上司の課長が見ているのは、部長や役員以上の上層部ばかりで、自分の失点をゼロにして、自分が評価を高く得たいという視点しかないように感じる。大手メーカーでの年功序列は絶対。上司の失点を防ぐために、メンバーは土日休みなく分析や資料作成を行い、10数パターンの会議資料を毎週作成。会議ではそのうち1~2件しか使われないという繰り返しに、心身ともに疲れ果てている。



M&Aの知見を活かそうとしたのは、いままでの経験の中で一番興味があって、市場価値がありそうだから…という選択でしたが、もう少し「自分は本当にM&Aがやりたいのか」と内省できていたらよかったのではないかと思います。
転職活動においても、大手企業ばかりを見ており、コンサルティングを提供する側の会社には興味がなく、事業会社へのあこがれが強かったので、結果的に視野・選択肢の狭さを招いてしまいました。
大手事業会社の管理部門系だと、どうしても内側での固定した人間関係の中での仕事が多くなります。銀行員時代は定期的な異動やクライアントワークが多く、外からの要因で視点を変えることができていましたが、現職ではそういったことがなく、固定した業務や人間関係が続きます。
自分が力を発揮できる働き方や環境がどういったものかということに関しても考えられていたらよかったのですが、自分の軸(何を大事にしたいのか)を見つけることがなかなか難しい状況だったのかもしれません。
会社の規模や知名度、事業、業務内容、年収、福利厚生、待遇等の外的な情報や条件だけではなく、働く上での自分の軸(何を大事にしたいか=やりがいや働きやすさ、力を発揮できる、自分らしくできる)をクリアにすることが大切です。
軸を定めていれば、希望の企業を探しやすい

- 【事例2】
- 転職のきっかけ
- 28歳男性でゲーム会社の大手企業に入社しゲームプランナーを経験。若手ながら全社を巻き込むプロジェクトを生み出し、直近はゲームコンテンツのディレクターとして、メディアパートナー会社とプロジェクトチームを牽引。ただ、1年前に会社が経営不振となり、事業が縮小に。それに伴い業務範囲の縮小、取引先からの敬遠があり、仕事の限界を感じるため転職を希望した。
- 転職活動
- 約2年間転職活動を行った。仕事をしながら、興味がある企業へ2か月に1社程度のスパンで応募した。
社会的にインパクトがあるものを生み出したいという思いが強く、それを実現できる会社を探したいと、マスコミや社会インフラを生み出す事業会社、コンサルティング会社を選択肢に。ポイントとして以下の3点を重視した。- 経営資源(ヒトモノカネ)があること(社会的インパクトを与えるにはある程度の資源が必要なため)
- 経営の安定性や事業の社会的価値の重要性があること(1社目の経営不振の影響)
- 新しいことに取り組むベンチャー要素があること
結果、合計3社の内定をもらったものの、辞退。長期の転職活動になっても、ベストな選択をするために、ぶれず、焦らず、安易に受け入れず、自分の希望に合う企業を探し続けた。最終的に、大手通信会社の新規事業インキュベーション部門へ入社。
- 転職後の様子
- 小規模ベンチャーのように自由にできないことは理解しつつも、その中でも比較的自由度がきく部門であったため入社を決めた。実際に企画の自由度はあるが、数十億円規模の社内決済には当然多くの決済経路を通る。決済を通すためのコミュニケーションなど苦労はあるが、それが大企業で物事を推進していくために必要なルールであると理解しているので、手応えとやりがいを感じている。



大手だから「大企業然としてやりづらい」と感じるときは、きっとあるのですが、それでも自分の軸が明確ならば、やりづらさを受け入れて対応することは可能だと思います。
今不満に感じていることが、中小企業やベンチャーに行けば解決するとも限らないですし、中小企業・ベンチャーにはそれぞれ別の課題が出てきます。自分の軸をしっかり持てるようにしておきたいですね。

「自分の軸」を整理した上で、転職の判断を
思うような仕事ができない状況を、環境のせいにしてしまうことは簡単ですが、それでは、いつまでたっても、うまくいかないと感じつづけることになります。
転職をしたいと思ったら、何を実現したいのかを掘り下げ、自分の軸を整理してみましょう。
その結果、今の会社でもう少し頑張ってみようと思い直すことになるかもしれませんし、やはり転職を検討していくことになるかもしれません。
どちらにしても、企業規模や年収、福利厚生など外的な条件だけで判断せず、自分自身が何にやりがいを感じられるか、どんな働き方をしたいのかを問い直すことで、進むべき方向が見えてくるのではないでしょうか。
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